パキスタン:洪水発生から4カ月超~400万人近くの子どもが依然、汚れた水のそばで生活【プレスリリース】

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シンド州の自宅前で、ユニセフから受け取った毛布に包まり、身を寄せ合って暖を取る家族。(パキスタン、2023年1月4日撮影) © UNICEF_UN0761223_Buttシンド州の自宅前で、ユニセフから受け取った毛布に包まり、身を寄せ合って暖を取る家族。(パキスタン、2023年1月4日撮影) © UNICEF_UN0761223_Butt

【2023年1月9日 イスラマバード発】

パキスタンで国家非常事態が宣言されてから4カ月以上が経過してもなお、最大400万人の子どもたちが洪水によって汚染され、よどんだ水の近くで生活し、彼らの生存と健康的な生活が脅かされている、とユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。

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世界的に子どもの主な死亡原因である急性呼吸器感染症が、洪水に襲われた地域で急増しています。また、ユニセフが監視している洪水被災地では、2022年7月から12月にかけて重度の急性栄養不良に陥っていると確認された子どもの総数が、2021年比でほぼ倍増しており、推定150万人の子どもが依然として命を守るための栄養支援を必要としています。

ユニセフ・パキスタン事務所代表のアブドゥラ・ファディルは「パキスタンの洪水被災地に暮らす子どもたちは、瀬戸際に追い込まれています。雨期は過ぎたかもしれませんが、子どもたちの危機はまだ終わっていません。1,000万人近くの少年少女が依然として緊急の命を守る支援を必要とし、十分な避難場所もないまま厳しい冬を迎えています。深刻な急性栄養不良や呼吸器疾患、水を媒介とする感染症と寒さが相まって、何百万人もの幼い命が危険にさらされています」と述べています。
 

バルチスタン州の国内避難民キャンプの中のユニセフが支援する栄養施設で、上腕計測メジャーを使った検査により、重度の急性栄養不良と診断された1歳のアウェイスちゃん。(パキスタン、2022年11月撮影) © UNICEF_UN0742531_バルチスタン州の国内避難民キャンプの中のユニセフが支援する栄養施設で、上腕計測メジャーを使った検査により、重度の急性栄養不良と診断された1歳のアウェイスちゃん。(パキスタン、2022年11月撮影) © UNICEF_UN0742531_

南部のジャコババード郡では、夜には気温が7度まで下がる中、多くの家族が洪水のあとも引かない、よどんだ水のそばにある、布で覆われただけの急場しのぎの避難所で過ごしています。同様に洪水の被害を受けている山間部や高地では降雪が確認されており、気温は氷点下にまで下がっています。

約20万人の子どもとおとなに届けることを目標に、ユニセフはパートナーと共に、防寒服のキットや上着、毛布、中綿入りの寝具などの提供を開始しました。深刻化する子どもの生存の危機に対応するため、80万人以上の子どもたちの検査を行った結果、6万人が、身長に対して体重が少なすぎる重度の急性栄養不良に陥っていると特定されました。生命に関わる状態を脱するべく、これらの子どもたちは「すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)」による治療を受けるよう治療担当者へ照会されました。ユニセフの保健に関わる支援活動は、これまでに約150万人の人々にプライマリ・ヘルスケアを提供し、16の被災地区で450万人の子どもたちにポリオの予防接種を行いました。さらにユニセフとパートナーは、100万人以上に安全な飲料水へのアクセスを、また100万人に衛生キットを提供しました。今後数カ月間、ユニセフは緊急の人道的ニーズへの対応を続けるとともに、自宅に戻る家族のために既存の保健・水・衛生・教育施設の復旧と再稼動に取り組んでいく予定です。

ファディル代表は「多くの家族が故郷の村々に戻り始めている中、私たちの対応も彼らと共に移動します。私たちの保健・栄養・水の移動式チームは、命を守るための緊急のニーズに対応し続け、既存の保健・水・衛生・教育施設の復旧と再稼動を支援し、気候変動に対応した復興と再建への政府の取り組みを支えています。気候危機が、パキスタンで災害の連鎖を加速させた主要因であることは明らかです。パキスタンの子どもたちが現下の災害から完全に立ち直ることができるように、そして彼らを次の災害から守り保護するために、私たちは全力を尽くさなければなりません」と述べました。
 

防寒着やジャケット、毛布、布団などのユニセフの支援物資を受け取った11歳のラーマンさん。(パキスタン、2023年1月4日撮影) © UNICEF_UN0761235_Butt防寒着やジャケット、毛布、布団などのユニセフの支援物資を受け取った11歳のラーマンさん。(パキスタン、2023年1月4日撮影) © UNICEF_UN0761235_Butt

命を守る緊急支援を届けるためユニセフは国際社会に対し、追加の人道支援を早急に提供するよう、また救えるはずの多くの命が奪われる前に資金を適時に拠出するよう要請しました。復興と再建に向けて世界的な気運が高まる中、ユニセフは各国に対し、現地のニーズに応じた、子どもたちの帰郷する動きに合わせた対応がかなう、持続的で柔軟性のある一貫した支援の提供を呼びかけています。この支援活動においては、子どもたちの短期的ニーズと長期的ニーズの双方を重視するよう求めています。一方で、気候変動に強いインフラとサービスの構築・強化、また困窮する子どもや家族への保健・栄養・教育・保護・衛生サービスの提供を支援するよう、併せて呼びかけています。

ユニセフ・パキスタン事務所は、4つの州すべてに常設の現地事務所を持ち、また最も被害の大きかった地域で支援活動を行えるよう4つの拠点を設置しています。ユニセフは、パキスタン政府、国連諸機関、NGOパートナーたちと共に、被災した55の地区で、最も脆弱な立場にいる人々への支援を行っています。避難を続ける人々、また故郷へ戻る人々、どちらのニーズにも応えるよう、ユニセフは活動を続けています。

ユニセフは、洪水の被害を受けた女性と子どもの命を守る支援のために、現在1億7,350万米ドルの資金提供を呼びかけていますが、まだ37%しか集まっていません。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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