本調査では、二箇所の自治体に同意を得て、小学校4年生から中学校3年生までを対象としたオンライン医療相談の利用傾向をまとめ、考察しました。
調査の結果、以下の知見が得られました。
- 小学生・中学生からのオンライン医療相談の内容は、医学的な事項に限らず、友人関係や学校生活など、相談内容は多岐にわたっており、特に医療機関では扱わない「交友関係」に関する相談が最多であった。
- オンライン医療相談は、10代の生徒にとって、家庭でも学校でもない「第三の場所」になれる可能性がある。
- 今後、対面診療や、既存の支援サービスを補完しうる可能性がある。
■研究の概要
【目的】
小学生・中学生の子どもから「オンライン医療相談」に寄せられる相談内容の内訳を明らかにする
【実施期間】
2021年7月1日〜2022年3月31日
【サービス告知対象者】
小学4年生〜中学3年生 計2,499名 (A県B市, C県D郡E町)
【研究方法】
《提供サービス》
○「産婦人科・小児科オンライン」が提供するオンライン医療相談サービス(小児科医および産婦人科医が対応)
・いつでも相談:相談に対して24時間以内に回答が届く一問一答のサービス
・夜間相談:平日18時から22時のうち、1回あたり10分相談可能
・LINE相談:LINEで24時間相談可能、1回あたりの質問数や時間に制限なし。24時間以内に応答するサービス
《生徒の使用端末》
・Chromebook(学校から生徒全員に支給)
・スマートフォン(生徒、保護者の私物)
《分析方法》
・相談件数や内容は、カルテやチャット記録から後方視的に筆頭演者が分析した
・アンケートはサービス告知対象者全員に対して、ウェブフォームを用い、2022年2月〜3月に実施・集計を行った
■研究結果
【結果と考察、そのポイント】
・利用された相談形式は、LINE相談が最多でした。予約や会員登録が不要、メッセージの回数制限・時間制限がないという利用しやすさがあったと思われる。
・相談内容は多岐にわたっており、医療機関では扱わない「交友関係」に関する相談が最多であった。
・医学的な内容については、ファーストタッチが医療者であることで、適切な受診勧奨に繋げることができた。
・不登校の生徒について、生徒に同意を得た上で、相談内容を学校関係者と共有し、今後の支援に役立てることができた。
・オンライン医療相談は、10代の生徒にとって、家庭でも学校でもない「第三の場所」になれる可能性があると考える。
・今後より多くの生徒にオンライン相談を使ってもらうためには、スマートフォンを持っていなかったり、LINEを利用することができなかったりする生徒も、利用できる仕組みが必要になる。
■Kids Public 本研究責任者/小児科医 白井沙良子 コメント
厚生労働省・健やか親子21でも「思春期のメンタルヘルス」は重要な課題と位置づけられています。一方で、コロナ禍で10代の自殺率は増加し、2020年には777人で過去最多、2021年も750人と高い水準で推移しています(参照:厚生労働省、令和3年中における自殺の状況)。「産婦人科・小児科オンライン」はこれからも、「身近な人ではないからこそ、気軽に・安全に相談できる場」を思春期の児童・生徒のみなさまに提供できるよう努めてまいります。
■お問い合わせ先
株式会社Kids Public 広報室(担当:春山)
https://kids-public.co.jp/
■所在地:東京都千代田区神田小川町1-8-14 神田新宮嶋ビル4階
■TEL:03-6206-8803
■E-Mail:marketing@kids-public.co.jp
■設立日:2015年12月28日
■代表者:代表取締役 橋本 直也(小児科医)
■事業内容:「子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現」を理念とし、インターネットを通じて子どもの健康や子育てに寄り添う。
■提供サービス:
・遠隔健康医療相談サービス
- 小児科オンライン https://syounika.jp/
- 産婦人科オンライン https://obstetrics.jp/
・医療メディア
- 小児科オンラインジャーナル https://journal.syounika.jp/
- 産婦人科オンラインジャーナル https://journal.obstetrics.jp/
・問題解決bot
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