国会の候補者・当選者に占める割合は近年増加傾向がみられます。しかし、未だ政府の掲げる目標値には至っていません。2021年の衆議院選挙においては、候補者に占める女性の割合が17.7%と、目標値である35%から大きく乖離しています。また、女性の割合が少ないのは地方議会も同様です。女性議員の比率はそれぞれ、都道府県議会11.6%、市町村議会14.8%です。また首長に関しても、都道府県知事4.3%、市区町村長2.0%と、男女均等には程遠い状況です。
こうして、女性の政治参画が進まないことで、十分に多様な視点からの課題抽出がなされていない恐れがあります。
2016年に発足して以来、村上財団は、女性や子どもへの支援をする団体を中心に継続的支援やネットワーク構築支援を行ってきました。そしてこの度、女性政治家を増やすための「パブリックリーダー塾」をスタートさせます。次世代を担う女性政治家志望者の支援・育成を通して、日本のジェンダーギャップ解消と社会的課題の解決を目指します。
*どこの党を応援、というものではなく、「政治家になりたい」という女性たちすべてを支援するプロジェクトになります。
加えて、この取り組みに賛同いただいたPwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:大竹 伸明)とともに女性の政治参画の推進を目的とした共同研究を開始しました。
2022年8月4日記者会見にて。*撮影の時のみマスクをはずしております。
【村上玲の思い】
村上財団はこれまで、日本の社会的課題の解決を目指し、働く女性、教育、こどもの貧困などのテーマを中心に活動するNPOを支援してきました。これらのNPOは、セーフティーネットから不本意にもこぼれ落ちてしまった方々の支援や、それに伴う様々な社会的課題への解決に取り組んでいます。こういった社会的課題は、時には国レベルで取り組むべきものも多くあります。大きなNPO団体は、こうした社会課題を国のセーフティーネットの中に盛り込むための政策提言をされていますが、現場の声が確りと政策に反映されるためには、伴走してくれる議員の存在が非常に重要であり、そのような声に耳を傾けてくれるのは女性の議員が多いという話をよく聞きます。
しかし、いまだに日本の国会・議会における女性比率は世界でも最低レベルです。これは、日本で女性が政治家になるためには、男性以上に困難な道を進むことになるからだと思います。
女性元候補者の方々からお話を聞くと、男性候補者がこれまでやってきたように朝早くに辻立ちをしようと思っても、早朝にはベビーシッターも見つからない。こどもをどうにか友人に預けて選挙活動をしても、有権者には「なぜこどもの世話をしないのだ」と言われ、時には票ハラさえ受ける。女性にはこうした困難が待ち受けていますが、どうやって乗り越えればいいのか、誰も教えてはくれず、選挙の途中で挫折する方も多くいらっしゃいます。
果たして、このままでいいのでしょうか。女性の権利や、介護、子育てなど、女性だけでなく全ての人に関わる政策が、「専業主婦の妻」と「働く夫」という昔ながらの家族構成を前提に作られ、長らくアップデートされていません。日本社会は多様化し、日本の社会的課題も多様化しています。しかし政界は多様化できていません。
その現状に危機感を覚え、女性が選挙にチャレンジすることのハードルを少しでも下げたいと願い、パブリックリーダー塾を作りました。チャレンジする女性に、政治や選挙に関する学習の機会と経済的支援を提供し、そして参加者が励まし合えるコミュニティを作ろうと思います。そして、共働きをしながらもキャリアを構築している方、子育てや介護に奮闘しながらも社会貢献事業を行っている方、夢を追いグローバルに活躍している方、今の日本社会を変えていきたいと願い勉学に励む方、シングルマザーの方、こういった「ふつうの女性」が政治家になることを支援することは、私たち村上財団が支援する団体をサポートする政治家が増えることに繋がり、ひいては日本全体の社会的課題の解決に貢献することにも繋がると考えています。本プログラムは、参加者に特定の政党やイデオロギーを求めません。将来政治の世界に進むことを考えているすべての女性にこのプログラムを知っていただき、少しでも背中を押すことができればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【特設サイト】
https://murakamizaidan.jp/public-leaders-academy/
【本件に関する報道関係者及び応募についてのお問合せ先】
https://pro.form-mailer.jp/fms/657dbbf4261817