最新の獣医療を学ぶ場を提供するJBVP
JBVP(Japanese Board of Veterinary Practitioners)は、伴侶動物を対象とする獣医療従事者の継続的な教育を行う目的で、1998年に一般社団法人として設立された。幅広い分野をカバーする講義「JBVPレクチャーシリーズ」を都内で毎週開催するほか、北海道から沖縄まで全国7カ所で臨床病理学の授業なども行っている。ウェブサイトでも最新の獣医学情報の提供を続けており、四半世紀にわたり主に獣医療従事者の知識・技術の向上に取り組んでいる。
獣医療を通した社会貢献
竹村直行会長は、同フォーラムの意義を「獣医師・動物看護師でなければできない社会への貢献」にあると述べている。
「刻々と変化する獣医学・動物看護学を理解し現場に応用し続けることで、動物との暮らしを楽しんでいるご家族にさらなる喜びを提供し満足していただく。これは、獣医師と動物看護師にしかできない素晴らしい社会貢献だと思います。」そのために、「獣医師、一生勉強」が大切だと竹村会長は強調する。
基本は「人と動物の絆」
このような姿勢の根底には、創立者でもある石田卓夫名誉会長が唱える “ヒューマンアニマルボンド”、つまり「人と動物の絆」を核と考える伴侶動物医療がある。動物たちは、「単なるペットという認識を越え、人間の良き仲間、家族、伴侶として共に暮らす存在です。伴侶動物のための医療とは、そこに存在する『絆』のための医療です」と、獣医療の役割について述べている。
「獣医師は、そこに存在する絆がどのようなものかを判断し、その家族と動物に最良の治療法を見つける必要があります。そして絆を美しく維持するよう最大限の努力を払います」と言う。伴侶動物対象の獣医療従事者の使命は、ヒューマンアニマルボンドの最適化にある。その実現には、常に良質な情報を追い求めることが必要であるとJBVP設立の背景について語っている。
「動物の家族」に向けたプログラム
JBVPでは、一般の飼い主に向けた情報発信にも力を入れている。「動物の家族」にも正しい獣医学を知ってもらうことが重要と考え、これまでも年次大会では病気の予防や食事の管理、しつけなどに関するセミナーを行ってきた。コロナ禍の影響でオンライン開催となった2020年からは、「一般(ご家族)プログラム」として日常の健康管理や動物病院受診時に役立つ動画などを無料で公開している。
さらに今年は、「一般ショートプログラム」が追加された。年次大会実行委員会の山岸建太郎委員長は、診察室での “あるある” に関する説明や質問・疑問などをご家族向けの動画にまとめたと言う。動物病院では、犬や猫の爪の切り方や薬の飲ませ方、耳掃除などについて伴侶動物の飼い主からアドバイスを求められることが多い。
本プログラムでは、短い動画を観ることでそうしたケアを学べる。そのほか、最近多い病気やけいれん発作が起きた時の適切な対応、災害時への備えなど、ペットとの暮らしに役立つ幅広い知識を得られる構成となっている。
「動物の家族の方には、これまで以上に様々な学びの場を提供したいと考えています。健康維持は勿論、フード、行動、発生率の高い疾患など、家族が知りたいことはたくさんあります。今後もJBVPは家族の知りたいことを適確に把握し、動物との良質な暮らしをサポートします」と、今回の年次大会に際して竹村会長は語っている。
同プログラムは、12月9日(金)までウェブサイト上で無料公開されている。