本事業でメインキュレーターを務める森山未來さん、キュレーターの山峰潤也さん、今西正男 神戸市副市長が登壇し、同事業の概要が発表されました。また、プロジェクト参加アーティストの公募を、本日より特設サイトにて開始します。
その後、リサーチにより生まれたアイデアの一部をアートとして具現化し(=Realization)、さらにその具現化されたアートやリサーチの結果やプロセスを展示・保存し共有する(=Publication)という形で神戸の街に再配置していくことで、“リ:パブリックアート”を創出していきます。
また、プロジェクトにて制作したアートやリサーチ結果のアーカイヴは、エイベックスの音声ARアプリ「SARF」を活用したコンテンツとしても展開し、神戸市内における周遊観光の促進を図ります。
なお、プロジェクトに参加するアーティストは本日より特設サイトにて公募開始となります。
メインキュレーターとしてすべてのステップに携わることとなる森山未來さんは、会見にて、『神戸という場所でメインキュレーターという形で関われることを光栄に思っています。神戸という“風”を受けたアーティストが、何を得るのか、何を見るのか、どのようにみなさんと共有するかを、アーティスト・イン・レジデンスという仕組みを使ってやりたい』と、本プロジェクトへの意気込みを語りました。また、今西正男神戸市副市長は『さまざまなアーティストに神戸に滞在していただき、新しい神戸の価値を生み出し、多くの方々に神戸を訪れてもらいたい』と述べ、本プロジェクトにかける神戸市の狙いを説明しました。
■森山未來さんコメント
神戸という場所でメインキュレーターという形で関われることを光栄に思っています。神戸という場所をどういう存在として考えて生きていくのか。神戸という“風”を受けたアーティストが、何を得るのか、何を見るのか、どのようにみなさんと共有するかを、アーティスト・イン・レジデンスという仕組みを使ってやりたい。モノもコトもバショも立ち上げているのは人。これからの神戸、日本、地球を見据えた上で立ち上げたので、単年度で終わるのではなく、長い目でこのアートイベントを展開していきたいです。
■山峰潤也さんコメント
非常に魅力のある神戸という街でご一緒させていただけることをとても楽しみに思っています。モノを作ることより、コトを作って、出来事や価値観との出会いが重要視される時代になってきました。さまざまな個々の物語がパブリックに開かれ、他者の物語に出会っていけるようなフレームワークを、“リ:パブリックアート”としてスタートしていきます。まったく新しい形で個と個がその場所、あるいはインターネット上のツールを通して出会っていける試みを目指していきます。
■今西正男神戸市副市長コメント
神戸の魅力は多様性です。モノ・コト・バショに対してアーティストが新たな視点と感性で新しい価値を生み出していくことで、新しい概念のパブリックアートを作り上げていきたいと考えています。全国的に見てもあまり類を見ない取り組みです。さまざまなアーティストに神戸に滞在していただき、多くの方々に神戸を訪れていただきたいと考えています。
【プロジェクト概要】
■『KOBE Re:Public Art Project』
「人新世に吹く風」をテーマに、神?に潜む新たな魅?を再発見し、新たな形のパブリックアート(リ:パブリックアート)を創出していくプロジェクト
■今年度のスケジュール(予定)
Curation :アーティストの募集・選定(本日~10月)
Research:アーティストによる神戸の魅力の発掘(11月下旬~12月中旬)
Realization:リサーチにより生まれたアイデアをアートとして具現化 (2023年2月)
Publication:具現化されたアート、リサーチ結果・プロセスの展示(2023年3月~)
■プロジェクトアーティストの公募について
神戸の魅力や価値の発掘を行うアーティストの募集を、2022年9月1日より下記特設サイトにて開始します。
応募ページURL:https://koberepublic-artproject.com/
■パブリックアートについて
パブリックアートとは、美術館やギャラリー以外の広場や道路や公園など公共空間(パブリックスペース)に設置される芸術作品で、地域のシンボルとして人と地域を結びつけ、地域の交流や経済を活性化させる役割を持ちます。
神戸市内にも、「六甲ミーツ・アート」、「BE KOBE」などをはじめとしたアート作品やモニュメントは既に多く存在していますが、同事業では、国際貿易都市として発展してきた同市が保有する長い歴史や多様性、人と自然の営みが共存するモノ、コト、バショを「メタ資源」と捉え、これらにアーティストが新たな視点と感性から新しい価値を加えていくことで、物理的なアートに固執しない、新しい概念のパブリックアートを創出していきます。
■アーティスト・イン・レジデンスについて
アーティスト・イン・レジデンスとは、様々な分野で活動するアーティストが、一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる環境で作品制作のリサーチ活動を自由に行う仕組みです。近年、このような仕組みを活用したアートによる地域の活性化が注目されております。
今回は、地域ごとに異なる文化や特徴をもつ神戸市を5つのエリアに分け、各エリアを象徴する特性を持ちつつプロジェクトテーマとの親和性が高いレジデンスに滞在いただくことで、参加アーティストが自身の興味や関心に基づき、より自由にかつ効率的にリサーチ活動を行うことが出来ます。
■人新世について
『人新世』とは、ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン博士によって提唱された、地質学における新しい時代区分です。人類が産業革命などを通じて地球規模の環境変化をもたらした影響はあまりに大きく、もはや人類が立つ土壌には、人工物が含まれていない場所はどこにもない「人類の時代」を意味します。
神戸の街には、様々な時代・文化を背景とした造形物、建造物、さらには都市構造に至るまで、自然と人工物とが交わり共存するモノ・コト・バショが多く存在します。今回それらすべてを、「人新世」において神戸の新たな魅力や価値となりうる資源として捉えてリサーチすることにより、これまで見えてこなかった、後世になっても色褪せない神戸の新しい魅力や価値を発見し残していきます。
【登壇者プロフィール】
森山未來(もりやま みらい)
1984年、兵庫県出身。
幼少時よりジャズダンス、タップダンス、クラシカルバレエ、ストリートダンスなどを学ぶ。
1999年に「BOYS TIME」(演出・宮本亜門)で舞台デビューの後、映画、テレビドラマ等、さまざまなキャリアを積んでいく。近年ではダンスパフォーマンス作品にも積極的に参加していて、13年秋より文化庁文化交流使として1年間イスラエルに滞在、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニーを拠点に、ベルギーほかヨーロッパ諸国にて活動。
演劇、ダンスなどのカテゴライズに縛られないオンボーダー、ジャンルレスな表現者としての在り方を日々模索中である。
山峰潤也(やまみね じゅんや)
キュレーター/株式会社NYAW代表取締役/
一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表
東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにて、キュレーターとして勤務したのちANB Tokyoの企画運営に携わる。主な展覧会に、「ハロー・ワールドポスト・ヒューマン時代に向けて」、「霧の抵抗中谷芙二子」(水戸芸術館)や「The world began without the human race and it willend without it.」(国立台湾美術館)など。
avexが主催するアートフェスティバル「Meet Your Art Festival “NEW SOIL”」や文化庁文化経済戦略推進事業など文化/アート関連事業の企画やコンサルのほか、雑誌やテレビなどのアート番組や特集の監修なども行う。また執筆、講演、審査委員など多数。
2015年度文科省学芸員等在外派遣研修員、早稲田大学/東京工芸大学非常勤講師。