パナソニック株式会社 空質空調社(以下、パナソニック)は、欧州においてヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、以下、A2W)事業の成長戦略を加速させます。2023年5月、日系メーカーとして初めて(※1)、欧州で環境に配慮した自然冷媒採用の住宅向け新製品3機種(暖房能力別)を発売することを皮切りに、2025年度には、ラインアップを2倍以上に拡充します。また旺盛な需要に対応するため、チェコ・マレーシア両工場の生産能力増強、R&Dセンター新設による技術開発力向上、クラウドを活用したメンテナンスソリューション事業の拡大などマーケティング強化に向けて、2025年度までに約500億円を投資します。
A2Wは、大気中の熱を集めて温水をつくり出し、住宅に循環させることで暖房するシステムです。化石燃料を用いた暖房機器に比べてCO2排出量を抑えることができ、環境への負荷が少ないため、欧州にて需要が伸びています。
パナソニックは2008年に、欧州で、エコキュートやエアコンで培った省エネ技術をベースに開発したA2W「Aquarea(アクエリア)」の販売を開始しました。主な特長は、寒冷地でも暖房機能が低下せず、温暖な地域では冷房として使用可能などで、クラウドにより遠隔監視するサービスも提供しています。A2W事業の成長戦略は、次の通りです。
1.【環境テクノロジー】2023年日系メーカー初(※1)、自然冷媒採用製品を発売、2025年度にはラインアップを2倍以上に拡充
エアコン、A2Wなど空調機器の冷媒として使用されているハイドロフルオロカーボン(HFC)(※2)は、地球温暖化への影響が問題となり、 2016年10月、「モントリオール議定書(※3)」の中で生産・消費量を段階的に削減することが採択され(キガリ改正)、2019年1月に発効しています。このような状況下、空調メーカー各社は、早急に、温室効果が低い冷媒へ転換することが求められています。
パナソニックは2023年5月に、日系メーカーとして初めて(※1)、温室効果が極めて低い自然冷媒R290を採用した、住宅向けA2W新製品3機種(暖房能力別)を欧州で発売し、2025年度には品揃えを2倍以上に拡充させる計画です。
2.【オペレーション改革】生産増強、技術開発・マーケティング強化に向けて約500億円を投資
欧州におけるA2Wの旺盛な需要に対応するため、パナソニックは生産増強、技術開発・マーケティング強化に向けて、2025年度までに約500億円を投じます。現在A2Wは、チェコ工場とマレーシア工場で生産していますが、中期的には、生産能力を大幅に拡大し、100万台体制構築を目指します。また、施工業者を対象にした、自然冷媒R290採用製品などの工事ノウハウを習得するトレーニングセンターやショウルームを、2025年度には、現状の1.5倍以上に増やし、体制の充実を図ります。
更に、2023年には、欧州にA2Wはじめ空質空調事業の研究開発部門「R&Dセンター」を新設し、技術開発力を強化することで、現地ニーズに迅速に応えます。
3.【継続顧客接点強化】A2Wクラウドの活用によるメンテナンスソリューション事業の拡大及びエンジニアなどの増員
現在、欧州ではクラウドを活用した遠隔監視により、A2Wの運転状況を常時把握し、即座に異常を検知することが可能です。また、デンマークでは機器の状況に応じて、現場で速やかに点検・修理するサービス体制も構築。このようなメンテナンスソリューション事業を欧州他国に拡大し、製品のより安心・安全・快適で長期間にわたる使用を実現するほか、専門知識を有するエンジニア、営業・サービス担当者も増員します。
更に将来的には、クラウドに故障予知などの機能を搭載するほか、AIを活用し、熱交換気ユニットによる熱ロス低減、空気質のセンシングに応じた空質空調機器のトータル制御など、快適性と省エネを両立し、お客さまのニーズに合った最適なソリューションを提案していきます。
パナソニックは今後も、これまで培ってきた技術力、モノづくり力、くらしのノウハウを生かして、快適で、地球環境に配慮した空間創出に取り組んでいきます。
※1:全欧で、自然冷媒R290を採用した住宅向け、冷暖房機能搭載A2Wにおいて。パナソニック調べ、2022年10月3日現在。
※2:代替フロンの1種でR410Aなどがあり、温室効果が高い。
※3:オゾン層保護を目的とした環境条約。オゾン層を破壊するおそれのある物質の生産・消費を削減する目標と、削減スケジュールなどが定められている。
▼[プレスリリース] 欧州向けヒートポンプ式温水給湯暖房機事業の成長を加速(2022年10月3日)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/10/jn221003-2/jn221003-2.html