アフリカの98%の子ども:気候変動の影響、高リスク以上【プレスリリース】

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南部諸民族州(SNNP)にある村で、干ばつにより乾いた砂を手に取る子ども。(エチオピア、2023年7月撮影) © UNICEF_UNI417897_Pouget南部諸民族州(SNNP)にある村で、干ばつにより乾いた砂を手に取る子ども。(エチオピア、2023年7月撮影) © UNICEF_UNI417897_Pouget

【2023年9月1日 ナイロビ発】

アフリカの子どもたちは、気候変動の影響を最も受けやすい立場にありながら、彼らが気候危機に適応し、それを生き延び、またそれに対応することを支援するのに必要な主な気候資金の流れから、著しく見放されています。

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アフリカ気候サミットがケニアのナイロビで開催されるにあたり、本日ユニセフが発表した報告書「行動する時は今:アフリカの子どもたちに気候変動対応の焦点をあてるために(Time to Act: African children in the climate change spotlight)」によると、評価対象となったアフリカの49カ国中48カ国の子どもが、気候変動による影響のリスクが高い、または極めて高い状態にあると分類されています。この分析では、子どもたちがサイクロンや熱波などの気候・環境ショックにさらされている状況を基に、また併せて必要不可欠なサービスへのアクセス状況から測られるこういったショックに対する脆弱性を基に、各国を評価しています。

 

なかでも、中央アフリカ共和国、チャド、ナイジェリア、ギニア、ソマリア、ギニアビサウに暮らす子どもたちが最も危険にさらされています。

 

子どもたちに対するこのようなリスクの高まりを受けて、本報告書では、多国間気候基金(MCF)がどのように資金を投入しているかを検証しています。この主要な地球規模の気候資金の中で子どもに対応した活動を支援しているのはたった2.4%で、その額は年平均わずか7,100万米ドルです。対象年齢グループを若者にまで広げると、MCFの総支出の6.6%ほどに増えます。

すぐに食べられる栄養治療食を口にする女の子。ユニセフは、干ばつの影響を受ける地域に水や保健、栄養などの緊急支援を提供している。(ソマリア、2023年6月撮影) © UNICEF_UNI418520_すぐに食べられる栄養治療食を口にする女の子。ユニセフは、干ばつの影響を受ける地域に水や保健、栄養などの緊急支援を提供している。(ソマリア、2023年6月撮影) © UNICEF_UNI418520_

ユニセフ・東部・南部アフリカ地域事務所副代表のリーケ・ファン・ドゥ・ヴィールは、「アフリカ社会の最も若い人々が、気候変動の過酷な影響の矢面に立たされていることは明らかです。彼らは生理学的に脆弱であり、必要不可欠な社会サービスが満足に利用できないため、気候変動への対処能力が最も低いのです。生涯にわたるであろう気候変動による混乱に対応していけるよう、私たちは彼らに資金を集中する必要があります」と述べています。

 

子どもはおとなよりも、気候や環境によるショックやストレスの影響に弱いのです。洪水、干ばつ、暴風雨、熱波などの災害に耐え、生き延びる能力が身体的に劣り、鉛などの有害物質やその他の形態の汚染に対して生理学的に脆弱です。

 

実質的にすべての国々が、必要不可欠なサービスの提供において大幅な進歩を遂げているにもかかわらず、良質な保健・栄養サービスが十分に利用できないこと、安全な水と衛生設備・衛生環境が欠如していること、質の高い教育が十分に受けられないこと、貧困率が高いことなどの、根強い課題によって子どもたちの脆弱性が高まっています。

 

憂慮すべきことに、報告書では、保健、栄養、水と衛生サービスの評価が低い国と、「子どもの気候危機指数」 が高い、または極めて高い国との間に強い相関関係があることが明らかになっており、こうした国々の子どもたちが気候変動の影響に対していかに脆弱であるかが浮き彫りになっています。

 

サイクロン「フレディ」により浸水した学校の前に立つ12歳のイブラヒムさん。(マラウイ、2023年3月撮影) © UNICEF_UN0808577_Malawiサイクロン「フレディ」により浸水した学校の前に立つ12歳のイブラヒムさん。(マラウイ、2023年3月撮影) © UNICEF_UN0808577_Malawi

守られるべき立場にいる一方で、子どもと若者は、長期的な変化と持続可能性に寄与できる力を持っています。そのため、彼らの発想や創造性、スキルと真摯に向き合い、政策や資金調達を含む解決策の不可分な一部として取り込んでいく必要があるため、今こそ行動が必要です。

 

ユニセフは関係国連機関と、アフリカ各地のコミュニティが気候変動の影響に適応していく中で、いかにしてレジリエンスを高めていくことができるかを実証する、ますます多くのプロジェクトで協働しています。

 

2022年に相次いで致命的な気候災害に見舞われたサヘル地域で、ユニセフとパートナーは、人々に焦点をあてた統合的な手法を用いて、保健、栄養、水、教育、子どもの保護に関するサービスを含めた5分野にまたがる支援を提供しました。参加型の計画策定と包括的サービスの提供を通して、コミュニティがショックやストレスの影響を緩和し、残存するリスクを管理できるようにしたのです。2020年以来、このプログラムによって、少なくとも300万人の脆弱な立場にいる人々(うち270万人は子ども)が、特に気候変動によるショックやストレスの際に、必要不可欠なサービスを利用できるようになりました。

 

ユニセフは、国連環境計画(UNEP)および国際労働機関(ILO)と共に若者、政府、雇用者・労働者団体および民間セクターと協力し、「若者のためのグリーン雇用協定(Green Jobs for Youth Pact)」を策定・実施しています。この取り組みは2030年までに、環境の保全や回復に貢献し、働きがいのある人間らしい仕事に従事できるようなグリーン雇用を新たに100万人分創出し、100万人分の既存雇用をグリーンに転換し、1万人の若手グリーン起業家の起業を支援することを目的としています。

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■ 報告書「行動する時は今:アフリカの子どもたちに気候変動対応の焦点をあてるために(Time to Act: African children in the climate change spotlight)」全文はこちらでご覧いただけます。

https://www.unicef.org/esa/documents/time-to-act

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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