時代とともに変化するランドセル市場。カラーバリエーションの多様化や、軽量化。最近では耐久性に優れた素材の開発や教科書などの重さを軽減する技術など、ランドセルは年々進化しており、トレンドも変化しています。
ランドセル工業会は毎年4月の入学シーズンに合わせて、小学校へ入学する児童を持つ親を対象にランドセルの購入に関する調査を実施しています。近年、“ラン活”と言われるランドセルの購入検討プロセスに注目が集まる中、最新の2023年度のランドセルトレンドについてご紹介します。
調査・研究結果のサマリー
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ランドセルを選ぶ基準については1位「カラー」 2位「デザイン」 3位「軽さ」という結果に
4位以降は「カラー」「丈夫さ」「フィット感・背負いやすさ」が拮抗
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人気のカラー1位は、女の子は「紫/薄紫」男の子は「黒」が定番カラー
男の子の「黒」、女の子の「赤」は1位ではあるものの、ともに年々減少傾向
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ランドセル購入の検討時期は4月が16.7%と最も多いが2位は12月で14.2%、3位は5月で11.6%
購入時期は5月が20.5%で最も多く、8月が次に多く14.5%と続いており、全体的に早期化傾向
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価格については全体平均58,524円で昨年に比べて2,000円ほど上昇している。
安価なモデルも登場し購入の選択肢は増えているがお客様が選ぶランドセルの平均金額は上昇。
ランドセルの購入に関する調査 概要
調査手法 :インターネット・アンケートによる定量調査
パネル :(株)クロス・マーケティングのアンケート・モニター
対象者条件:全国の20~69歳の男女、2023年4月に小学校に進学する児童のいる親
※第一子かどうかは問わない、ランドセルを新しく購入した人(おさがり、中古ではない)
サンプル数:1500件
実施時期 :2022年02月3日(金)~2月5日(日)
■商品選定における重視点と決め手
購入前・購入後の両者で意識されていたのは例年の調査と同様に「子どもの好きな色かどうか」でした。「デザイン」は検討時に丈夫さ、フィット感よりも重視されないものの、購入理由としては「色」に次いで2位となりました。しかしながら「デザイン」の数値は減少しており、軽さや丈夫さなどの機能性の項目の割合が昨年に比べ増加しています。
■ 購入したランドセルの色
男児では、「黒(ブラック)」が57%と6割を下回っており、昨年に引き続き減少傾向にあります。
「黒(ブラック)」「紺(ネイビー)」の数値が減少し、3位〜5位がやや増加しています。
女児では、昨年の調査と比べ、「紫/薄紫(スミレ、ラベンダー等)」が、約30%と5.5ポイント増加で続伸しました。「桃(ピンク、ローズ)」「水色(スカイブルー)」「赤(レッド)」は今年減少し、「紫/薄紫(スミレ、ラベンダー等)」に人気が集中しています。「赤(レッド)」は3位から4位にランクダウンしました。
■検討や購入のタイミング
検討開始時期としては、例年同様に4月、5月の回答スコアが引き続き上昇し、「1年後」を意識しての動きが伺えるほか、夏までには大半が検討しています。4月が依然としてピーク傾向にあります。
■購入金額帯
購入金額平均は、前年よりも2,000円以上上昇しました。
■ ランドセルLABO トレンド担当 なごみ先生 コメント
今回の調査では、「ランドセルの多様化」というラン活のトレンドが顕著に現れる結果となりました。
まず、商品決定における重視点としては、カラーやデザインが最も重視される傾向は、ここ数年変わらないトレンドでした。次いで「軽さ」「丈夫さ」「背負いやすさ」の3つのポイントがほぼ同レベルの結果となっており、いずれか一点に秀でているものではなく「機能性」など総合的に判断される傾向が見受けられます。
次にカラーについてですが、男児においては「黒」が主流ではあったものの、比率は年々減少しており、今年は初の60%台を割り込む結果となりました。元々黒単色のみならず青色や赤色などの色目をアクセントとしたスティッチやワンポイントカラーが入っているものが多く見られましたが、主色で黒以外のカラーの購入が増えておりベースカラーの選択に広がりが見られます。これは子どもさんの思考だけでなく、親御さんの許容が柔軟になってきていることも要因と考えられます。また女児においては、「紫」や「桃」といったカラーは、近年人気のカラーですが、今年は特に淡い色やパステルカラーの人気が高まっています。 過去に定番色であった「赤」は12%と低迷しております。
また、検討や購入の時期について年々早期化の傾向にあり3月あたりから購入を検討してする傾向にあり、5月のGWあたりがピークであるのが特徴です。夏までに大半のご家庭が検討・購入を終えており、コロナによる制限があった近年に比べて展示会や店舗に訪れる人数は著しく増加傾向にあります。
最後に全国の購入平均価格ですが、58,524円と昨年と比較して2,000円ほど上昇傾向にあります。素材など資材の値上がりも反映された結果ですが、市場をみると3万円を切るような安価なモデルも増えておりお客様の選択肢は増えています。ランドセルの価格が上がっているというよりは、 価格のライナップが増える中で、お客様が選択される平均が上がっていると考えられます。
■ ランドセルLABOについて
「ニーズの多様化」「教科書重すぎる問題」「ジェンダーレスモデルの増加」「ランドセル商戦の早期化」など、ランドセル業界のトレンドや課題は年々変化しています。インターネットを見ても、ランドセルに関する多くの情報が紹介されていますが、サイトによって見解は異なり、メーカーや販売店の方には「どのサイトを見ていいのか、信じていいのか分からない」という声が寄せられております。
小学6年間を共にするランドセルは、単に教科書を運ぶ道具ではなく、子どもたちにとって特別な存在。
だからこそ使う子ども、見守る親御さんにとって、より自分たちにあったものを選んで欲しい。そんな思いからランドセル工業会では『ランドセルLABO』を立ち上げました。
『ランドセルLABO』は、ランドセルを製造する、また販売する会社の若手メンバーが主体となって運営するランドセルのいまを分かりやすく伝えるプロジェクトです。