調査対象:HISにて対象出発日(2022年12月24日~2023年1月3日)の旅行をお申込みの方
対象商品:パッケージツアー、ダイナミックパッケージ、国際線航空券
<市場環境>
20年ぶりの高水準となっているドル高により、世界的にインフレが加速しております。対日本円でも歴史的な円安となっており、訪日旅行者はメリットを享受しやすい環境になっております。
入国に際しコロナ対策で導入されていたワクチン接種や陰性証明、行動制限などを撤廃し、入国条件をコロナ前と同様に戻す「完全開国」に踏み切った国・地域が既に140以上(2022年11月22日時点)となっております。アジアではベトナムやタイ、マレーシア、韓国などが先行しておりますが、日本は引き続きワクチン接種の条件が残っております。
ホテルや空港など観光業に携わる人手が不足する中、急激な旅行需要の回復や物価上昇の余波などを受け、国によってホテルや航空運賃などが値上がりする傾向にあります。航空機にかかる燃油サーチャージは、原油価格の変動に伴い12月以降引き下げとなる会社もございますが、引き続き価格高騰が続いており旅行消費額はコロナ前と比較し上昇しております。
HIS年末年始 海外旅行 予約者数ランキング
※前年の順位は20位以上の旅行先のみ記載
<総観>
前年同日比で1,914.1%(約19倍)と大きく伸びておりますが、コロナ前の2019年比では2割程度となっております。世界の定期便航空総座席数の推移と比較し、2022年12月の日本における国際線航空座席供給数はコロナ前の45.6%(約5割減)となっており、座席数そのものが戻しきれていないことが分かります。(出典:CIRIUM https://www.cirium.com/jp/ 、参考:2020年1月5,676,003席、2022年12月2,588,530席、2022年11月19日時点)
平均単価は19万6,700円(前年比130.6%)。燃油サーチャージが昨年より値上がりしていることが大きく影響しております。今年の夏休み期間(7月21日~8月31日)の平均単価は21万3,600円でしたが、繁忙期で価格が上昇する傾向にある年末年始の方が低いことについては、短距離方面のソウルが1位になり、長距離方面である欧米諸国が上位に多くランクインしなかったことが要因と考えられます。
<ランキングのレビュー>
1位はソウルで、昨年1位だったホノルルは2位となりました。1位の交替ならびにソウルが1位となるのは2011年以来、11年ぶりとなります。韓国は今年8月以降、日本を含む査証免除での入国が再開し、規制緩和に伴い予約者数が増加しております。ソウル行きのお客様の約7割が女性で、10代後半~20代の若年層が約4割と牽引しております。ドラマや音楽などポップカルチャーの人気が引き続き高く、さらに、訪日観光客の個人旅行解禁に伴い、日韓路線の増便やコロナ禍により運休していた地方空港を含む路線・LCCの再開などにより、行きやすく且つお手頃な価格で行くことができる旅先として選ばれております。なお、4位にプサンもランクインしており、韓国全体でみればコロナ前の2019年比で約5割となっており、他国と比較しても回復の速度が速いことが特徴です。
2位にはホノルルがランクインしました。家族旅行が多い年末年始のご旅行先として、引き続き高い人気を誇っております。動向の特徴としては、高級なホテルに泊まり、観光だけではなく寛げる滞在も重要視されている方の増加です。お客様の平均単価も35万300円と、燃油サーチャージの価格差を加味したとしても、各方面の平均単価から大きく上振れしており、充実した内容を選択されている傾向がみられます。
3位には昨年同様バンコクがランクインしました。コロナ禍で動画配信サービスの視聴が増加した時期よりタイドラマのファンが増加しており、夢中になると抜け出せないことから「タイ沼」という造語も生まれております。寺院などの伝統的な観光と新しいエンタメ要素も楽しめる旅先となっております。
平均旅行日数は6.3日間で、コロナ前の2019年は6.1日間であったことから、日数は若干ではあるものの伸びております。出国ピークは2022年12月29日、帰国ピークは2023年1月3日となっており、この動向は2019年と比較しても同様で、旅行のニーズがコロナ前に戻っております。
<まとめ>
2022年は各国の入国制限が緩和され、海外渡航における需要回復フェーズに入りました。しかしながら、数年に及ぶコロナ禍がもたらした移動や健康への不安、急激な円安や燃油サーチャージの高騰など、海外旅行に対する心理的ハードルと経済的ハードルと共に、国際線航空座席供給数の減少などもあり、グローバル市場の急激な速度とは違い、緩やかなペースでの回復となっております。足元では、2022年10月における訪日外客数は前月の2倍以上となる49万8,600人となっており、日本人出国者数の34万9,600人を超えております。(出典:日本政府観光局)個人旅行の解禁と査証免除の再開は訪日旅行の後押しとなっており、需要増加に伴い国際線が取りづらくなることや価格上昇なども予想され、コロナ前同様、予約のタイミングは今後も早まる傾向になると想定されます。
2023年の動向としては、入国規制緩和により急激に動いた韓国に続き、コロナ前に需要の高かった台湾の戻りが期待されます。現在、台湾は1日の入境者数に15万人の上限を設けており、隔離検疫は廃止となったものの7日間の自主防疫が必要です。年末年始の台北行きのお客様においても、9割近くが航空券手配となっており、レジャーでの需要の回復には至っておりません。今後、入国に対する水際対策が緩和されれば韓国同様、急激な回復も見込まれると想定されます。
HIS年末年始旅行特集 https://www.his-j.com/season/newyear/