平成建設の2プロジェクトが 2022年度「グッドデザイン金賞」と「グッドデザイン賞」を受賞

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株式会社平成建設(本社:静岡県沼津市、代表取締役社長:秋元久雄)は2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)において、山とともに豊かになる建築のあり方を考えた「バウマイスターの家」がグッドデザイン金賞を受賞。多様なこども達が集う第二のおうち「Kids Home ぶどうの木」がグッドデザイン賞を受賞しましたのでお知らせします。

  • 山とともに豊かになる建築のあり方を考えた「バウマイスターの家」について

 

<概要>
豊富にあるにも関わらず使われることの少ない大径丸太を、シンプルなハンドクラフトだけで無駄なく活かした、素材から発想する建築。
森林大国である日本の山の針葉樹は大径化する一方、住宅用規格製材に適した小ぶりな丸太に需要が集中している。日本の人工林は外材に押され、使われることなく大径化が進み、大径材の活用も進んでいない。林業収益は低下の一途をたどり、継続的な植林や伐採がされていない日本では、いずれ未来に使える木もなくなるだろう。そこでバウマイスターの家では、川上(林業)から川下(建築生産)まで連携をとり、いかに製材歩留まりをあげて国産大径材を使えるかという、素材から発想する建築を目指した。規格外形状の多様な木材を利用するために、プレカットや接合金物などに頼らない単純な施工方法を実現。機械に入らない大径材は最小限の加工を施した。尺角柱は角の丸みを許容し、梁は上下面のみ平らにし側面は皮付きのまま。本来製品にならない山積みされた端材も木ダボのみで接合し活用した。建築の作り方が山の状況を反映しなくてはならない。山と建築が直結した、山とともに豊かになる建築のあり方を追求した。

<デザインのポイント>
・利用が滞る大径針葉樹の活用方法として尺角製材を連続させた構造を実現し、林業の収益性の改善に貢献
・解体後の木材の再利用を予定した部材設計を行い、建物を次世代に向けた木材の長期備蓄として位置づけた
・現状45%とされる低い製材歩留まりに対し、木取り方法や残材活用の工夫により歩留まりを80%まで改善
 

 

 

<審査委員 評価コメント>
木造住宅の流通、加工という大きなテーマに挑んだ意欲作。現代においてほとんどの木造住宅の木材は、製材済みの流通材を、プレカットという工場加工をした上で建設現場に納入しているが、その過程で材料の歩留まりは45%にとどまり、林業従事者の収益も減ってしまうのだという。この問題に切り込む本作は、国産の大径材をそのまま活用する工法により、歩留まりを80%にまで上げているだけでなく、解体後も再生可能な木材として活用できるよう、接合部にまで詳細な設計を施している。これらの試みから生まれた家は、まさに木材にそのまま包み込まれるような体感を与えており、プロジェクトのヴィジョン・実現するためのアイデア・実際の空間、その全てに高い評価が寄せられた。

 

  • 多様なこども達が集う第二のおうち「Kids Home ぶどうの木」について

 

<概要>
都心に建つ、住まいの1階部分を「認可外保育+こども食堂」として街に開いた住宅。
計画地である東京都港区では土地条件等の制約から、十分な園庭を有する施設の割合は認可保育園でも1割に満たない。また、核家族化や共働き世帯の増加、就労形態の多様化などにより、都心区ならではの保育サービスが求められている。オーナー自身の住まいと共存しながらも保護者が安心して預けられる利用しやすい保育施設とすることで、孤独になりがちな子育て世代を支え、健全な地域づくりを行う手助けを目指している。Kids Home ぶどうの木では、敷地の半分を屋外として扱うことで奥行きのある外部空間を地域との接点として位置付けている。急勾配(12.5寸)の切妻屋根による外観は、どこか積み木遊びから生まれたような明快さを持ち、こども達からも認知されやすいアイコンとしての役割も果たしている。建物を印象づける木の大屋根が内外を緩やかに繋ぎ、住まいの空間と共存しながらも、こども達が安全にのびのびと過ごせる居場所をつくりあげている。

<デザインのポイント>
・南側隣地境界に建てられたコンクリート塀によって支持された木の大屋根空間
・1階を「認可外保育+こども食堂」として地域に開くための明快なゾーニング計画
・住宅密集地において通風・採光を充実させるための3層ボリュームを繋ぐスケルトン階段
 

 

 

<審査委員 評価コメント>
住宅でありながら1階を認可外保育とこども食堂として地域に開いている点が大変高く評価された。家を建てるにあたって、自分の住宅を地域にも貢献するものにしようというクライアントの姿勢が素晴らしい。隣地境界に沿って建てられたコンクリート塀に大きな木造の屋根をかけ、敷地半分を地域に開いた半外部空間としている空間構成が明確である。半外部空間は玄関を挟んで奥を園庭、手前を地域に開いた広場として想定してあり、イベントなど今後の展開が期待できそうである。個人の住宅を町に貢献する施設としても機能させるこうした事例が増えていくと、町は確かに変わっていくであろう。

グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
グッドデザイン賞WEBサイト:http://www.g-mark.org/

【会社概要】
社名:株式会社 平成建設
本社所在地:〒410-0022 静岡県沼津市大岡1540-1
代表取締役社長:秋元久雄
事業内容:建築工事全般(土地活用提案・住宅事業・リフォーム事業)不動産事業
設立:1989年2月
HP:https://www.heiseikensetu.co.jp/

平成建設は創業以来「建築工程の内製化」と自社で「職人育成」に取り組み、現在では200人を超える職人集団を形成するに至りました。職人を育て、次世代に技術を繋ぐこと。これは当社の使命であると考えています。
当社では今回の受賞を契機に大工や職人の復権を図るとともに、建築というものづくりにおけるデザインの活用を積極的に推進し、ブランドイメージの向上に努めてまいります。

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