2021年7月に、当時の自由学園女子部高等科2,3年の生徒10名は、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)を訪問し、キムチ作りを一緒にしたことをきっかけに、生徒同士が交流を続けてきました。
訪問した学園生は、次のような感想をもっています。一番に交流が大変楽しかったこと。その後SNSなどで交流が続き嬉しい。K-POPなどの流行りのものを教えてもらうだけではなく、家庭で作るキムチのレシピを教えてもらったり、先生がチマチョゴリを着ていたりしていて、隣国の文化を身近な形で知ることができた。その時作ったキムチは、いつも食べる日本製のキムチとは違う味で、本場の料理を食べられたと感じた。国籍の壁を感じることなく、互いが素の心で話せたイベントだったと思う。
1年半経った2023年1月28日(土)には、今度は自由学園に東京朝鮮中高級学校の生徒さんたちを迎えて、学園で収穫した柚子(ユズ)でジャム作りを一緒にしてから、女子部生手作りの昼食にも招くなど交流をする予定です。(10時~13時半の予定。)その日の計画は、今年度高等科3年生となった学園生が中心になって考え、高1、高2生からも希望者が参加して迎える予定で、生徒たちは楽しみにしています。
自由学園を1921年に創立した、共にジャーナリストであった羽仁もと子・吉一夫妻は、学校を一つの社会と考え、子どもたちが教えてもらうという受け身の立場にあるのではなく、生徒自身が主体的に学校という社会を創り、運営することを重んじました。以来、社会とのつながりも大事にしながら、どのようにしたらよりよい社会になるのかを生徒が考える機会を多数設けてきました。関東大震災での救援活動、阪神淡路大震災、東日本大震災での支援活動や交流のほか、戦時には北京で中国の15~18歳の女子を対象とした「北京生活学校」を開き、その後も中国人の卒業生と温かい交流が続いてきた例もあります。
今回の東京朝鮮中高級学校との交流のきっかけを作った女子部校長の更科幸一は、平和な社会を妨げている様々な争い、差別、暴力、ヘイトスピーチなどの課題について考える上で、生徒たちが実態をまず知ることが必要と考えて、そのような現状を知る方や渦中にある方々を講師に迎える「平和週間」を2016年に立ち上げました。今年度の「平和週間」でも、係の生徒たちがどなたをお招きしたいか考えて講師の方に連絡を取り、3名の方のお話を女子部・男子部(中・高等科)の生徒全員で伺っています。また、別の機会に日本在住のウクライナ人のご家族をお招きしてお話を伺い、その歴史等を学んだこともあります。
そのような中、更科は、かねてより東京朝鮮中高級学校に通う朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や大韓民国(韓国)が出自の在日3世、4世の生徒さんたちが、心無い日本人により差別を受けたり、暴力的な行いを受けたりすることがある現状をこのままではいけないと思っており、生徒たちにそのことを話しました。そして東京朝鮮中高級学校ともご相談して、昨年度から希望者同士で生徒の交流が始まりました。
国を率いる人々の思想や行動により、人の命を重んじず国際社会で今も紛争が絶えないのは大変残念なことです。そのことにも向き合って考え、話し合っていくことも大事な一方、個人としての人と人とのつながりは、常に国を越えてあたたかいものにしていきたい。今回の互いの学校訪問や交流を通して、これからの社会を創っていく若い生徒たちにより、そのような願いを持つ輪が拡がっていくことを願っています。
学校法人自由学園 https://www.jiyu.ac.jp
1921年、日本で初の女性新聞記者となった羽仁もと子と、その夫でジャーナリストの羽仁吉一が創立。
2021年4月に創立100周年を迎えた。同年に現在の自由学園の生徒の活動等を取材した書籍『本物をまなぶ学校 自由学園』(婦人之友社企画・編集)、書籍『自由学園一〇〇年史』(自由学園出版局)を刊行。デジタルアーカイブ『自由学園100年+』も公開している。
設置校:幼児生活団幼稚園 初等部(小学校) 男子部・女子部(中等科・高等科) 最高学部(大学部)
中等科以上は寮があり、国内各地、また海外から⼊学している。これまで別学であった男子部・女子部(中等科・高等科)を、2024年度から「共生共学」とする予定で現在準備中。
幼児通信グループ「イポッチ」、45歳以上を対象とした学校「リビング・アカデミー」も展開している。
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