趣の漂う質感、深みのある風合い、やわらかな光沢と陰影。
1本の糸から上質を重ね、意匠を織り込むことで、織技術の可能性をラグジュアリーな空間づくりへと広げていきます。
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米沢織について
「米沢藩第9代藩主上杉鷹山の国おこし策のひとつだった青苧(あおそ)の縮織(ちぢみおり)から始まった米沢織。領内で養蚕から織までを行う絹織物産地に転換。紅花や紫紺(しこん)などの植物染料を使った、やわらかな風合いの先染織物が確立され、江戸後期には全国に知られる一大絹織物産地となりました。明治以降は時代の移り代わりとともにレーヨンなどの化学繊維品も発達し、現在は呉服、服地の総合的な織物産地となっています。地域産業資源である米沢織は地域団体商標に認可されています。
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着心地の追求から、居心地の追求へ
新型コロナウイルス感染対策による外出自粛要請を受けて、人々が室内で過ごす時間が増えるなど大きく価値観が変化しました。この変化を商機と捉え、米沢織の織元である安部吉にできることは何かを考え、衣類の素材価値である『着心地の良さ』を、室内空間に当てはめれば『居心地の良さ』を生み出せるのではないかという答えにたどり着き、建築分野への挑戦が始まりました。実情として、建築・インテリア分野における織物、特に絹織物の利用は限定的。一品生産である建築・インテリアと大量生産を志向する織物のニーズとシーズのミスマッチが主因に挙げられます。この課題に対し、安部吉はアパレル試作によって鍛えられた多品種小ロット生産に強みがあり、上質な建築に必要な別注品の製造に応えられると判断。また、米沢には織物の仕様を建築向けに変えられる様々な企業や、織物に木枠をつけてパネル化できる企業など、建築・インテリア分野に進出するために必要なノウハウを持つ協力者が多数おり、これらを背景に「上質な織物で建築・インテリア分野に展開」することに至りました。
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各プロトタイプの紹介
織扉
繊細なジャガードがもたらす、
品のあるラグジュアリーな趣。
生地の多種多様なバリエーションにより、
洋室・和室関係なくラグジュアリーな空間づくりを可能に。
ガラスや木ではなく布を使用することで風通しをよくし、隣の部屋の気配を感じるなど、優しさと美しさを兼ね備えた扉です。
ブラインド
陰影の表現力で、
窓辺に心地よさと美しさを。
部屋に入れる光の量や外の透け感を生地の厚みによって調整でき、スタイルや目的に合わせた空間作りができます。また、プリーツにすることで陰影が強調され、布の光沢感や柔らかさによって心地よい上質さを表現できます。
パーテーション
舞うような布の柔軟性は、空間の質を華やかに。
絹の一枚布が自立しているようなユニークさと高級感、そして柔らかさを感じるパーテーションは風通しもよく、圧迫感なく空間を仕切ることができます。糸の繊細さなどディテールのこだわりが空間の質を高めます。
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安部吉について
安部吉は、江戸時代から続く絹織物の産業集積地“米沢”にて1905年に創業。明治から令和にわたり、米沢織の織元として伝統と革新を受け継いでいます。数ある日本の繊維産地において米沢は、量産志向ではなく「高級」「フォーマル」をキーワードに、品質志向のものづくり、多品種小ロット生産を得意としており、安部吉もまた糸の染色、製織・後加工まで多様な機械を駆使し、顧客の要望に広く応えてきました。天然繊維と化学繊維、ジャカードによる柄のパターンなど、米沢織りの特徴である『多様性』を活かし、シルクを中心とした天然繊維からポリエステル、レーヨン、トリアセテート等の化学繊維まで、様々な繊維から多様な織物を製造。袴生地等の和装から欧州
のモードを支える洋装まで、和洋両部門を持つ希少なテキスタイルメーカーとして成長してきました。目まぐるしくトレンドが変化するアパレル業界との関わりも深く、優れた技術によって独自コンセプトによる特殊な製品や小ロット生産など自由自在な製造力が評価され、国内大手企業や世界に名を馳せる欧州トップブランドとの取引実績を誇ります。
運営会社
会社名:株式会社安部吉
所在地:山形県米沢市中央2丁目5番17号
TEL:0238-23-4674
代表取締役社長:安部 吉弘
資本金:1,000万円
設立:昭和27年10月(創業明治38年10月)