群馬県みなかみ町・水上温泉で「ミニ廃墟再生マルシェ」初開催 2022/10/29-30

　利根川源流のまち、群馬県・みなかみ町。その中心温泉街では、バブル期までの反映の面影を残す廃屋が各所に点在する状況が続いてきたが、リノベーションまちづくりの進展や大規模廃業旅館の一部解体もスタートし、ようやくその風景が変わりつつある。

　そんな流れを加速させようと、新たな取り組みが企画されている。かつて大規模旅館の社員寮として使われた「旧ひがき寮」を暫定的に活用したイベント「ミニ廃墟再生マルシェ」が2022年10月29，30日の2日間にわたって開催される。同マルシェでは、廃墟となっている建物群の中庭を開放し、中庭に面した縁側を店のブースに見立てて、会場が演出される。総勢15を超える出店者が集う水上温泉街の新しい一歩に、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

1029-30の2日間開催となるミニ廃墟再生マルシェ

開催概要

　第1回となる、みなかみ・ミニ廃墟再生マルシェ。今回は「ほりだしもの市」をテーマに様々な物販や飲食が提供される。温泉街の廃業旅館で利用していた、歴史のある瀬戸物や着物など、まさしく温泉街のほりだしものが登場するほか、みなかみの草木で染めたニット小物、リノベーション中の書店から届いたレトロ文具、みなかみでアトリエを構えることを計画中のアーティストが制作したキャンドルなどが販売される予定。

　飲食店も複数出店予定で、珈琲、クラフトビール、ホットドッグ、おにぎり、スープ、チョコレートなどが楽しめる。みなかみの豊かな水や素材をつかったグルメを味わいながら、ゆったりと時間を過ごすこともできそうだ。開催時間は両日ともに11時〜18時まで。入場無料、小雨決行、荒天時中止。

　企画の中心を担っているのは、昨年からみなかみ町のまちづくりに関わっている東京大学大学院都市デザイン研究室のチーム。将来的に「旧ひがき寮」を温泉街での挑戦・実験を応援する場として活用・再生することを念頭に置いており、そのための第一弾企画として開催する。旧ひがき寮は、温泉街の路地裏に位置し、敷地の奥に向かって狭まっていく独特な中庭景観が特徴的。当初は解体を予定していたが、その独特の空気感をぜひまちづくりに活かしたいと学生らが提案し、活用の方向性が検討されている段階。当日は東大生たちが制作した模型や提案パネルも展示される予定で、企画の中心を担っている修士2年渡邉大祐さんは「将来の活用法についての意見交換や、廃墟再生プロジェクトに関わりたい方との交流ができたら。旧ひがき寮の魅力やみなかみ町・水上温泉街の価値を多くの人に感じていただける機会にしたい」と意気込んでいる。

　2021年9月より始動した、みなかみ町・株式会社群馬銀行・株式会社オープンハウス・国立大学法人東京大学大学院工学系研究科が連携して進める「産官学金連携まちづくり」事業の一環で企画が進められている。裏路地に立地し、地元住民も立ち寄りやすい旧ひがき寮を「温泉街暮らしを考える実験室」と位置付け、住民を積極的に巻き込みながらアクションを重ね、温泉街のビジョンを共につくりあげていく予定。

9月に関係者で行われたひがき寮でのプレイベントの様子