ウクライナの子ども360万人が学校に行くことができず、多くがメンタルヘルスの問題のリスクにさらされています

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世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、9月になると世界では休みを終えた数百万人の子どもたちが新学期を迎えます。一方で、推定360万人のウクライナの子どもたちが授業に出られない可能性が高いことに懸念を表明します。
  • 多くの国が新学期を迎えますが、世界では何百万人もの子どもたちが学校に戻る一方で、360万人ものウクライナの子どもたちは授業を受けられない状況にあります
  • 危機発生から半年が経ち、150万人の子どもたちがメンタルヘルスの問題を抱えるリスクに直面しています
  • ワールド・ビジョンのような人道支援団体が、学校に行けない子どもたちへの支援を実行できるためには、資金が必要です

「この紛争は、ウクライナの子どもたちの未来を脅かしています。子どもたちは、昨年の今頃は、通学かばんに荷物を詰めて、学校で友達との再会を楽しみにしていました。しかし、6カ月の間に子どもたちの生活は劇変しました。今では教育へのアクセスが限られ、または、完全に断ち切られています」とワールド・ビジョンでウクライナ危機対応責任者を務めるジェニファー・ニールセンは述べます。

 

『Save Schools in Ukraine (ウクライナの学校を救おう)』*1では、爆撃と砲撃によって2,061校の学校が被害を受け、少なくとも261校の学校が完全に破壊されたと報告しています。また、3,500の教育機関が避難所として利用されています。*2

「学校に戻ることで、子どもたちは日常の感覚を取り戻すことができます。しかし、ウクライナでは何百万人もの少年少女が新学年を迎えることができないのです。学ぶ時間と、学ぶ機会を取り戻すことは信じられないほど困難になることが懸念されます」とニールセンは強調します。

ワールド・ビジョンはウクライナの子どもたちにインフォーマル(非正規)教育の機会と、学習の遅れを取り戻すための教材を提供しています。教育を受けられなくなるリスクのあるすべての子どもたちに支援を届けるためには、より多くの資金が必要です。

「ウクライナの子どもたちには、新学期が始まるとともに、拡充された教育プログラムを通して、学習の教材・機会、支援を提供される必要があります。人道支援団体は、子どもたちが暮らしている地域のパートナー団体とともに、このような子どもたちが求める支援を提供することができます。しかし、支援を実現するためには資金がどうしても必要なのです」とニールセンは述べます。

ウクライナの子どもたちは、教育を受けられないだけでなく、メンタルヘルス上の問題のリスクにもさらされています。ワールド・ビジョンが先日発表した報告書『No Peace of Mind (平安のない心)』 では、ウクライナから逃れてきた150万人以上の子どもたちが紛争の恐怖にさらされた結果、メンタルヘルスの問題を抱えるリスクにさらされていることを警告しています。
※報告書全文はこちら(英文):https://www.wvi.org/publications/report/ukraine/no-peace-mind

「紛争の矢面に立たされるのは、いつも、罪のない子どもたちです。多くの子どもたちが暴力や死を目撃しており、何百万人もの子どもたちが家やペット、さらには家族と離れることを余儀なくされています。子どもたちの生活は引き裂かれています。何百万人もの子どもたちが失われた世代となることがないよう、国際社会は、子どもたちのメンタルヘルスと教育への支援を優先する必要があります」とニールセンは訴えます。 

ワールド・ビジョンはウクライナ危機に対する緊急人道支援を通して、277,000人以上に支援を届けました。5,000人以上の子どもたちが教育プログラムを通して支援を受けています。しかし、冬が近づくにつれてその必要性は高まると予想されており、さらなる課題をもたらす可能性があります。 

「紛争がメディアの見出しから姿を消しつつある中で、ウクライナの子どもたちの継続的かつ増大するニーズを忘れてはなりません。子どもたちには、子どもたちを支えるシステムが必要であり、教育が必要であり、支援が必要です。ワールド・ビジョンのような国際人道支援団体がその支援を行っていますが、実際に支援が届けられるためには、子どもたちへの支援の優先順位を上げて、資金を投入することがどうしても必要です。そして、それが今すぐになされる必要があるのです」とニールセンは語ります。 

*1 https://saveschools.in.ua/   The Ministry of Education and Science of Ukraine
*2 Protection Cluster/ UNHCR:” Guidance Note on support in the identification of alternative housing solutions for IDPs living in educational facilities Ukraine, June 2022” https://reliefweb.int/report/ukraine/guidance-note-support-identification-alternative-housing-solutions-idps-living-educational-facilities-ukraine-june-2022-enuk
 

<ワールド・ビジョンとは>
キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。
詳しくははこちら: https://www.worldvision.jp

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