東芝インフラシステムズは、多摩都市モノレールに導入している東芝グループの輸送計画ICTソリューションTrueLine®注のダイヤデータ資産をもとに、東芝研究開発センターが開発した現場のノウハウや制約条件を数理モデル化した輸送計画最適化AIを活用して最適化を行いました。
鉄道会社は、列車ダイヤに従って列車を運行しますが、全ての車両を同時に使用できるわけではありません。そのため、車両運用は、限られた車両を効率よく運用することを目的として、各種検査や清掃のスケジュールを決める検査・清掃計画と、各列車ダイヤをどの車両で運行するかを決める配車計画を組み合わせて行います。
しかしながら、検査・清掃は営業運転の合間に車両基地で行われるため、使用可能な車両を選別して配車計画を作成する必要があります。さらに、列車ダイヤは平日・土休日で異なるため、日跨ぎのつなぎをきちんと考慮してうまく車両を循環させて運用しなければならない難しさもあります。
このように、それぞれの計画は相互に関連付き、かつ条件の組合せの数が非常に多いため、専門の知識と経験を持つ従事者が時間をかけて作成していますが、最適な計画を得ることは非常に難しいことでした。また、一部に変更が発生すると計画の再作成に多大な労力を要するなど、解決すべき課題となっていました。
上記の課題に対し、東芝インフラシステムズと多摩都市モノレールは、TrueLine®上に実装されている以下のAIを活用、調整しながら、解決へ向けて検証を重ねました。
1.検査・清掃計画AI
各種検査・清掃に関し、規定の周期や作業工数を守りつつ作業の回数を最小化(周期を最大化)することを目標として検証を実施し、効率の良い検査・清掃作業が計画できることが確認されました。また、一部の計画に変更が生じても短時間で再計画ができました。
2. 配車AI
検査・清掃計画の結果を利用して日々の配車をAIにより計画しました。日々の基本運用計画に対して配車可能な車両を検査・清掃計画の結果から抽出し、配車が計画できることが確認されました。また、一部の計画に変更が生じても短時間で再計画ができました。
3.運用循環AI
車両を均等に運用し、平日と土休日の異なるダイヤでも同様な運用となるように単純化し、検査時期が均等に訪れるような運用順を計画できることが確認されました。また、出入庫順も問題なく計画でき、縦列留置となる車両は出入庫時間差を大きくすることでダイヤに乱れが生じても基地内の運用をできるだけ変えずに済む強靭な計画を作成できることが確認されました。
これらの結果を受け、AIを信頼し活用することにより日々の各種作業計画が容易になり、計画に乱れが発生した場合にも迅速に再計画ができ、運用コストの削減効果もあることが認められたため、多摩都市モノレールは、2022年3月12日のダイヤ改正にその成果を適用しました。
東芝インフラシステムズは、東芝グループのAIを活用したTrueLine®をはじめとした各種デジタル技術で、鉄道事業者の運営に貢献していきます。
注:TrueLine®は東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本およびその他の国における登録商標または商標です
ニュースリリースURL
https://www.global.toshiba/jp/news/infrastructure/2022/06/news-20220627-01.html