生体は紫外線や温度変化、病原菌など外界からのストレスにさらされていますが、上皮細胞と内皮細胞において、細胞間の膜の接合が保たれていることによる「生体バリア」が正常に機能することにより、それらのストレスから生体を守り、健康を保っていくことができると近年わかってきました。生体バリアの異常は、あらゆる疾患や感染症などとの因果関係が示唆されており、BugsWell株式会社ではコオロギパウダーによる生体バリア機能の良質化を検証する研究を実施いたしました。
■試験内容
コオロギパウダー投与試験後の動物個体から得られた血清をBBB KitTM(PCC-RBT-24H, PharmaCo-Cell)に添加し、血管内皮細胞が形成する生体バリア(タイトジャンクション)機能を経内皮電気抵抗(TEER)測定で評価。
(予備試験内容については公表割愛)
■本試験実施方法
• 予備試験の結果を踏まえ、コオロギパウダー摂取群(LおよびH)とコントロール群ラット血清を添加濃度2%で培地に加え、BBB Kitに添加した。
• Day0のTEERが300~500 Ω*cm2のウェルを試験に使用した。n=7
• 添加直前のTEER(Day0値)、および添加後TEER(Day1~)を予備試験と同様に実施した。
• Day6に同条件で再度培地交換し、TEER測定を継続した。
■BBB KitTM:血液脳関門再構成モデル
- 試験結果①
コントロール群(C)、コオロギパウダー低用量摂取群(L)・高用量摂取群(H) のTEER平均値は次のグラフの通り
- 試験結果②:Day0 TEER高値ウェルを除いた場合
血清添加前TEERが高値(> 480 Ω*cm2)のウェルを除いてデータをみると、 コオロギパウダー高容量摂取群(H)でTEERが高い(血液脳関門機能が健全である)傾向が確認されました。
コントロール群と比較し、コオロギパウダー摂取群の血清で血液脳関門機能が障害されるような結果は得られませんでした。この結果から、脳血管に関しては代替タンパク質源としてのコオロギパウダーで直ちに健康に支障が出る可能性は低いと考えられます。
試験開始時のTEERが低いウェルの結果をみると、コオロギパウダー高用量摂取群でTEERが改善する傾向が確認されました。血管機能が低下している場合はコオロギパウダーをタンパク質源として摂取することで機能改善に寄与 する可能性があると考えられます。
- 今後の検討課題
今回の研究結果を踏まえたコオロギパウダーによる医療分野への応用可能性の検証に向け、複数回の再試験や障害を付与した細胞(炎症細胞、老化細胞)を用いる試験などを今後実施する予定です。
■BugsWellについて
BugsWellでは、地球環境を守り人類の多惑星化を実現するアイデアについてフォーカスしています。100年後の人類にどんな未来を残せるかについて、我々はとても興味があります。
2050年以降の長期宇宙生活における食の課題解決のひとつとして取り組んでいるのが、サスティナブルで栄養豊富な昆虫をまずは地球上で食材のスタンダードにすることです。昆虫の体の68%は動物性たんぱく質が占めており、(鶏は21%)ビタミンB12、鉄分なども豊富です。昆虫はこれらの栄養素を少ない水分と餌で生産することができ、限られたスペースでの生産に適した垂直農法のような縦積みの生産が可能です。一定面積から生産されるタンパク質量が多いため、長期宇宙生活におけるエコシステムの構築に重要な役割を果たすと考えています。
人類が昆虫を宇宙でも食べたいと思うためには地球上で食材のスタンダードになるべきと考えおり、BugsWellでは昆虫由来の商品開発に取り組んでいます。
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