いちじくの産地として知られる川西市で、「朝採り」で「完熟」のいちじくの収穫が最盛期を迎えている。生産農家は10月末まで、毎日朝早くから収穫と出荷作業に追われる。川西市は県内2位のいちじく収穫量を誇る。愛称は「朝採りの恵み」。8月16日に予定していた「いちじく品評即売会(主催:市農業振興研究会)」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止が決定している。
川西のいちじくは、大阪や神戸など大都市に近い立地条件と、温暖な気候に恵まれた風土を生かした近郊農業として市南部の久代、加茂、栄根地区を中心に約100戸余りの農家が約12ヘクタールの畑で生産。京阪神を中心に年間約400トンが出荷されている。
市内では、JAの農協市場館「四季の郷」(多田桜木2)のほかスーパーなどで販売される。また、市外では、JA兵庫六甲ファーマーズマーケット「スマイル阪神」(伊丹市北本町3)でも購入が可能。
川西産いちじく「朝採りの恵み」の品種である「桝井ドーフィン」は、90年以上前に日本で初めて川西市で栽培され、その後、全国に広まったと言われている。川西のいちじくは完熟のものを朝採りするのが特徴で、太陽がまだ昇らない早朝から、赤く熟した実を一つひとつ丁寧にもぎ取る。朝早くから集荷場に集められたいちじくは、その日のうちに店頭に並び、新鮮な状態で消費者の食卓へと届けられる。
8日、久代1丁目でいちじくを栽培している農家の久代美彌男さん(くしろ みねお)は約8アールの畑で、約80本のいちじくの木になった果実を、夫婦2人で収穫作業を続けている。
今年は7月26日から作業が始まり、ピーク時には午前5時頃から始めて、市場に出荷する午前7時過ぎまで作業が続く。この作業は10月末頃まで続く。
毎日収穫作業に忙しい、久代さんは「今年は雨が少なくて、実に影響がないか心配だったが、例年以上に質の良いいちじくができました。去年から圃場の土壌調査を行い、肥料を改良したことがいい結果に結びついたのかもしれません。ぜひ、皆さんに美味しいいちじくを食べてもらいたい。」などと話していた。