JR7社からなるJRグループと全国72社の民営鉄道事業者が加盟する一般社団法人日本民営鉄道協会(以下、民鉄協)は、脱炭素社会実現への貢献を通じて、共通の事業基盤である地域・社会のサステナビリティの向上に資することをめざし、とりわけ、都市圏・都市間輸送において相対的に低炭素な輸送・交通モードとしての鉄道の環境優位性の社会的な理解を広め、旅客輸送および貨物輸送における鉄道のさらなる利活用を促進するため、連携し、PRを強化します。
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鉄道の環境優位性のPR強化に向けたコンセプトの策定
JRグループと民鉄協の構成各社では、環境にやさしい鉄道の利用促進に取り組んできました。日本のカーボンニュートラルの実現に向けて、相対的に低炭素な輸送モードである鉄道のさらなる利活用促進(モーダルシフト)をめざすとともに、鉄道の環境優位性に対する社会的な理解促進に取り組むため、以下の共通ロゴマークとスローガンを定め、鉄道業界一丸でPRを強化していきます。
なお、この取り組みは、環境省による「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」に賛同した取り組みであり、デコ活アクションのうち、「できるだけ公共交通・自転車・徒歩で移動する」並びに環境省が推奨する「スマートムーブ」(CO2排出の少ない移動方法を選択すること)の具現化につながることを期待しています。あわせて、経済産業省および国土交通省が提唱する「グリーン物流」の実現にも貢献することをめざしています。
≪デザインイメージ≫
・カーボン“ゼロ”をめざすことや列車の車窓をモチーフに意匠化
・クリーンな大気や自然を想起させるターコイズグリーンを基本色とし、各社コーポレートカラーでも展開予定
・スローガンは、サステナブルな未来に向けて、鉄道のご利用を前向きに社会やお客様に呼び掛けるイメージ
(共通ロゴマーク・スローガン)
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今後の展開について
今後、共通ロゴマークとスローガンを活用し、各鉄道事業者のメディア(ウェブサイト、列車・設備・駅頭への掲出、車内ビジョン、ポスター、広告等)を通じた啓発の強化をはじめ、事業者横断でのPRを強化していきます。
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日本のCO2排出に占める運輸部門の位置づけ
日本のCO2排出量(2021年度 約10.6億t-CO2)のうち、約2割を運輸部門の排出量が占めており、運輸部門におけるCO2排出量の削減は、我が国の2050年カーボンニュートラル実現の重要な構成要素です。
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運輸部門全体のカーボンニュートラルへの道のりと鉄道の環境優位性
運輸部門全体のカーボンニュートラルに向け、自動車、航空機、船舶、鉄道といったそれぞれの輸送モードにおける脱炭素化の取り組みを進めるとともに、旅客輸送と貨物輸送の双方において、お客様の目的に応じて合理的な範囲で、相対的に低炭素な輸送モードのさらなる活用(モーダルシフト)が併せて実行されることが有効です。
この点で、鉄道は運行時のエネルギー効率が良く、大量輸送に適していることから、輸送密度が高い都市圏輸送や都市間輸送において、単位輸送量あたりのCO2排出量が、他の輸送モードと比べて非常に少ないという環境優位性を大きく発揮することができます。
このことから、世界が脱炭素に向けた動きを加速させる中で、多くの国や地域において、鉄道を中核とする公共交通の利活用促進が進みつつあります。
また、各鉄道事業者においては、脱炭素社会への移行に向けて、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入といったCO2排出削減の取り組みを通じて、鉄道の環境優位性をさらに高めていきます。
(鉄道事業者におけるCO2排出削減の取り組みの例(一部))
◆さらなる省エネルギー
-省エネルギー型車両の導入の推進
省エネルギー型の新型車両の例
◆再生可能エネルギーの導入推進
-JR東日本 東北エリアの電車運行電力100%再エネ化(2030年度計画)、水素ハイブリッド電車の開発等
-JR東 海 武豊線100%再エネ化(2022年度)、新幹線のり面を活用した太陽光発電の検討等
-JR西日本 大阪環状線・JRゆめ咲線100%再エネ化(2023年度)、新幹線10%再エネ化(2027年度計画)等
-JR九 州 博多駅ならびに筑肥線内10駅の駅舎使用電力100%再エネ化(2022年度)等
-JR各 社 次世代バイオディーゼル燃料の実装に向けた実証実験の推進等
-東急電鉄 東急線全線の100%再エネ化(2022年度)等
-京成電鉄 スカイライナーの100%再エネ化(2023年度)等
◆その他お客様や社会への働きかけ
-東海道・山陽・九州新幹線において法人のお客様向けのWEBサイトで新幹線各駅間のCO2排出量を見える化
-家の電気を消して、お出かけ(「OFF&GO」アクション)を提案する「東急線沿線お出かけ節電プロジェクト」
JRグループならびに民鉄協は、我が国のカーボンニュートラルの実現に向けて、鉄道・公共交通事業者としての役割を果たし、地域・社会のサステナビリティに貢献していきます。