書籍『図解よくわかるスマート水産業』発売
2022年12月23日
株式会社 日刊工業新聞社
日刊工業新聞社(代表取締役社長:井水治博 本社:東京都中央区)は、書籍『図解よくわかるスマート水産業 デジタル技術が切り拓く水産ビジネス』を12月24日に発売します。
日本の食糧事情をウォッチしてきた著者による最新作。市場動向から、政府や行政の方針、最新のデジタル技術まで、注目されるトピックスを解説します。
- 気候変動、新興国での水産物需要の急増、燃料費の高騰…。日本の水産業を取り巻く状況は難問だらけ
日本食・和食の中核を担う出汁をとっても、水産物は日本人にとって必要不可欠なものです。共働き世帯の増加などによって、料理に手間のかかる魚を食する量は減っている一方で、健康意識への高まりから水産物の重要性は見直されています。
一方で、地球規模での気候変動、新興国での水産物の需要の急増、そして過剰な漁獲による資源枯渇など、日本を取り巻く環境は厳しくなっていることに追い打ちをかけるように、飼料費や燃料費の高騰という問題にまで直面しています。
- 減少する水産業の従事者。それを解決するのはデジタル技術
こうした問題を解決するために、IoT、AI、ロボティクスなどの最先端技術の活用が始まっています。
気象情報、海況情報、市況情報など、あらゆるデータを集約・解析することで、高効率な漁獲を可能にします。また、養殖での自動給餌やロボット活用は労働の負担を軽減します。
物流の面でも、デジタル技術は大いに活躍しています。仲買人の経験に頼ってきた「魚を見る目」をデータ化し、蓄積することで、感覚を数値化します。このことにより、技術伝承をデジタル技術が補います。
- 実用化がますます期待されるゲノム編集。活用の幅が拡大する藻類
これからの水産業には、ゲノム編集も注目されます。遺伝子組換えにより肉付きの良い魚に改良することで、生育期間の短縮、餌量の削減といった高効率な養殖を可能にします。
また、藻類にもスポットは当たります。藻類の栄養価の高さや機能性が注目される中、食用以外での利用にも期待は高まります。養殖魚の餌だけでなく、化粧品・医薬品や燃料への活用など応用分野の幅は広く、藻類の研究開発は活発化しています。
- 目次(一部抜粋)
第1章 日本の水産業の特徴
日本の水産業とは「日本の食文化を支える重要な産業」/漁業の分類と特徴「存在感を増す養殖業」 など
第2章 日本の水産業に迫る5つのリスク
漁業者の減少による生産基盤の弱体化「生産効率の抜本的な向上が不可欠」/気候変動によるリスク①海面水温の上昇「魚介類の生息域移動や資源減少が顕著に」/周辺国との取り合い①世界の水産物需要「ヘルシー志向で拡大する水産物マーケット」 など
第3章 水産物需要のトレンド
水産物消費の動向「魚離れが顕著に」/人気魚種の変遷「顕著なサーモン&マグロ人気」/水産物に対する消費ニーズ「食べやすい、料理しやすい魚種へのシフト」 など
第4章 スマート水産業はビジネスになる
スマート水産業の定義と分類「水産業での活用が加速するIoT、AI、ロボティクス」/スマート水産業の動向「スマート水産業はまさに黎明期へ」/おいしさを追求する消費者「スマート水産業から生まれるヒット商品」 など
第5章 スマート水産業×海面漁業
人工衛星リモートセンシング「宇宙から海の状況を的確に把握」/赤潮モニタリング「養殖業のリスク低減の基礎」/漁業支援アプリ「作業記録やノウハウを効率的に蓄積」 など
第6章 スマート養殖業
給餌ロボット「ロボティクスで省力化と給餌最適化を実現」/水中ドローン/小型ROV「モニタリング用と作業用が実用化」/IoTを活用した水管理システム「生産効率向上と病気発生抑制のカギ」 など
第7章 地域の資源を活かしたサステナブル養殖
資源循環型養殖の台頭「品質、環境、資源、ブランドの一石四鳥」/農業と水産業の資源循環「ブルーエコノミーのポテンシャルを活かした事業創出」/農業残渣の機能性を活かした品質向上策「健康志向にマッチしたヒット商品」 など
第8章 スマート水産業×加工・流通
水産物のインターネット販売「漁業者と消費者を直結する新たな流通ルート」/スマート水産物流通「デジタル技術を活用した物流効率化」/高度化する鮮度管理技術「水産物の品質を保持/向上 」 など
第9章 付加価値を高めるバイオテクノロジー
バイオテクノロジーを利用した水産育種「マーカーアシスト選抜による効率化」/ゲノム編集技術とは「ピンポイントでの編集により育種効率を向上」/商品化が始まったゲノム編集水産物「飼料利用効率の向上により効率的にタンパク質を供給」 など
第10章 台頭する藻類養殖
食用藻類の分類「多種多様な魅力をもつ藻類」/食用藻類の培養技術「藻類の特徴に応じた培養方法」/藻類の燃料・エネルギーへの活用「急速に需要が拡大する航空燃料」 など
第11章 スマート水産業を加速させる最新トレンド
食料安全保障リスクの増大「養殖用国産飼料の技術開発が急務」/水産業における温室効果ガス削減「研究開発が加速する“ブルーカーボン”」/世界で注目されるブルーエコノミー「スマート水産でサステナブルな成長を」 など
- 書籍情報
定価:(本体2,200円+税)
仕様:A5判、並製、168頁
ISBN:978-4-526-08243-6
発行:日刊工業新聞社
発行日:2022年12月23日
- 編著者紹介
三輪 泰史(みわ やすふみ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート
東京大学農学部国際開発農学専修卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修士課程修了
農林水産省の食料・農業・農村政策審議会委員、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)アドバイザリーボード委員長をはじめ、農林水産省、内閣府、経済産業省、NEDOなどの公的委員を歴任
主な著書に『図解よくわかるフードテック入門』『アグリカルチャー4.0 の時代 農村DX革命』『IoTが拓く次世代農業 アグリカルチャー4.0の時代』『図解よくわかるスマート農業』『次世代農業ビジネス経営』『植物工場経営』『グローバル農業ビジネス』『図解次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業 セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか
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