16 年ぶり、待望の大回顧展 「大竹伸朗展」東京国立近代美術館で11月より開催!!

この記事は約10分で読めます。
東京国立近代美術館(東京・竹橋)では「大竹伸朗展」( 主催:東京国立近代美術館、日本テレビ放送網)を2022 年11月1日( 火)–2023 年2 月5 日( 日) に開催します。創作活動40 年以上、現代日本を代表するアーティストの16 年ぶりの大回顧展です。
 大竹伸朗(1955–) は、1980 年代初めに華々しくデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大な建造物に至るまで、猛々しい創作意欲でおびただしい数の仕事を手掛

け、トップランナーであり続けてきました。近年ではドクメンタ(2012 年)とヴェネチア・ビエンナーレ(2013 年)の二大国際展に参加するなど、現代日本を代表するアーティストとして海外でも評価を得ています。また国内でも「東京2020 公式アートポスター展」への参加、国指定重要文化財「道後温泉本館」の保存修理工事現場を覆う巨大なテント幕作品《熱景/ NETSU-KEI》の公開など、精力的に活動を続けています。

 今年で開館70 周年を迎える東京国立近代美術館でついに開催される大竹伸朗の回顧展は、国際展に出品した作品を含むおよそ500 点を7 つのテーマに基づいて構成します。あらゆる素材、あらゆるイメージ、あらゆる方法。作者が「既にそこにあるもの」と呼ぶテーマのもとに半世紀近く持続してきた制作の軌跡を辿るとともに、時代順にこだわることなく作品世界に没入できる展示によって、走り続ける強烈な個性の脳内をめぐるような機会となるでしょう。

本展の見どころ
16 年ぶりの大回顧展
2006 年に東京都現代美術館で開催された「全景1955–2006」以来となる大規模な回顧展。1982 年の大竹の初個展から40 周年となる今年、半世紀近くにおよぶ創作活動を一挙にご紹介します。
7 つのテーマで体感する作品世界
7 つのテーマ「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」に基づいた会場構成。ゆるやかにつながるテーマで、時代順にこだわることなく大竹の作品世界に没入し、その創作のエネルギーを体感できます。
およそ500 点の圧倒的なボリュームと密度
最初期の作品から近年の海外発表作、そしてコロナ禍に制作された最新作まで、およそ500 点の作品が一堂に会します。小さな手製本から巨大な小屋型のインスタレーション、作品が発する音など、ものと音が空間を埋め尽くします。
本展のために製作されたニューグッズも多数登場
スナックの看板をモチーフにした代表作《ニューシャネル》(1998 年)をはじめとした「大竹文字」T シャツなどで人気を博す大竹伸朗グッズ。本展開催にあわせて製作された展覧会オリジナルのニューグッズが続々登場します。
※グッズの詳細は関連プレスリリースや公式サイトにて今後発表予定

展覧会構成
本展は作品制作年の時系列にこだわらず、以下の7 つのテーマで構成されます。7 つのテーマがそれぞれ重なり、ゆるやかにずれながらつながっていく展示空間で、大竹伸朗の作品世界を紹介します。展覧会を締めくくるのは、最新作《残景 0》(2022 年)と最新のスクラップブックです。
※「音」のみ2 階ギャラリー4 が会場となります。

 

自/他

《ミスター・ピーナッツ》 1978-81年 91×72.5cm 個人蔵《ミスター・ピーナッツ》 1978-81年 91×72.5cm 個人蔵

「全く0 の地点、何もないところから何かをつくり出すことに昔から興味がなかった」と語る大竹の表現は、彼が「既にそこにあるもの」と呼ぶ他者との共同作業であり続けてきました。本展は、自画像やこれまで大竹を形成してきた人物や風景などのイメージの群れがずらりとひしめく壁で始まります。9 歳の頃の作品から近年の大作《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》(2012年)まで、大竹の創作活動の歳月を凝縮したセクションです。

記憶

《憶景 14》 2018 年 153 × 133 × 9.2cm《憶景 14》 2018 年 153 × 133 × 9.2cm

「自/他」の共同作業によってゆらぎ変容する自己をつなぎとめるのは記憶です。たわいもない印刷物やゴミとされるようなものまで、ありとあらゆるものを貼り付け、作品にとどめていく大竹の制作は、それ自体が忘却に抗う記憶術だといえるでしょう。その作品が喚起する光景は、大竹個人の記憶にとどまらず、物質に刻まれた記憶の可能性をも問いかけるものです。このセクションは「時憶」「憶景」「憶片」など、記憶に対する大竹の関心を示すシリーズを中心に構成されます。

時間

《 時憶 フィードバック 》 2015 年 42×42 × 96cm《 時憶 フィードバック 》 2015 年 42×42 × 96cm

《 4 つのチャンス 》 1984 年 162 × 162cm《 4 つのチャンス 》 1984 年 162 × 162cm

そのときどきに形を変えるものとして「記憶」を捉えている大竹にとって、時間は他の物質とならぶ素材のひとつです。このセクションでは30年もの時間をかけて変化した素材を用いた作品や、30分間の制限を設けて全く無計画に描きあげた作品などを紹介します。時間は拾い、集め、貼り合わせて厚みを増す材料であり、ときには不確定な偶然を呼び寄せてくれる道具でもあるのです。

移行

《ニューシャネル》 1998 年 179×72.5×16.5cm《ニューシャネル》 1998 年 179×72.5×16.5cm

《 ひねもす叫び 新宿/新潟/熊本 》 1999 年 46.1 × 70.2cm《 ひねもす叫び 新宿/新潟/熊本 》 1999 年 46.1 × 70.2cm

半世紀近い活動を通じて作品の中に折りたたまれた「時間」は、大竹自身の様々な場所への移行によって彩られています。本セクションには、大竹が世界各地や、日本の津々浦々から集めたローカルな図像が現れます。模写や切り貼りによって、元々あった場から何かを転移させることで作品を成り立たせる大竹にとって、「移行」とは作者の身体的な移動だけでなく制作方法をも意味します。

夢/網膜
「移行」という制作方法を、物質的ではないやり方で試みたのが「網膜」シリーズです。捨てられたポラロイド写真が、漠然と思い描いていた夢のようなイメージを「あまりに忠実に再現している」ことを発見した大竹は、その上にどろどろの透明な樹脂をのせました。樹脂の質感と写真の色彩は独立したまま重なり、見る者の目の網膜や脳の中で場所を移し、混ざり合うことで、作品が完成します。

《網膜 ワイヤー・ホライズン、タンジェ》 1990-93年 274×187×20cm 東京国立近代美術館《網膜 ワイヤー・ホライズン、タンジェ》 1990-93年 274×187×20cm 東京国立近代美術館

《Wallpaper》 1978-79年 162 × 162.5cm《Wallpaper》 1978-79年 162 × 162.5cm

「夢/網膜」において重なり合うのは実体のないイメージですが、大竹の制作の基本となるのは、物質の寄せ集めと切り貼りです。このセクションでは、印刷製本技術の粋を凝らした豪華本と、主に既製印刷物のカラーコピーを編集して綴じた手製本を一挙に紹介します。ときに尋常でない数の層となる大竹の作品ですが、覆われて消えながらも残る下層の気配こそ重要だと大竹はいいます。

《 ダブ平&ニューシャネル 》 1999 年 公益財団法人 福武財団《 ダブ平&ニューシャネル 》 1999 年 公益財団法人 福武財団

大竹が積み重ねる「層」の素材は、音も含みます。1982 年の初個展よりも前から、大竹にとって音は最も重要な要素であり続けてきました。このセクションでは、貴重な初期のサウンド・パフォーマンスや、ステージそのものを作品化した大作《ダブ平&ニューシャネル》(1999 年)のほか、音にまつわる作品を紹介します。

主な出品作品
最新作《残景 0》を初公開

《残景 0 》 2022年 212×161×16cm Photo:岡野圭《残景 0 》 2022年 212×161×16cm Photo:岡野圭

 

2019 年以降大竹が取り組む「残景」シリーズの最新作《残景 0》(2022 年) を初めて公開します。あわせて本作の制作過程を追った「21 世紀のBUG 男 画家・大竹伸朗」(BS8K、2022年6月放送)を会場内で上映予定。大竹の創作の現場に初めて密着した貴重なドキュメンタリー映像です。

スクラップブック全71 冊を一挙公開

≪スクラップブック #71宇和島≫ 2018~21年 33× 85.5× 40.4㎝. 574ページ17㎏≪スクラップブック #71宇和島≫ 2018~21年 33× 85.5× 40.4㎝. 574ページ17㎏

 

大竹がライフワークとしてほぼ毎日制作しているスクラップブックは、ノートや既製本にあらゆる印刷物を貼り込み、インクや絵の具を塗り重ねたもので、中には895 ページ、重さ28.9kg ものボリュームにおよぶ作品もあります。2013 年のヴェネチア・ビエンナーレには当時の最新作66 冊目までが出品され、世界の注目を集めました。

本展では、1977年の1冊目から最新作の71冊目まですべて展示します。

ドクメンタの発表作が、ついに関東初上陸

《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》 2012年 Commissioned by dOCUMENTA(13) Photo:山本真人《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》 2012年 Commissioned by dOCUMENTA(13) Photo:山本真人

5 年に1度ドイツ・カッセルで開催される世界最大級の国際展・ドクメンタへ2012 年に唯一の日本人として参加した大竹伸朗。現地で好評を博した《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》(2012年)が初めて関東で公開されます。ネオンサイン、トレーラー、舟、ギター、映像、巨大なスクラップブックなど、ものと音が凝縮された小屋型のインスタレーションです。※会場にあわせた再構成バージョンを展示予定

会期中は東京国立近代美術館が「宇和島駅」に

《宇和島駅》 1997年 各190 × 90 × 180cm Photo:岡野圭《宇和島駅》 1997年 各190 × 90 × 180cm Photo:岡野圭

宇和島駅舎のリニューアルにともない駅名の古いネオンサインをもらい受けた大竹は、これまでも個展開催の度に会場となる美術館にそのネオンサインを作品として設置してきました。本展会期中、東京国立近代美術館の外壁で《宇和島駅》(1997年) のネオンが輝く姿にご期待ください。

※所蔵表記のない作品は作家蔵もしくはTake Ninagawa 蔵

大竹伸朗(おおたけ・しんろう)

©︎Shinro Ohtake, photo by Shoko©︎Shinro Ohtake, photo by Shoko

1955年東京都生まれ。主な個展に熊本市現代美術館/水戸芸術館現代美術ギャラリー(2019)、パラソルユニット現代美術財団(2014)、高松市美術館(2013)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2013)、アートソンジェセンター (2012)、広島市現代美術館/福岡市美術館 (2007)、東京都現代美術館 (2006) など。また国立国際美術館(2018)、ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(2016)、バービカン・センター(2016) などの企画展に出展。ハワイ・トリエンナーレ(2022)、アジア・パシフィック・トリエンナーレ(2018)、横浜トリエンナーレ(2014)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2013)、ドクメンタ(2012)、光州ビエンナーレ(2010)、瀬戸内国際芸術祭(2010、13、16、19、22) など多数の国際展に参加。また「アゲインスト・ネイチャー」(1989)、「キャビネット・オブ・サインズ」(1991) など歴史的に重要な展覧会にも多く参加している。
▶ 作家サイトhttps://www.ohtakeshinro.com

開催概要
展覧会名 大竹伸朗展
会期 2022年11月1日(火)– 2023年2月5 日(日)
会場 東京国立近代美術館1F 企画展ギャラリー、2F ギャラリー4
開館時間 10:00–17:00(金・土曜は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(ただし1月2日、1月9日は開館)、年末年始(12月28 日–1月1日)、1月10日(火)
アクセス 東京メトロ東西線「竹橋駅」1b 出口 徒歩3 分 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
美術館ウェブサイト https://www.momat.go.jp
主催 東京国立近代美術館、日本テレビ放送網
協賛 株式会社ベネッセホールディングス、公益財団法人 福武財団
特別協力Take Ninagawa
公式サイト https://www.takeninagawa.com/ohtakeshinroten/
公式SNS   Instagram / Twitter @ohtakeshinroten
観覧料 一般1,500 円 大学生1,000 円
* いずれも消費税込。 * 高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名) は無料。
* 本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMAT コレクション」もご覧になれます。
チケット販売
[ 数量限定!] グッズ付チケットを9月下旬に発売予定(日テレゼロチケ、ローソンチケット)
通常チケットは東京国立近代美術館( 当日券のみ)、オンラインチケットetix、日テレゼロチケ、ローソン
チケットで発売予定 ※チケットの詳細は「大竹伸朗展」公式サイト・SNS にて今後発表いたします
巡回情報
愛媛県美術館 2023年5月3日(水・祝)–7月2日(日)
富山県美術館 2023年8月5日(土)–9月18 日(月・祝)[仮]

タイトルとURLをコピーしました