エキシビジョンでは、アルストロニカセレクションとして、S+T+ARTSPRIZEの大賞受賞作品、庭に着目したポリネーター(花粉媒介者)のためのアート作品「Pollinator Pathmaker」のほか、複雑な意思決定のプロセスが自動化される中で良い/悪いを判断するシステムを問う「ERBSENZÄHLER Quality Sorter V1」、デジタル権威主義の文脈の中で消されてしまう政治の問題と声の儚さを探求する「Unerasable Characters Series (2020-2023)」に加え、一般市民が参加する科学研究を表彰する「European Union Prize for Citizen Science」など、注目の作品と活動を紹介します。
そのほか、最新の科学、芸術、自然を体感する3つのワークショップやアーティストトークなども実施。今年のテーマ「Seeds of Hope ーここで、あそぶ時間ー」を軸に未来を試す、新しいお祭りを実践します。
公式サイト https://science-art-matsudo.net/
科学と芸術の丘 2023 メイン会場プログラムリリース全文
https://prtimes.jp/a/?f=d87671-5-b6aa3ead8f3fd03bb3c4a593da2644ac.pdf
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【メイン会場】戸定邸 プログラム
#エキシビジョン
世界的なメディアアートの文化機関、アルスエレクトロニカとともにキュレーションした、国内外のアーティストによる作品展示を行います。作品は戸定邸の各所にてご覧いただけます。
Pollinator Pathmaker / Alexandra Daisy Ginsberg
Pollinator Pathmakerは、ポリネーター(花粉媒介者)のためのアート作品であり、実際に人間によって植物が植えられ、手入れされる作品です。アーティストのアレクサンドラ・デイジー・ギンズバーグによって制作されたこの作品は、私たちが庭をどのように捉え、誰のために作るのかという考えを変えることを目的としています。ギンズバーグは、園芸家、花粉媒介者の専門家、AI科学者と協力し、多数の花粉媒介者をサポートするために共感できる植栽デザインを生成する独自のアルゴリズム・ツールを考案しました。このPollinator Pathmakerのデジタル・レンダリングは、花粉媒介者が作品を体験するときの視点をシミュレートしながら、庭の計画を飛び回るように見ることができます。
Alexandra Daisy Ginsberg
アレクサンドラ・デイジー・ギンズバーグは、自然やテクノロジーと私たちの危うい関係を考察する、学際的なアーティストである。人工知能、合成生物学、自然保護、進化など多様なテーマを通して、世界を「より良く」しようとする人間の衝動を探求している。彼女の作品はシカゴ美術館、クーパー・ヒューイット国立デザイン美術館、カールスルーエ・アート・アンド・メディア・センター(ZKM)などに収蔵されている。2022年、花粉媒介者のための生きたアート作品シリーズ「Pollinator Pathmaker」を立ち上げ、世界最大のクライメートポジティブなアート作品を作りたいという長期的な願いのもと、実際に人間によって植物を植え、手入れしている。2023年4月、トレド美術館で米国初の個展「Machine Auguries:Toledo」を開催。
ERBSENZÄHLER Quality Sorter V1 / Verena Friedrich
「良いものはポットに、悪いものは作物に」ーこれはシンデレラの物語にある一説です。しかし、何が良くて何が悪いかを実際に決めるのは誰なのでしょうか。そして、複雑な意思決定のプロセスがますます自動化され、「インテリジェント」なシステムに委ねられるとどうなるのでしょうか。
ERBSENZÄHLER(エンドウ豆のカウンター)Quality Sorter V1は、エンドウ豆を個別に分析し、良品と不良品に選別する機械です。
鑑賞者はワークステーションに座ることができ、供給装置とベルトコンベアを使って選別されたエンドウ豆を顕微鏡で検査します。鑑賞者はエンドウ豆を品質によって判断し、ボタンを押して選択するよう求められます。「悪い」と判定された豆は、不合格の箱に送られ、「良品」と判定された豆は、最終的に加工用の箱に入れられます。ボタンを押すたびに、機械はそれぞれのエンドウ豆のクローズアップ写真を撮ります。画像はデータベースに追加され、将来の自動化に使用されます。
Credits: Arts Foundation of NRW, Künstlerdorf Schöppingen Foundation.
Verena Friedrich
ヴェレーナ・フリードリッヒ(デンマーク)は、アーティストであり、ケルン・メディア・アート・アカデミー(KHM)の助教授でもある。彼女の時間ベースのインスタレーションは、有機的、電子的、彫刻的なメディアを融合させ、テクノロジーの介入と制御の可能性と限界を探求している。彼女の作品は、世界中の展覧会、メディア・アート・フェスティバル、カンファレンスで紹介されている。これまでに、EMARE助成金、クンストフォンド基金からの作品制作費、カールスルーエ・アート・アンド・メディア・センター(ZKM)の科学と芸術のための国際メディア賞など、いくつかの賞を受賞している。
Unerasable Characters Series (2020-2023) / Winnie Soon
Unerasableシリーズは、デジタル権威主義の文脈の中で消されてしまう政治の問題と声の儚さを探求しています。技術基盤やインフラを通して実施される検閲の果てしなさとその幅広い結果を技術的に検証し、文化的に反映させることで、聞くことのできない声のスケールの大きさを提示します。
Winnie Soon
ウィニー・スーンは、香港生まれのアーティスト・コーダーであり、強大な権力の非対称性に取り組むデジタル・インフラストラクチャーの文化的影響に関心を持つ研究者。フリー&オープンソース・カルチャー、その他のコーディング、芸術的/技術的マニュアル、デジタル検閲、マイナー・テクノロジーといったテーマに取り組んでいる。作品は、美術館、ギャラリー、フェスティバル、分散型ネットワーク、論文、オルタナティブな文書形式などで発表されている。ウィニーは、Software Studies Book Series(MIT Press)の共同編集者であり、研究プロジェクトDigital Activismの共同研究代表者、British Digital Art Networkの共同研究リーダーでもある。また、ロンドン芸術大学のCreative Computing Instituteコースのリーダー、オーフス大学の准教授(休職中)。
www.siusoon.net
European Union Prize for Citizen Science
シチズン・サイエンスとは、オンラインプラットフォームやモバイルアプリケーション、あるいは現地にて、関心のある一般市民が参加する科学研究のことです。科学者は通常では入手できないデータ(量)にアクセスすることができ、市民は複雑な状況や科学的手法に対する洞察を得ることができます。シチズン・サイエンスは、鑑識眼を持ち、明白で革新的な相互作用をもたらすものであり、私たちの社会や生活環境の前向きな変化に貢献する大きな可能性を秘めています。この活力を促進するために、2023年、欧州委員会は高額の寄付を行う「European Union Prize for Citizen Science」を新たに開始しました。欧州委員会は、シチズン・サイエンスの重要性を強調するとともに、欧州における多元的で包括的かつ、持続可能な社会のさらなる発展を促進する社会的・政治的インパクトを持つ優れたプロジェクトを表彰、発表、支援したいと考えています。
科学と芸術の丘2023では、今年初開催となる「European Union Prize for Citizen Science」受賞プロジェクトを3つご紹介します。
アルスエレクトロニカは、IMPETUSプロジェクトに関わるシチズン・サイエンス部門に、欧州委員会を代表して、European Union Prize for Citizen Scienceを授与します。IMPETUSは、EUの研究・イノベーションのためのプログラム WIDERA 2021-ERA-01より、無償資金協力契約No.101058677の助成を受けています。
European Union Prize for Citizen Science(英語):https://ars.electronica.art/citizenscience/en/
Non-Retina Kinematograph (2017 – ) / 齋藤帆奈
本作品には、iPad上で培養された粘菌 、粘菌の動きに合わせた超低速で動画が再生されているiPad、映像のプロジェクションが含まれる。粘菌は、画像処理プログラムによって動画を「鑑賞」し、「編集」する。静止画に見えるほど超低速の動画と粘菌は、人間にとって動画と感じられる速度に変換され投影される。
齋藤帆奈
現代美術作家。1988年生。多摩美術大学工芸学科ガラスコースを卒業後、metaPhorest (biological/biomedia art platform)に参加し、バイオアート領域での活動を開始。現在は東京大学大学院学際情報学府博士課程に在籍(筧康明研究室)。理化学ガラスの制作技法によるガラス造形や、生物、有機物、画像解析等を用いて作品を制作しつつ、研究も行っている。近年では複数種の野生の粘菌を採取、培養し、研究と制作に用いている。主なテーマは、自然/社会、人間/非人間の区分を再考すること、表現者と表現対象の不可分性。
「ファット」な身体との付き合い方 / 津野青嵐
私は現在“「ファット」な身体との付き合い方―衣服の共同制作を手がかりにー”というテーマで、非言語的な当事者研究の実践を通した研究活動を行っている。「ファット」な身体とは、医学的分類における肥満当事者の❝太っている❞という主観的な身体感覚に焦点を当てた呼び方である。当事者研究は本来“自分の言葉を作ることによって苦労を取り戻す”という自助的なアプローチであるが、私はそれを“自分の衣服を作ることによって身体を取り戻す”というように捉え直し、自助的な衣服制作を通して身体との付き合い方を探求している。本展示で自分自身の当事者研究や、現在進行中の祖母との衣服の共同制作のプロセスの一部を紹介したい。
津野青嵐
1990年生まれ。看護大学を卒業後、精神科病院で約5年間勤務。学生時代より自身や他者への装飾を制作し発表。病院勤務と並行して山縣良和主宰のファッションスクール「coconogacco」で学ぶ。2018年欧州最大のファッションコンペ『ITS』にて日本人唯一のファイナリストに選出され、3Dペンで作った服が注目される。2019年10月より、新たなファッション表現の可能性を探りに“当事者研究”発祥の地である北海道“浦河べてるの家”(精神障害当事者等の地域活動拠点)へ勤務し、リサーチと制作を行う。2021年10月より東京工業大学修士課程入学。伊藤亜紗教授の研究室で学びながら、「ファット」な身体との付き合い方を、衣服の共同制作を通して研究中。
#ワークショップ
最新の科学、芸術、自然を体感するワークショップを開催します。
場所:戸定が丘歴史公園、松雲亭
参加方法:要チケット、要事前予約
※詳細は公式サイトにてご確認ください。
昆虫観察アウトドアワークショップ「科学と芸術の丘探検隊」/ 千葉大学大学院園芸学研究院 応用昆虫学 野村昌史研究室
日時:10/21(Sat)、10/22(Sun)❶10:30-12:00 / ❷13:30-15:00
会場:戸定歴史が丘公園
参加費:500円 ※「科学と芸術の丘」エキシビションのチケットが必要です。 定員:各回約20名
対象:小学生以上 ※小学生以下の方は、保護者さまと一緒にご参加ください。
通路やお庭などを見て回り、戸定が丘歴史公園内の昆虫たちを探し出す探検隊、今年も結成します。忙しく活動中の昆虫や冬越しの準備をしている虫たちを観察して、今の時期の昆虫たちの姿を浮かび上がらせます。季節を惜しむように活動する種類や、冬を乗り切る準備に忙しい姿を探しだします。身近な場所で小さな自然を一緒に観察しましょう!雨天決行です。
プログラミングで音楽を演奏しよう – ライブコーディング・ワークショップ / 田所 淳
日時:10/21(Sat)12:30-13:30
会場:松雲亭
参加費:500円 ※「科学と芸術の丘」エキシビションのチケットが必要です。
定員:15名
対象:小学生以上 ※小学生低学年の方は、保護者さまと一緒にご参加ください。
「ライブコーディング」とは、コーディング(プログラミング)を即興で行い音楽や映像をリアルタイムで生成するパフォーマンスです。楽器を演奏するようにプログラミングを行います。このワークショップでは「Strudel」というWebブラウザ上で使用可能なライブコーディング環境を使用してライブコーディングの入門的な内容を紹介します。
からだの即錯ワークショップ / 小鷹研理
日時:10/21(Sat)14:30-15:30、10/22(Sun)12:30-13:30
会場:松雲亭
参加費:500円 ※「科学と芸術の丘」エキシビションのチケットが必要です。
定員:各回約15名
対象:小学生以上 ※小学生低学年の方は、保護者さまと一緒にご参加ください 。
2人1組となって、特別な道具を使わずに、身体の各部の「かたち」や「自分のものと感じられる感覚」をさまざまに変えてしまう「からだの錯覚」を一緒に体験していきます。人の手が自分の手になったり、自分の手足から感覚が失われたり、指や耳たぶが伸びたり、離れている手と手がくっついたり、、さまざまな錯覚体験を通じて、現実が本来内包している「懐の深さ」を体感していきましょう。
#トーク
科学、芸術、自然について考える対話を実践します。
会場:戸定邸、オンライン同時配信あり
*全プログラムをYouTubeにて配信します。
科学と芸術の丘 YouTube https://www.youtube.com/channel/UCHi9PHy_eO5azkHolASEWFw
参加方法:戸定邸現地観覧はチケット必要、要予約。オンライン視聴はチケット・予約ともに不要
10/21(Sat)
11:00〜11:15 / オープニングトーク
▷Speaker
本郷谷健次(松戸市長)
清水陽子(Ars Electronica Futuerlab Key Researcher & Artist)
尾形一枝(戸定歴史館 館長)
関口智子(科学と芸術の丘 総合ディレクター/一般社団法人ゼロファクトリアル代表理事)
12:00〜12:40 / アーティストトーク
▷Speaker
齋藤帆奈(現代美術作家)
13:30〜14:20 / 【Talk Session】Art & Government 〜あそびと創造性〜
▷Speaker
井之浦太郎(松戸市経済振興部審議監)
清水陽子(Ars Electronica Futuerlab Key Researcher & Artist)
殿塚建吾(科学と芸術の丘統括プロデューサー/omusubi不動産代表取締役)
15:00〜15:45 / アーティストトーク
▷Speaker
Verena Friedrich(アーティスト / ケルン・メディア・アート・アカデミー(KHM)助教授)
10/22(Sun)
11:30〜12:15 / アーティストトーク
▷Speaker
Winnie Soon(アーティスト / コーダー)
13:00〜13:40 / アーティストトーク
▷Speaker
津野青嵐(アーティスト・ファッションデザイン・精神科看護)
14:30〜15:20 / アーティストトーク
▷Speaker
Alexandra Daisy Ginsberg(アーティスト)
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参加チケット
メイン会場・戸定が丘歴史公園・戸定邸・松雲亭でのエキシビジョン、トーク、ワークショップ(*別途500円必要)にご参加いただけます。(別途要予約、先着順)
#料金 (事前購入)
一般:1,000円
高校生・大学生:900円
松戸市市民割:500円(在住/在勤/在学の方)*要証明書提示
中学生以下:無料
*一般、高校生・大学生の当日券は各500円増し
#取扱い
Peatixよりご購入ください。当日、戸定邸入口前【総合受付】にてお受付いたします。なお、トーク・ワークショップは、チケット購入後にご案内するPeatixのURLにて10/1(日)より事前予約を開始いたします。
10/21(土)チケット https://science-art-matsudo20231021.peatix.com/
10/22(日)チケット https://science-art-matsudo20231022.peatix.com/
《販売期間》開催日前日の16:30まで
*チケットは当日のみ有効
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《開催概要》
名称:科学と芸術の丘 2023
日時:<本祭>2023年10月21日(土)10:00 〜 16:30 、22日(日)10:00 〜 16:00
会場:千葉県松戸市(戸定が丘歴史公園、戸定邸、松雲亭、江戸川河川敷、松戸市内店舗 )
*トーク、ワークショップなどへの参加は別途予約が必要です。
URL:https://science-art-matsudo.net/
< メイン会場:戸定が丘歴史公園、戸定邸、松雲亭 >
開催期間: 2023年10月21日(土)〜10月22日(日)
会場:戸定が丘歴史公園・戸定邸・松雲亭(〒271-0092 松戸市松戸714番地の1)
料金:一般 1,000円、高校生・大学生 900円、松戸市市民割 500円(在住/在勤/在学の方)、中学生以下 無料 *一般、高校生・大学生の当日券は500円増し
プログラム:エキシビジョン、トーク、ワークショップ 他
出展アーティスト:Alexandra Daisy Ginsberg、Verena Friedrich、Winnie Soon、津野青嵐、齋藤帆奈
トーク登壇者:本郷谷健次、清水陽子、齋藤帆奈、Verena Friedrich、Winnie Soon、津野青嵐、Alexandra Daisy Ginsberg、井之浦太郎、尾形一枝、殿塚建吾、関口智子 他
ワークショップ講師:名古屋市立大学 芸術工学研究科情報環境デザイン領域 小鷹研理、前橋工科大学工学部総合デザイン工学科 准教授 田所 淳、千葉大学園芸学部応用昆虫学 野村昌史研究室
主催:松戸市、科学と芸術の丘実行委員会
企画運営:科学と芸術の丘実行委員会、丘のマルシェ実行委員会
協力:Ars Electronica(アルスエレクトロニカ)、European Union Prize for Citizen Science(founded by the European Union / IMPETUS project)、名古屋市立大学 芸術工学研究科情報環境デザイン領域 小鷹研究室、千葉大学園芸学部 応用昆虫学野村研究室
特別協力:松戸シティガイド
後援:JOBANアートライン協議会、松戸商工会議所、一般社団法人松戸市観光協会、公益財団法人松戸市文化振興財団、公益財団法人松戸市国際交流協会、松戸市教育委員会
協賛:京葉ガス株式会社、プラーレ松戸、株式会社千葉銀行、株式会社千葉興業銀行、東京ベイ信用金庫
助成:令和5年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業、千葉県誕生150周年記念事業補助金
科学と芸術の丘 2023 メイン会場プログラムリリース全文
https://prtimes.jp/a/?f=d87671-5-b6aa3ead8f3fd03bb3c4a593da2644ac.pdf
※内容は予告なく変更する場合があります。予めご了承ください。