- 住宅は真っ二つに
ミサイルが直撃したのは70戸のアパートメントで、約300人が住んでいた。死傷者の総数はまだ確認されていないが、地元検察庁によると、4人が死亡、8人が負傷し、5人が行方不明となっている。ミサイルは建物を真っ二つにし、電気や水道の供給が停止。爆風による破片や衝撃波で、近隣の住宅にも被害が出た。
ミサイル攻撃の脅威から市内には一晩中空襲警報が発令され、MSFのチームは2度にわたって防空壕への避難を余儀なくされた。午前1時半頃には、MSFの事務所から2キロメートルほどの、人口が密集する住宅地で爆発が発生し、大きな爆発音が2回聞こえた。
- 人びとの心にも影響
MSF移動診療の医師、ゲンナディ・オーマテンコは、「突発的な血圧の急上昇や、ストレスを訴える人たちがMSFの移動診療に来ました。親族ががれきの下敷きになっていると知って、大勢の人が現場に集まっていました。今は、がれきを解体している救助隊からの知らせを待つしかないのです」と話す。
MSFは救援物資や毛布、マットレスなどを被災者に配布し、市議会とウクライナ赤十字社に衛生用品キットと毛布をそれぞれ100個ずつ寄贈した。また、ザポリージャの第3病院には、負傷者が一斉に運ばれてくる事態に対応するための医療物資を提供。救助隊や医療スタッフは引き続き、住民を避難させるため病院や避難所へと誘導している。
- 市民の生命を無視した攻撃
MSFのウクライナ活動責任者であるフランソワ・デルフォッセは、「MSFが、市民の生命をあからさまに無視した攻撃の痕跡を目撃し、対応したのは、2023年初頭以来2度目です。この戦争は、人びとに受け入れがたいほどの大きな犠牲を与え続けています」と憤る。
1月14日にもロシアのミサイルがドニプロ中心部の住宅に命中し、子ども6人を含む少なくとも46人が死亡、80人以上が負傷している。
MSFは2022年3月からザポリージャで活動し、最前線近くの病院に医療物資を提供している。また、移動診療を運営し、避難民や住民の診療や心のケアを行っている。