本書は清水・興津を舞台にした戦国時代後期~昭和の歴史を描いた小説で、作家の三浦朱門氏による翻訳書が人物往来社から出版されましたが長らく絶版になっていました。この名作を現代の人々に知っていただき、そして後世に伝えていきたく、現代的な表記に改め、カラーの写真・図版を多用するなど読みやすく再編集しました。また読後に現地をぜひ訪れていただきたく、文化財や関係資料などもカラー写真を使って紹介しています。
日本が敗戦から奇跡の復興を果たし高度成長期に入り始めた頃、一人のアメリカ人が興津の旅館・水口屋を訪れます。彼の名はオリバースタットラー。GHQの文官で、当時興津はGHQの保養地でした。旅館の主人から日本の歴史の話を聞いて強く関心を持った彼は頻繁に興津を訪れ取材や資料の調査を重ね、帰国後に書き上げた作品が本作です。敗戦後20年も経っていない時期に本書を通してアメリカに広く日本の歴史が伝えられていたことは残念ながらあまり知られていません。
豊臣秀吉、徳川家康、ウイリアム・アダムス、由井正雪、歌川広重、清水次郎長、徳川慶喜、井上馨、西園寺公望…当地とゆかりのある歴史上の人物が次々と登場します。誰もが知る有名な話から、アメリカ人が短期間によく調べたと感心するような秘話も多く紹介されています。後に文化庁長官や日本文藝家協会理事長を歴任する人気作家三浦朱門氏による表現豊かな翻訳も原作により深みを持たせています。
■書籍概要
『新版 ニッポン歴史の宿』 O.スタットラー著、三浦朱門訳 発行:鈴与株式会社
発売元:静岡新聞社 定価:2,640円(単行本版) 990円(文庫版)
体裁:(単行本版)四六判上製カラー・484頁 (文庫版)A6判カラー・488頁