LiDAR 3Dスキャナ×流体シミュレーションを用いた「気流可視化システム」を開発。

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岩崎電気株式会社(代表取締役社長 伊藤義剛)は、独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター(センター長 西村秀一)、株式会社メディエアジャパン(代表取締役社長 阪田総一郎)と共同で、スマートフォンやタブレットで撮影した3D画像をもとに、屋内空間の気流を可視化する「気流可視化システム」を開発しました。

気流を可視化する3D解析気流を可視化する3D解析

本システムを活用し、感染症リスク低減のため当社が提案している空気循環式紫外線清浄機の効果的な設置や、換気や空調の適正提案による節電などを、今後、さらに信頼性の高い空間環境ソリューションとして展開してく予定です。

「気流可視化システム」は、タブレット端末に備わる「LiDAR※1」機能で室内の3Dスキャナデータを取得。

その3Dモデルを利用した流体シミュレーションによる解析技術と画像表現で、空気清浄機や空調など、重要な要素である「空気の流れ」をわかりやすく可視化します。

特別な機器を使用せずに、短時間で3Dモデル取得や流体解析、さらに3Dの室内気流の映像化が可能で、実環境の気流を現場で簡便に確認できるため、お客さまに合わせた効果的な感染対策や、室内空気質(IAQ)※2向上のスピーディーな提案につながります。

本システムの実証実験は、病院施設内で実施し、3Dスキャンデータを用いて、気流やエアロゾルならびに浮遊汚染物質濃度分布の時間変化などのシミュレーションの解析を行っております。

今後、より信頼性の高い最適化された空間構築の提案の実現を目指して、気流可視化研究※3で得られた気流と空間粒子の動きや、空気循環式紫外線清浄機「エアーリア」や上層空間UVGI※4装置の設置位置による影響などの実測データをシミュレーションへ反映していく予定です。

  • 仙台医療センターの病院施設での実空間の写真とシミュレーション結果

実際の現場写真実際の現場写真

3Dモデルに流体シミュレーション結果を合成 〈風速を色表示 青(遅い)~赤(早い)〉3Dモデルに流体シミュレーション結果を合成 〈風速を色表示 青(遅い)~赤(早い)〉

風速分布風速分布

人工的に散布した模擬汚染粒子の空間濃度分布 〈汚染濃度を色表示 青(汚染物質少ない)~赤(汚染物質多い)指定面での分布も表示可能〉人工的に散布した模擬汚染粒子の空間濃度分布 〈汚染濃度を色表示 青(汚染物質少ない)~赤(汚染物質多い)指定面での分布も表示可能〉

※実際のシミュレーション結果は、室内の風速分布や汚染物質濃度を動画で提供。

  • 参考「気流可視化サービス」での、会議室空間の気流シミュレーション

改善前

対策前の室内環境の状況

気流や空気の汚れのむらを可視化。室内左奥に高濃度の汚染物質が存在。

改善後

エアーリアやUVGI装置による気流適正化

室内状況を確認し、左奥に空気清浄装置を設置して清浄化できている。

  • 具体的に提供するサービスの流れ

感染リスク低減と省エネルギーを両立することのできる、環境配慮型紫外線除菌システムを組合せた提案により、カーボンニュートラルやSDGsの実現に向けて、より安全・安心で快適な室内空間環境、また室内空気質向上に向けた空間環境ソリューションを展開してまいります。

岩崎電気は、これからも光の持つ潜在力を極め、最先端の光技術を駆使し省エネルギー推進による環境負荷の低減と社会の安全・安心に貢献する「光・環境カンパニー」として更なる飛躍を目指し、独自性のある商品開発と周辺事業を含めたソリューションビジネスの展開を図り、より一層付加価値を高めた商品・サービスの提供を推進してまいります。

※1 LiDAR

Light Detection and Rangingの略称。レーザー光を利用して離れた物体の距離を測る仕組みのこと。

※2 屋内空気質

(IAQ:Indoor Air Quality)建物内の空気中のガス成分量を表す、空調・環境に関連する用語。

※3 気流可視化研究

参考ニュースリリース:

高効率の空間浄化を実現する「空気循環式紫外線清浄機の設置方法」に関する研究を開始

高効率の空間浄化を実現する「空気循環式紫外線清浄機の設置方法」に関する研究を開始 | 2023 | 岩崎電気
岩崎電気ニュースリリース。高効率の空間浄化を実現する「空気循環式紫外線清浄機の設置方法」に関する研究を開始

(2023年9月26日配信)

※4 UVGI

Ultraviolet Germicidal Irradiationの略称。紫外線を細菌に照射し、不活化する技術の総称。

  • 独立行政法人国立病院機構 ウイルスセンター

国立病院機構仙台医療センター(院長 江面正幸)内の、ウイルスセンターは、1963年に開設された国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設です。

開設以来輝かしい研究成果を挙げており、1985年にはその実績からWHO(世界保健機関)呼吸器ウイルス調査協力センターに指定されました。

現在多くの医療機関から依頼される臨床検体から、さまざまなウイルスを分離・同定する仕事の他、研究・教育にも精力的に活動を行っており、その成果を国内外へ発信しています。

  • 株式会社メディエアジャパン

メディエアジャパン(代表取締役社長 阪田総一郎)は、仙台医療センターウイルスセンターと長年にわたり感染症制御に関する共同研究しており、空気環境のクリーン化技術に関するコンサルタント業務に取り組む。

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