【川西市】炎で咲かせる菊の花 一庫炭の窯出しが始まる

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 市北部の黒川地区で、市特産「一庫炭(菊炭)」の窯出しが始まった。同市黒川地区で炭焼農家を営む今西 学さん(いまにし まなぶ)方では、早朝から『シャリシャリ』と炭の擦れる音が山にこだましていた。

一庫炭(菊炭)一庫炭(菊炭)

一庫炭(菊炭)一庫炭(菊炭)

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 同市最北部に位置するこの黒川地区では、炭の原材料となる良質のクヌギが入手しやすいことから、室町時代ごろから炭焼きが盛んに行われるようになった。しかし、昭和30年代以降、電気やガスが普及し、次第に衰退。さらに山間部の宅地開発などに伴い、原材料も入手しにくくなり、市内では現在唯一、今西さん宅だけがこの「炭作り」を守り続けている。

 焼き上がった炭の断面が菊の花びらの模様に見えることから、「菊炭」とも呼ばれる。火付きと火持ちがよく、また立ち消えしにくい、煙が立たず静かに燃えるという特徴があり、茶席などの高級炭として重用されている。

 炭焼きはクヌギなどの原木を窯に運び込む「窯入れ」から始まる。奥行き4メートル、横3メートル、高さが一番高いところで2メートルのたまご型の窯の中に、長さ1メートル、大きいもので直径10センチほどの原木をすき間無く立てて並べ、天井部と原木のすき間には雑木をぎっしりと詰める。

 火入れし、約800℃まで上がる窯の中で、8時間かけて火を回し、計3日間焼き続けた後、窯の出入り口と煙突部を塞ぎ、密閉状態のまま4~5昼夜おいて、火が消えてから人が入れる温度まで窯の中の温度が下がれば「窯出し」をする。基本的には1工程約8日間のサイクルで行われる。

 窯出し作業は、午前7時ごろから開始。今西さんが窯の中に入り、焼けた炭を外に送り出す。窯の中は、100~120度近い熱がこもり、サウナのような熱さになるため、作業は約20分間ほどしか続けることができないという。窯の中での作業の後、外で体を休めるといったことが繰り返される。

 今回窯入れした原木は約4トン。1回に約750キロの炭ができる。炭焼きのサイクルは、今年の5月上旬頃まで約15回程度続けられる。

 今西さんは「コロナ禍が落ち着いてきて、徐々に茶席が再開されてきています。伝統ある茶道の文化を守っていくためにも可能な限り、一庫炭(菊炭)の生産を続けていきたいと思っています」などと話した。

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