政府は、マイナンバーカードをデジタル社会構築のための基盤と位置づけ、来年3月末までに「ほぼ全ての国民」が取得することを目標としています。カード普及の促進策として最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント第2弾」が行われ、カードの申請期限は12月末まで延長されました。今回はマイナンバーカードに関する意識調査を実施しました。年齢、性別、地域別などのクロス集計も行っています。
■調査結果サマリ
政府が現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」への一本化方針を発表したことに関し、現行保険証とマイナ保険証の併用を求める人が34%、マイナ保険証一本化容認29%、マイナ保険証不要27%だった。マイナカードの使用経験は「あり」29%「なし」31%。将来的にもカード取得意思がない人が18%いた。カード保有は希望者だけでよいと40%が考え、保険証機能による実質的なカード取得義務化に42%が反対した。
運転免許証とカードを一体化させたい26%、させたくない49%。期待するカード使途はオンライン行政手続き48%が最多だった。カードのスマホ搭載に期待しない64%で、搭載については女性より男性の期待が大きかった。情報漏えいなどのリスクを許容できない人は75%で、許容度は男性より女性の低さが目立った。「本年度内にほぼ全国民取得」との政府目標を達成できないと思う人は76%。一方でマイナポイント第2弾の普及効果を58%が認めた。岸田内閣不支持は前回比5ポイント増の65%に達した。
ーーーーーーーーーーーーーー
総務省によると、マイナンバー制度は、行政の効率化や国民の利便性向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤とされます。マイナンバーは日本に住民票を有するすべての人が持つ12けたの個人番号で、社会保障、税、災害対策の3分野のうち、法律や条例で定められた事務手続きにおいて使用されます。
デジタル庁によると、マイナンバーカードは、氏名、住所、マイナンバーなどが記載された顔写真付きのプラスチック製カードで、デジタル社会に必要なツールとして、法律や条例で定められた手続きにおける番号確認、本人確認書類として利用できます。
ーーーーーーーーーーーーーー
- マイナンバー制度や同カードについて「十分理解している」「ある程度理解している」と思う人は計68.2%だった。(Q6)
- マイナンバーカードを「持っている」「持っていないが取得するつもりがある」人は計78.8%。「持っていないし、取得するつもりもない」人が18.4%いた。(Q7)
- マイナポイントに関する対応で「第1弾でポイントを獲得し、第2弾の健康保険証の利用申し込みや公金受取口座の登録をした」28.7%が最多だった。(Q8)
- 行政機関への申請などで実際にマイナンバーカードを「使ったことがある」29.9%、「使ったことはない」31.7%だった。(Q9)
- マイナ保険証への対応で最多だったのは「利用登録をしたが、まだ使っていない。もしくは使える医療機関等が見つからない」35.3%だった。「利用登録して、すでに使っている」は3.3%。(Q10)
- 政府は現行の保険証を2024年秋に廃止してマイナ保険証への切り替えを目指すとしていることに関し「現行の保険証を廃止せずにマイナ保険証を併用したほうがいいと思う」34.0%が最多。「マイナ保険証への一本化でいいと思う」29.3%、「マイナ保険証は不要だと思う」27.7%だった。(Q11)
- 政府は運転免許証とマイナンバーカードの一体化を2024年末までに目指すとしており、自分の運転免許証を「一体化させたくない」49.0%、「一体化させたい」26.6%だった。(Q12)
- どのような場面でマイナンバーカードを使いたいかを複数回答で聞くと「オンラインでの行政手続き」48.6%が最多。「コンビニでの公的証明書の取得」「身分証明書や本人確認書類」と続いた。(Q13)
- マイナンバーカードのスマホへの搭載が来年5月以降にAndroid端末から始まる予定であることに「あまり期待していない」「まったく期待していない」が計64.2%を占めた。「大いに期待している」「期待している」と答えた人は、男性で計3割台だったのに対し、女性は計1割台にとどまった。(Q14)
- 個人情報漏えいなどマイナンバーカードのリスクについて「あまり許容できない」「まったく許容できない」が計75.2%を占めた。「すべて許容できる」「ある程度許容できる」とした人は、男性で計2割台だったが、女性は計1割未満にとどまった。(Q15)
- 政府が自治体のマイナンバーカード普及率を要件に「デジタル田園都市国家構想交付金」を配分する方針を示していることに関し、普及率向上に「あまり効果はないと思う」「効果はないと思う」が計55.4%を占めた。「効果があると思う」「ある程度効果があると思う」は計32.3%(Q16)
- 行政コスト軽減などの観点からマイナンバーカードを普及させることに関し、「希望しない人には無理に保有させなくてもよい」40.5%が最多。「希望者から普及していけばよい」35.5%、「全国民が少しでも早く保有すべき」18.4%だった。(Q17)
- 政府が目指す2023年3月末までに「ほぼ全ての国民」によるマイナンバーカード取得が「達成できると思わない」が76.9%に達した。(Q18)
- 政府によるマイナンバーカード普及目標の達成にマイナポイント第2弾が「効果がある」「ある程度効果がある」が計58.5%を占めた。「効果はない」「あまり効果はない」は計35.4%。(Q19)
- マイナ保険証の導入による実質的なマイナンバーカード取得義務化に「反対」42.6%、「賛成」29.0%だった。(Q20)
- 岸田内閣を「支持する」は15.1%(前回9月29日20.0%)、「支持しない」65.0%(同59.8%)だった。与党で見ると、自由民主党は5割強が支持し、不支持は3割台だったが、公明党は支持が1割超にとどまり不支持が4割を超した。(Q21)
- 政党支持率は自由民主党19.9%(前回9月29日21.1%)、立憲民主党4.7%(3.9%)、日本維新の会8.2%(9.1%)、公明党1.6%(0.8%)、国民民主党3.2%(2.1%)、日本共産党2.2%(2.9%)、れいわ新選組2.9%(3.1%)、社民党0.5%(0.4%)、NHK党1.6%(1.7%)、参政党0.9%(0.5%)、その他の政党・政治団体0.4%(0.2%)、支持する政党はない49.4%(51.7%)(Q22)
調査レポートの詳細 https://ksi-corp.jp/topics/survey/web-research-43.html
【調査概要】
・調査期間: 2022年10月16日
・調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
・調査対象: 全国の18歳以上の男女
・有効回答数(サンプル数): 1,000人
・調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
【紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について】
KSIは2017年にZホールディングス株式会社の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業です。代表取締役の別所直哉は、1999年よりヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社)の法務責任者として、Yahoo! JAPANが新規サービスを立ち上げるにあたり大変重要な役割を担ってきました。その中で培った幅広いネットワークや政策提言活動を通じて得られた知見をもとに、新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティング行っているほか、社会に貢献していくという方針を軸に多様なサービスを提供しています。
KSIのSNS公式アカウント
https://twitter.com/ksijapan
https://www.facebook.com/KioichoStrategyInstitute