実証実験期間中は仙台市在住の65歳以上の高齢者を対象に、従来、質問用紙で行われることが多いフレイルチェックを、スマートフォンを使いWeb上で実施するほか、オンラインで4拠点をつなぎ、当社所属の医療従事者(理学療法士・保健師)がフレイル予防に関する知識を学ぶ座学とストレッチやトレーニングを組み合わせて行う「フレイルチェック&生涯ゲンキ講座」を開催します。なお、本実証実験は仙台市が運営する「仙台ヘルステックコンソーシアム」において採択を受けたものです。
■社会背景
少子高齢化の進行に伴う社会保障費の増大と生産年齢人口の減少により、日本経済を働き手として支える現役世代の負担が深刻な課題となっています。課題の解決には、長く健康に働き続ける人を増やすと共に、高齢になっても介護を必要とせず日常生活を支障なく送ることができる健康寿命の延伸が不可欠です。国も2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定し、2040年までに男女とも健康寿命を3年以上延伸することを目標に掲げています(※1)。
そのような中で、重要な取り組みの一つとして位置づけられているのが介護予防・フレイル対策(※2)です。フレイルとは加齢とともに体や心の働き、社会的なつながりなどが弱くなった状態(※3)のことを指します。国の調査では、要支援または要介護と認定された人の「介護が必要となった主な原因」のうち、「高齢による衰弱」(フレイル)が認知症、脳卒中に次いで高い割合となっています(※4)。また新型コロナウイルスの感染拡大により、高齢者が日常的に集まり、運動や趣味などを通じて健康維持やフレイル予防を図る「通いの場」での活動が制限されたことで、高齢者の認知機能や運動機能の低下が報告されています(※5)。このような状況から、フレイル対策は大きな課題となっており、各市町村には対応が求められています。
■本実証実験の背景
仙台市の人口は106万3,169人、そのうち65歳以上の人口は25万9,838人となり、高齢化率は24.4%となっています(※6)。高齢化率は全国平均を下回っているものの、団塊の世代が75歳以上に達する2025年には26.6%、団塊ジュニア世代が65歳以上に達する2040年には32.1%と年々上昇を続け、2045年頃に高齢者人口がピークを迎えた後も、引き続き上昇傾向が続く見込みです(※7)。全国的な傾向と同様に、仙台市においても高齢化は確実に進行しており、今後を見据えて介護予防・フレイル対策に取り組むことが重要となります。
仙台市では、高齢者のフレイル予防のため、通いの場等の地域コミュニティでフレイルの啓発やフレイルチェック、予防のための運動の機会を積極的に提供しています。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で高齢者の活動機会自体が減少していることもあり、自身でも気づかぬうちにフレイルが加速するリスクも高まっているため、高齢者が自らフレイル状態に気づき、予防に向けたアクションを実践することが必要です。
■実証実験詳細
当社は、高齢者が日常生活の中で自身のフレイルの進行度を把握し、予防に向けたアクションを取ることが重要であると考えています。予防の観点では「運動」「栄養」「口腔ケア」「社会参加」の4つの取り組みを早期にバランスよく実践することが必要です。これらを目指し、通いの場に集まりデジタルデバイスを体験するフレイルチェックや、栄養や口腔ケア、フレイル予防に関する座学と運動を組み合わせた「フレイルチェック&生涯ゲンキ講座」を、仙台市の高齢者を対象に実施します。
フレイルチェックは、加齢により心身が衰えた状態かどうかを把握するための簡易的なチェック方法です。本実証実験では、一般的には質問用紙などを用いて実施されることが多いフレイルチェックをWeb上で実施する場合の、妥当性・有用性等を、スマートフォンを使い検証します。また、フレイルチェックの実施だけでなく、フレイル予防の運動動画にアクセスするなど、スマートフォンを活用したフレイル予防の取り組みも実施します。これにより、スマートフォンを持っていない、もしくは持っていても操作に不慣れな高齢者に対し、実際にデジタルデバイスを体験する機会を提供します。
生涯ゲンキ講座は通いの場(4ヵ所)にて各施設最大20名とし、全3回で開催します。そのうち1ヵ所は対面形式、その他の施設はメイン会場で実施している内容をライブビューイング形式で上映し、開催することが特長です。プログラムの内容は、当社所属の医療従事者(理学療法士・保健師)がフレイル予防に関する知識を学ぶ座学とストレッチやトレーニングを組み合わせた運動プログラムを行います。講座終了時には参加者へアンケートを実施し、フレイルへの理解度や今後のフレイル予防への取り組み意向、対面とライブビューイングによる満足度差異などを収集することで、効果検証を図ると共に事後の取り組みに活用します。
【「オンラインを活用したフレイルチェック&生涯ゲンキ講座」概要】
(1)対象者:仙台市在住の65歳以上の高齢者
(2)プログラム内容:
①フレイルチェック・スマホ活用講座(デジタルデバイドの解消)
➁フレイル・口腔・栄養講座、トレーニング
③ストレッチ
④筋力トレーニング・口腔トレーニング、有酸素運動
⑤クールダウン
⑥アンケート
(3)日程:全3回 1月18日(水)、1月31日(火)、2月14日(火)
いずれも9時30分受付開始、10時~12時の2時間で開催
(田子西市営住宅集会所のみ、第1回は1月24日(火)開催)
(4)実施会場:
①メイン会場(配信拠点)
・泉崎集会所(宮城県仙台市太白区泉崎1丁目16-32)
➁サテライト会場
・桜ヶ丘七丁目集会所(宮城県仙台市青葉区桜ケ丘7丁目2-1)
・宮城野区鶴ケ谷一丁目西町内会集会所(宮城県仙台市宮城野区鶴ケ谷1丁目29-17)
・田子西市営住宅集会所(宮城県仙台市宮城野区田子西1丁目11)
(5)配信方法:
泉崎集会所は対面形式、桜ヶ丘七丁目集会所・宮城野区鶴ケ谷一丁目西町内会集会所・田子西市営住宅集会所は
泉崎集会所で実施している内容をライブビューイング形式で上映し、開催する
(6)定員:各回各会場最大20名(申し込み先着順)
(7)講師プロフィール:
松野賢二(株式会社エス・エム・エス所属/理学療法士・介護予防運動指導員)
理学療法士として主に急性期病院・回復期病院・介護施設にてリハビリ業務に携わり、地域にて介護予防教室の
運営等にも関わる。現在は地域の方々の元気に貢献したいという気持ちから介護予防教室の講師としても活動中
【「仙台ヘルステックコンソーシアム」について】
仙台市ヘルステック推進事業のもとで仙台市が運営する、ヘルスケア領域の事業に関心のある企業・組織から構成される団体です。ヘルスケア領域の課題に対してICT技術やAI・ビッグデータ等を用いて解決を図ると同時に、解決アイデアに基づくヘルスケア産業創出に取り組む企業を支援することで、仙台における地域経済の活性化と健康福祉の向上を図ります。
URL:https://www.sendai-healthtech.com/
【「データを活用した介護・フレイル予防」について】
自治体向け調査・計画策定・予防事業。高齢者の保健事業と介護予防の一体化に向け、各種調査、地域課題の整理・分析や施策の策定、特定保健指導や介護・フレイル予防教室等具体的な対策実施までをワンストップで支援します。
URL:https://lp.kaigo-frailty-yobo.net/
【エス・エム・エスの健康経営ソリューション】
健康保険組合と企業が協力しコラボヘルスで推進する「健康経営」をトータルでサポート。フィジカル面を中心とした保健事業をサポートする「保険者・健康保険組合向けソリューション」と、メンタル面のサポートや職場の健康管理の整備をサポートする「人事・労務向けソリューション」を提供しています。当社が保有する医療従事者ネットワークを活用した質の高いサービスをICT/IoTを活用して提供、併せてデータなどの効果検証をワンストップで行うことで、企業・健保が抱える課題に対応しています。
(1)保険者・健康保険組合向けソリューション
①リモートチャット指導特定保健指導サービスおよびリモートチャット指導重症化予防サービス
生活習慣病予備軍や軽度および中度の糖尿病対象者に向けたリモートチャット指導サービス。スマートフォンでのWeb面談後、チャットを通じ、担当の管理栄養士から定期的に指導を受けることができます。専門医監修のもと行うため、通院中や服薬中(※8)の方へのサービス提供も可能です。
②行動療法に特化した禁煙サポート「One to One禁煙指導サービス」
医師監修の禁煙情報の提供と個々の喫煙心理に働きかけるアドバイザー支援で、3か月で卒煙を目指すプログラム。健康経営に役立つ分析レポートの提供も可能です。
(2)人事・労務向けソリューション
①企業の健康管理業務サポート「リモート産業保健」(URL:https://sanchie.net/)
企業の人事・労務担当者に向けた産業保健業務サポートのトータルパッケージサービス。訪問とリモートを組み合わせ、産業医と産業看護職による2名体制で産業保健業務の支援や、従業員の面談サポートを提供しています。産業看護職にオンラインで気軽な内容の相談ができるため、カラダとココロの不調への早期介入が可能です。
②女性の健康経営サポート「LADY to GO!」
働く女性従業員とその管理者に向けたプログラム。女性の健康課題に対するリテラシー向上のための情報提供や、医療職による遠隔指導での生活習慣改善サポートを通じて、働く女性の健康推進を支援しています。
※1・2:厚生労働省「健康寿命延伸プラン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101520_00002.html)より。プラン達成のため、①健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進と、②地域・保険者間の格差の解消に向け「次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成」「疾病予防・重症化予防」「介護予防・フレイル対策、認知症予防」の3分野を中心に取り組みを推進することとしている
※3:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防 パンフレット」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00002.html)より
※4:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)より
※5:厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html)より
※6:宮城県「高齢者人口調査結果(令和3年)」より
※7:仙台市「仙台市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画 本冊子(令和3(2021)年度~令和5(2023)年度)」より
※8:症状や服薬数によるサービス制限あり
【株式会社エス・エム・エスについて】
2003年創業、2011年東証一部上場、2022年4月より東証の市場区分変更によりプライム市場へ移行。「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをミッションに掲げ、「高齢社会×情報」を切り口にした40以上のサービスを開発・運営しています。
また、当社は優良な健康経営を実践している企業として、「健康経営優良法人2022(大規模法人部門、ホワイト500)」に認定されています。
健康経営に関する取り組み詳細:https://www.bm-sms.co.jp/sustainability/employee-health/
名称:株式会社エス・エム・エス
所在地:東京都港区芝公園2-11-1住友不動産芝公園タワー
代表者:代表取締役社長 後藤 夏樹
会社設立:2003年4月
資本金:23億1,022万円(2022年3月31日現在)
従業員数:連結3,303人、単体2,109人(2022年3月31日現在)
事業内容:高齢社会に求められる領域を、医療・介護・ヘルスケア・シニアライフと捉え、価値提供先であるエンドユーザ・従事者・事業者をつなぐプラットフォームとしての情報インフラを構築し、40以上のサービスを展開
URL:https://www.bm-sms.co.jp/