PROJECT ALL PLAYERS WELCOME -FUSAKI-:https://www.youtube.com/watch?v=xNlLQoQk9ig
認定NPO法人スローレーベルは、アートの力で、国や分野をこえた共創を生み出し、多様性と調和のある世界の実現に取り組むことを目的とした「SLOW CIRCUS ACADEMY」を運営しています。FUSAKIさんは、本校の第1期生として2022年7月から活動をスタート。今回は新たな試みとして、25年の歴史を誇る「ヨコハマ大道芸inみなとみらい21」が生まれ変わった「みなとみらいフェスティバル」にて新感覚サーカスショー「ようこそSLOW CIRCUSの世界へ」を実施しました。
ショー内ではDentsu Lab Tokyoが開発した目の動きで操作する演奏ツール「EYE XY PAD」で音楽を奏でるFUSAKIさんとディアボロチャンピオンのめぐみ梨華さんによるコラボパフォーマンスを披露。また、ALL PLAYERS WELCOMEのトークショーや「EYE XY PAD」の体験会を開催し、観客に誰もが自分を表現するプレイヤーになることができるというメッセージを伝えました。
「SLOW CIRCUS ACADEMY」詳細:https://www.slowlabel.info/6994/
- パフォーマンス当日の様子
パフォーマンスの前には、スローレーベルの栗栖良依さんと、Dentsu Lab Tokyoの田中直基がALL PLAYERS WELCOMEの立ち上げた経緯やこれまで実施してきたプロジェクトをプレゼンテーション形式で紹介し、今回の演奏に至る背景としてFUSAKIさんがこれまで描いてきた絵がEYE XY PADの活用のヒントになったことを明かしました。
■目線で音を操るFUSAKIさんとディアボロチャンピオンのめぐみ梨華さんが登場
会場を取り囲む100人を超えるの観客を前に、FUSAKIさんとめぐみ梨華さんが登壇。音楽が始まるとFUSAKIさんが目線を動かすことで音楽にエフェクトを加えていき、盛り上がりを演出。その音楽に合わせ、めぐみ梨華さんが巧みにディアボロを操るパフォーマンスを行いました。パフォーマンスが終了すると会場に集った観客から盛大な拍手が巻き起こり、パフォーマーの2人を称えました。FUSAKIさんはこれまでの練習の成果を最大限出すことができたと本番の様子を振り返りました。
■視線入力装置「マイトビー」について語るアフタートーク
意思伝達装置・マイトビー・TCScan・視線入力装置の日本を代表するエキスパートであるLIFE HUCKの伊藤直弥さんも交えたアフタートークでは、障がい者が持つクリエイティビティから生まれる新しいプロダクトの可能性について語りました。伊藤さんは視線入力装置「マイトビー」がその意義を伝えつつ、全国の学校にも設置されているものの未だ活用されていない現状を明かしました。
■実際に視線操作を体験「想像以上に難しい」「演奏の凄さがわかった」
プログラムの最後には、FUSAKIさんが演奏中に使用していた「EYE XY PAD」の体験会を実施。会場では、画面に向かって目線を動かすと音楽の音色が変わる様子を3名の参加者が体験し、「一点に集中するのがすごく難しい」や「想像以上に難しいので、先程のFUSAKIさんの演奏の凄さがわかった」「すごく精度が高い!」など、体験したことのないツールについて楽しみながら学んでいました。
FUSAKIさんのお母さんはプログラム終了時に「今までゲームをすることも絵を描くことも、音楽を演奏することもできなったが息子が、時代が進むことでこういったパフォーマンスを実施することができ、様々な人と関わることができました。ありがとうございました。」と観客に向けてその喜びを語りました。
「ようこそ、SLOW CIRCUSの世界へ」詳細
l 日時:2023年3月19日(日) 12:00~13:00
l 場所:クイーンズスクエア横浜 クイーンズサークル
l 住所:〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3 クイーンズタワーB
l 主催:認定NPO法人スローレーベル
l 協力:Dentsu Lab Tokyo
- Dentsu Lab Tokyo 田中直基のコメント
初めて会ったときのFUSAKIさんは緊張して、パソコン画面の前で目線を合わせることも難しかったが、5ヶ月間の特訓を経て、成果が発揮された彼らしいパフォーマンスだったと思います。また私自身これまでのALL PLAYERS WELCOMEの舞台では、なかなか生のお客さんの顔や声を見聞きできなかったが、こうやって実際に喜んでいる顔や楽しんでいる様子を見れたことは今後の活動へのモチベーションに繋がると思います。
- Slow Label 栗栖良依のコメント
FUSAKIの今までで一番格好良い姿が見れたと思います。練習やリハーサルのときはうまく目線が合わず、演奏できないこともありましたが、本番では、めぐみ梨華さんのパフォーマンスに合わせて、音色を変えていたり、抑揚をつけたりと、練習では考えられないパフォーマンスでした。今後は、FUSAKIも手に入れた視線で演奏する音楽という新しい表現方法を、より多くの方に知っていただけるよう、さまざまな場所でパフォーマンスやワークショップを行うことによってコミュニティの輪を広げていきたいと思います。
- EYE XY PADとは
「EYE XY PAD」は、Dentsu Lab Tokyoが誰でも表現ができるためのツールや環境づくりを目的に展開するALL PLAYERS WELCOMEプロジェクトの傘のもと、音楽など表現に関わる従来のツールを基にしながら、身体性により生じる困難を1つずつ解消し、誰もが自由に表現を拡張するためのオリジナル操作UIを開発・無償を行うプラットフォーム「ALL PLAYERS TOOL LAB」のツールの1つです。
今回は、四肢麻痺と知的障害を抱えることから楽器やツールを使用しての演奏が難しかったFUSAKIさんが活用することで、自らの意志で音楽による自己表現に挑戦しました。
「EYE XY PAD」の特徴
Ableton Liveをベースに目の動きだけでリアルタイムなエフェクト操作やシンセサイザーの演奏が可能なUIを設計。XY座標ごとに音階やリバーブエフェクトなどの様々なパラメーターを仕込んでおります。目で自由自在に操ることで直感的な音色を出すことが可能です。また、Ableton Liveとの連携を設定することで、ご自身で制作したエフェクトやシンセサイザーを操作することが可能です。
- FUSAKIさんのプロフィール
横浜市在住。低酸素脳症による四肢麻痺のため、医療的ケアを受けながら全介助で生活。平日は横浜市西区の生活介護施設に通所、週に2度のカフェ業務ではスイッチを使って接客するなど新しいコミュニケーションの方法を練習中。東京2020パラリンピック開会式出演。
イメージ動画:https://vectorincgroup.box.com/s/eena4dhuvdgln6xc1z87kug7x9b5e6mw
- 認定NPO法人スローレーベルについて
アートの力で、国や分野をこえた共創を生み出し、多様性と調和のある世界の実現に取り組む認定NPO法人。2018年よりシルク・ドゥ・ソレイユのサポートを受け、マイノリティのエンパワメントとコミュニティビルディングの手法としての「ソーシャルサーカス」を日本国内に普及する活動に取り組む。2022年7月に開校した「SLOW CIRCUS ACADEMY」では、第1期生として17名(内10名が障害のある人)が参加。昨年初開催となるイベント「SOCIAL CIRCUS FESTA」で成果発表のパフォーマンスを披露。
www.slowlabel.info
ソーシャルサーカスとは?
ソーシャルサーカスは、サーカス技術の練習や習得を通じて、社会で生き抜くために必要なスキルを総合的に育む体験型の教育プログラムです。世界75カ国以上の300を超える団体が、貧困・難民・虐待などに起因するマイノリティのエンパワメントとコミュニティビルディングに取り組んでいます。
https://circus.slowlabel.info/
- Dentsu Lab Tokyoについて
Dentsu Lab Tokyo(デンツウラボトウキョー)は、研究・企画・開発が一体となったクリエーティブのR&D組織です。「PLAYFUL SOLUTION」「おもいもよらない」をフィロソフィーとしながら、デジタルテクノロジーとアイデアによって、人の心を動かす表現開発や、いま世の中が求める社会の課題解決を実践しています。
https://dentsulab.tokyo/