本レポートは、ヘイズが展開するアジア5カ国・地域(中国、香港特別行政区、日本、マレーシア、シンガポール)のIT人材の声をまとめたもので、企業の取り組みやスキルアップ、働くモチベーション、企業の目的に対する意見やアプローチに焦点を当てています。
ヘイズは調査の結果を踏まえ、企業が取るべきアクションを以下のように提言しています。
- トップレベルの人材を獲得し、優秀な従業員の定着率を向上させるために、リモートワークやハイブリッドワーク、多様な人材の採用、スキルアップ、最先端のIT技術導入など、未来に目を向けた戦略に着手する。
- 企業に必要な人材・スキルを検討し、体系的な学習プログラムやメンター制度をつくり、従業員が優先順位を考え、スキルアップの計画を立てることができるようにする。
- 企業の価値観を実践し、人々の生活に変化をもたらす製品やサービスをつくることをミッションとする
ヘイズ・アジアのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジは次のように述べています。
「新型コロナウィルスの感染拡大は、ほぼすべての業界に大規模なデジタル化をもたらしました。その結果、従来から人材不足だったアジアのIT業界の求人が急増。技術の進化やデジタル化のトレンドが加速し、ビジネスリーダーのなかで優秀なIT人材を確保できるか懸念が高まっています。
大量離職(Great resignation)や静かな退職(Quiet quitting)などのトレンドは、ビジネスパーソンが自身の優先順位を見直し、働く意味を再定義する傾向が強まっていることを示しています。特に、優秀な人材の確保が難しくなってきているIT業界では、企業は働く人々の新しい優先順位を理解し、人材戦略に反映させていく必要があります。」
主な調査結果:
1.IT人材は企業の取り組みに満足していない
変化する顧客のニーズやビジネスに対応すべく、IT人材の多くは、勤務先に対して更なる取り組みの必要があると感じています。41%が「新しいビジネスモデルの導入や顧客エンゲージメント戦略について、会社はもっとできることがある」と考えており、37%はデジタル化や柔軟な働き方の導入についても同様に考えていることが明らかになりました。
ブラジは次のように語っています。「デジタル化や柔軟な働き方、ダイバーシティは従業員が企業の将来への備えとして重視している点であり、80%以上が『同分野における企業の戦略や取り組みが重要』と回答。人材戦略に活用できれば、さらなる人材の定着につながります。」
2.IT人材はスキルアップに意欲的だが、企業からのさらなる支援を望んでいる
今回のアジア5か国・地域での調査によると、60%近くが「自分のハードスキルやソフトスキルに改善の余地がある」と答えました。しかし、スキルアップの際に直面する主な課題については「トレーニングに費やす時間がない」「費用がかかりすぎる」「勤務先がトレーニングを提供していない」などが挙げられました。さらに、IT人材が重要だと考える学習の機会と、勤務先で実際に提供されているものとの間に明確なズレがあることが明らかになっています。
ブラジは「このようなズレは、IT人材がキャリアアップを目指すうえで大きな障害となっています。実際に、IT人材が離職を考える理由の上位は『キャリアアップ・成長』でした。従業員に提供する学習とキャリアの機会を見直すことは、人材の定着にも役立ちます」と話しています。
3.IT人材は目的に飢えている
ITは社会的な責任やサステナビリティの分野において重要な役割を担っており、世界の主要なIT企業は企業理念を重要視するようになってきています。「会社が社会の真のニーズに対応する明確で説得力のある企業理念をもっているか」という質問に対しては、60%がもっている、12%がもっていないと答えました。しかし、利益という観点から見てみると、「企業理念に反する収益性の高いチャンスが来た場合、会社は断る」と回答したのは50%のみでした。香港の回答者全員が断る自信があると答えたのに対し、日本では27%が断る自信がまったくないと回答しているのは注目すべき点です。
ブラジは次のようにコメントしています。「この数年間で、私たちは働く目的や意義を大切にするようになりました。このことは、目的が自分のパフォーマンスに重要であると答えている人が84%にものぼることに表れています。企業のすべての行動や決定のもとになるような企業理念をもつことが従業員の信頼を高め、退職を防ぐ決定打になるかもしれません。」
【「ヘイズ アジア5カ国・地域 IT人材調査」調査概要】 調査期間:2022年5月9日から5月30日 調査形式:インターネット、メール 調査対象国・地域:中国、香港特別行政区、シンガポール、日本、マレーシア 回答数:アジア5カ国・地域で394人(うち日本は163人) |
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