全国トップクラスの農業生産額を誇る豊橋市が、令和3年12月から進める「食と農のまち推進プロジェクト」の一環として開催。
豊橋市が実施したアンケートでは、95.7%の飲食店と60%の農家が「地産地消に興味、こだわりがある」と回答。市内全体の地産地消を後押しする取り組みとして、「地元飲食店に利用してもらいたい地元農家」と「地元の食材を使いたい地元飲食店」をマッチングするこのイベントを企画しました。
農家側は販路拡大ができ、飲食店側は新鮮な食材を仕入れ、店で地元農産物のブランドを生かすことができるなど、双方に新しい発見や人脈づくりが期待されます。
マッチングに参加した農家は、レモネーディア、柿、高糖度ミニトマト、松きのこ、鶏卵、ミカン、日本一の出荷量を誇るラディッシュやエディブルフラワーなどの生産者16人。
飲食店側は、創作和食や居酒屋など市内の9店舗が参加しました。
イベントではまず、飲食店側が料理のジャンルやこだわり、地産地消にかける思いなどを話しました。続いて、農家が3分程度でプレゼン。
「ラディッシュは暑い季節は辛いので、油と一緒に食べるといい」「うちのイチゴは香りが強く、色が濃いのでスムージーもおすすめ」「小菊はツマモノのイメージが強いが、食材としても使ってほしい」などと、農産物のこだわりや特徴、おすすめの食べ方などを紹介しました。
柿農家の鈴木義弘さんは、「日本一の次郎柿の産地でありながら、秋が過ぎると柿がなくなってしまうので、年間を通して次郎柿を提供するためにドライ次郎柿も製造しています。日本人が愛してやまない秋の味覚を通して、地域を盛り上げていければ幸いです」と思いを語ります。
また、豊橋温室園芸農協の花穂・ほじそ部会は、出荷量日本一で海外輸出も行っているものの、「花穂、ほじそが食べられると認識されていないのが現状。花や実を料理に散らして使用することを考えていますが、プロの料理人に可能性をここ豊橋で見出していただけたらと思います」とアピールしました。
プレゼン後は、農家ごとのブースで、飲食店経営者や料理人らが個別の質問を投げかけていきました。
マッチングは机に置かれた箱に飲食店側が名刺を入れることでオファーとなり、受理するかどうかの決定権は農家が持ちます。今回は9組が個別商談へと進み、価格やロット数などを話し合いました。
マッチング会後、これまで捨ててきた摘果ミカンの活用を模索して参加したヤマイシ果樹園は、「三ヶ日と蒲郡に挟まれた豊橋ではミカンのブランド化はなかなか難しい。飲食店の方々の力を借りて、新しい価値を見つけていきたい」と力を込めます。
日本料理「大村屋」は冬のフグ料理と柑橘類の相性の良さに着目しており、「農家さんと知り合える機会がなく、こうしたイベントはありがたいです。各農家さんがSNSで発信できる時代だが、こうして実際に会って思いを聞くのは全然違いますね」と話していました。
今後は農家と飲食店がタッグを組み、地元農家とのメニュー開発経験のある料理人によるサポートなどを受けながら、新メニュー開発を進めていきます。新メニューの提供イベントは、令和4年11月〜令和5年1月に予定しています。