◆調査サマリー
今回実施したアンケート調査の結果から得られた主な考察は、以下の通りです。
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1.先物/オプションなど、比較的リスクの高い金融商品に投資している人の満足度が高い
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2.短期的な利益を狙っている/大きなリスクを許容する人は満足している人が多いが、「非常に不満」と感じている人も多い
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3.自分一人で学ぶ人よりも、他の人と交流しながら学ぶ人の方が満足できる成果を得られやすい傾向がある
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4.投資の目的が特にない人で満足しているのは5.3%、情報収集/分析/スキルアップの取り組みを行っていない人も満足度が大きく下がる
◆調査の実施概要
調査機関 :自社調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:日本全国
対象者 :「現在、投資に取り組んでいる」と回答した20歳以上の男女
調査期間 :2023年6月1日~6月2日
有効回答 :328名※
※20~29歳が66名、30~39歳が66名、40〜49歳が65名、50〜59歳が65名、60歳以上が66名。各年代均等となるようにサンプルを取っています。
◆主な調査結果
以下、主な調査結果を具体的な数値とともに紹介していきます。
1.先物/オプションなど、リスクが比較的高い金融商品に投資している人の満足度が高い
過去1年間における投資成果について質問したところ、「非常に満足/やや満足」と回答した人は全体の44.5%、「非常に不満/やや不満」と回答した人は全体の18.6%でした。この期間においては、投資成果に対して満足している人が多かったことが読み取れます。
「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合を投資している金融商品別に集計すると、1位が「先物/オプション」の78.7%と最も高く、2位は「CFD(FX以外の差金決済取引)」の78.3%、3位は「バイナリーオプション」の77.7%となりました。リスクが比較的高めの投資対象の方が満足感につながるという、少し意外な結果となっています。
2.短期的な利益を狙っている/大きなリスクを許容する人は満足している人が多いが、「非常に不満」と感じている人も多い
投資成果について「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合を投資スタイル別に集計すると、「リターン:大、リスク:大」が70.8%と最も高く、「リターン:中、リスク:中」の41.4%、「リターン:小、リスク:小」の37.2%という順に低くなっています。このことからは、大きなリスクを許容する人の方が満足度が高くなりやすいといえそうです。
ただし、「非常に不満」と回答した人の割合も「リターン:大、リスク:大」が12.5%と最も高くなっている点も見逃せません。高いリスクを許容する場合は、満足度が高くなりやすい反面、非常に悪い結果が出やすくなることがうかがえます。
同様に「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合を投資目的別に集計すると、1位が「定期的な収益・配当の獲得」の59.4%、2位が「短期的な利益を得ること」の51.5%、3位が「(投資が)趣味・楽しみ」の50.0%でした。
満足した人が多い「短期的な利益を得ること」ですが、同時に「非常に不満」と回答した人も15.2%と1位となっています。この値は他と比べて極めて高く、良い成果が出た人が多いものの非常に悪い結果も出やすいことがうかがえます。
なお、「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合が最も少なかったのは「特に目的はない」で、わずか5.3%と非常に低い値でした(「その他」を除く)。目的を持たずに何となく投資をしている人は、満足度が上がりにくいということも読み取ることができます。
3.自分一人で学ぶ人よりも、他の人と交流しながら学ぶ人の方が満足できる成果を得られやすい傾向がある
投資成果について「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合をスキルアップのために行っている取り組み別に集計すると、1位が「オンライン講座や動画を視聴する」の59.6%、2位が「投資セミナーや勉強会に参加する」の56.1%、3位が「SNSで情報交換する」の54.5%、4位が「書籍や雑誌を読む」の46.3%、5位が「個人で研究する」の41.4%でした(「その他」を除く)。
50%台の1〜3位は、動画講義や勉強会、SNSといった形で人と交流しながら学ぶ形です。これに対して50%を切った4〜5位は、書籍を読んだり個人で研究したりと、自分一人で学ぶ側面が大きいところがあります。このことからは、一人で学ぶよりも他の人と交流しながら学んだ方が、投資の満足感につながりやすいといえそうです。
なお、「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合が最も少なかったのは、「特になし」の26.2%でした。何かしらの取り組みを行っている人と比較して大きく下がる結果となっており、スキルアップの取り組みを行っていない人は、投資の満足度は上がりにくいことがうかがえます。
4.投資の目的が特にない人で満足しているのは5.3%、情報収集や分析、スキルアップの取り組みを行っていない人も満足度が大きく下がる
投資成果について「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合を分析方法別に集計すると、1位は「テクニカル分析」の55.7%、2位はファンダメンタルズ分析の52.1%でした。これに対して、「特になし(なんとなく/気分で判断することが多い)」は32.0%と大きく満足度が下がっています。
同様に「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合を情報収集方法別に集計すると、1位が「テレビ/ラジオ」の53.3%、2位が「友人/知人からの情報」の53.0%、3位が「SNS(Twitter/YouTubeなど)」の51.2%となりました。全体的に50%前後のものが多く、大きな差は出なかったという印象です。
この結果で目を引くのが「情報収集していない」で、「非常に満足/やや満足」と回答した人の割合は15.4%と極端に低い値となっています。このことから情報収集を積極的に行っていない人は、投資の満足度が上がりにくいといえそうです。
最後に上のグラフは、これまでに紹介している4つの質問(情報収集/分析/スキルアップの取り組み/投資の目的)において「特になし」などの回答をした人のうち、投資成果について「非常に満足/やや満足」と感じている人の割合を示したものです。
全体平均の44.5%に対して、情報収集を特に行っていない人は15.4%、分析を特に行っていない人は32.0%、スキルアップの取り組みを特に行っていない人は26.2%、投資の目的が特にない人は5.3%という結果でした。いずれも各質問において最下位の割合で(「その他」を除く)、前向きに投資に取り組んでいない人は満足度が高くなりにくいことが読み取れます。
◆前向きに投資に取り組む姿勢が満足度を高める
今回の調査結果からは、投資の成果について満足と感じている人の傾向が見えてきました。意外にも感じますが、短期的な利益を狙う/大きなリスクを許容する人の方が満足度が上がるという結果が出ています。ただし、同時に「非常に不満」と感じている人の割合も高い傾向も見られ、大きな失敗につながる可能性のある点は意識しておきたいところです。
また、目的なしに投資をしている人で満足しているのが5.3%だったことをはじめ、情報収集/分析/スキルアップの取り組みを行っていない人の満足度が大きく下がることが分かりました。これは投資に前向きに取り組んでいる人の満足度が高いことの裏返しでもあり、満足できる投資を実現するためのヒントといえるでしょう。
スキルアップについては、個人で取り組むよりもさまざまな媒体を利用して他の人と交流しながら取り組んだ方が、満足度が高くなる傾向も確認できました。一人で孤独に努力するのではなく、多くの人と情報交換をしながら一緒に成長していくというのが、これから求められる投資家モデルなのかもしれません。
本調査の結果を踏まえながら、「テクニカルブック」は、読者の一人一人が前向きに投資に取り組めるように、有用な情報提供に尽力してまいります。また、今後のサービス改善のために定期的にアンケートを実施していく予定ですので、どうぞご期待ください。
なお、本調査については、「テクニカルブック」においてより詳細な分析記事を作成いたします。こちらも楽しみにしていただけますと幸いです。
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