- “設置するだけ”。自社の電力使用状況を見える化
「電気が見えれば意識は変わる」をキャッチコピーに、時計に電力量の情報をプラスした世界初の製品『SMART CLOCK(スマートクロック)』。日本テクノ株式会社による当製品は、あらかじめ目標値を設定することで電力の使用状況に応じて表示が変わるもの。電力使用量がオーバーしそうになると、色の変化と音で警告します。
目に見えない電気を“見える化”することで省エネ行動を促進。国内外の工場や病院など、約4万7000件(2021年4月時点)もの施設で利用されており、2021年には省エネ大賞を受賞しています。
当社では、本社内と別棟の工場の2箇所に設置。電力使用が集中しアラートが鳴ると「電気を消そう」と社員自ら動くようになり、社内の意識が変化していることを実感しています。
- 自然冷媒の冷凍庫を、必要に応じてつける
また当社では、2022年3月に株式会社前川製作所の『PascalAir(パスカルエア)』を導入。フロンガスではなく自然の空気を使用した冷凍システムのため、オゾン層破壊や地球温暖化など、地球環境への負荷が少ないものです。この導入による環境改善効果は、年間232.9tのCO2排出量を削減できるものと見込んでいます。(算出根拠:三崎恵水産_グリーンローン_フレームワーク_R&Iセカンドオピニオン)
今回、スマートクロックで見える化したデータを参考に、電力使用が集中する時間帯の業務改善を行いました。現在、夜間や休日に冷凍庫を稼働させて温度を下げ、電力使用の多い日中はオフにしています。まぐろの鮮度が保たれるマイナス50度より温度が高くなるとスイッチをオンにするため、電力使用が最小限に抑えられます。
下記のグラフは、設置前と設置後の工場稼働日のデータです。
- 効果は翌月すぐに。1ヶ月で約10%の省エネに成功
デマンド調整前後の工場稼働日の総電力量とデマンド値を比較してみると以下のようになりました。(※1週間平均値)
設置前:2022/7/28~8/2 → 総電力量4752kWh/デマンド値295.8
設置後:2022/8/25~8/30→ 総電力量4298.4kWh/デマンド値223.4
スマートクロックの導入と業務改善により1ヶ月で、総電力量約10%・デマンド値約25%減少。外気温や業務状況により異なりますが、継続して業務改善前よりも、大幅な電力量削減に成功しています。
デマンド値とは、30分あたりの平均電気使用量のこと。当社のようにエネルギーを多く消費する産業は「高圧電力契約」にあたり、デマンド値が翌年の基本料金になるため、デマンド値を下げることがコストカットに繋がります。
- 1社でも導入する工場や施設が増えれば
「我々は、マイナス60℃近くになる冷凍庫やバンドソー(電気のこぎり)など、まぐろの品質保持や加工に大きなエネルギーを使用せねばなりません。スマートクロックは導入に大きな費用もかかりませんし、省エネだけでなくコストカットにもなるので、1社でも導入する施設が増えればいいなと感じます。水産業界は正直、全体的に環境への取り組みが進んでいるとは思いません。でも、『自社のコスト削減』と考えると着手しやすいんじゃないかと思っています」(代表取締役社長・石橋)
東日本大震災時とその後の計画停電時、仕事がままならなかったことをきっかけに、省エネ・再エネ(自社で再生するエネルギー)に取り組んできた当社。太陽光発電の導入、自然電力への切り替えや斡旋など、『できることから少しずつ』を合言葉に行動しています。
代表の石橋は、自宅にソーラーパネルと蓄電池、太陽熱温水器を導入。太陽光で発電・蓄電した電気のみで生活をするなど、私生活でもサステナブルな生活を実践中です。
今回のスマートクロックは高額な導入費用も不要。高圧電力の管理に支払っていた費用を日本テクノ社に切り替えただけで、初期費用はほぼかかっていません。
一社でも取り入れる企業や団体が増えてくれると嬉しいです。今後も、海や地球環境に関わる水産業社として、社会に貢献し、環境への取り組みに尽力していきます。
- 会社概要
株式会社三崎恵水産
http://www.misaki-megumi.co.jp/