イベント前半は、グローバル・アグリフードテックの現状に関するプレゼンテーションと日本のフードテック分野に関するパネルディスカッションが行われ、後半はグローバル展開を目指すアグリフードテック スタートアップによるピッチが行われました。
【Part 1: グローバル・アグリフードテックの現状】
ウクライナ侵攻後のアグリ・フードテック市場とスタートアップ投資の変化
John Friedman: Executive Director, AgFunder Asia Pte.
まず、AgFunder AsiaのJohn FriedmanよりAgFunderの紹介とグローバルのアグリフードテック分野の最新の投資動向などについてプレゼンがありました。2021年はアグリフードテック分野への投資が517億ドル、前年比85%増と大幅に伸びましたが、今年に入り、他のベンチャー分野と同様に不安定な市場環境を背景に案件数が縮小しています。しかしながら、過熱気味だった市場が正常化したと考えられるため、今後は妥当なバリュエーションで優良なスタートアップに投資が行えるとポジティブな捉え方をしています。
日本におけるアグリ・フードテック分野への投資は、世界の中でも投資額が上位15カ国以下になっており、他国に比べるとアグリ・フードテック投資への盛り上がりが遅れている状況が伺えます。しかし、AgFunderとしては日本は優れた食農技術を開発する企業や技術的なベースを持っており、国際的にも評価されている食文化を保有していることから大きなポテンシャルを感じており、今後の日本でのアグリ・フードテックのエコシステム形成に貢献していきたいという話がありました。
パネルセッション:日本のフードテックの成長とこれから
– 外村 仁 / Food Tech Studio-Bites! ファウンダー
– 楠本 修二郎 / カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 株式会社グッドイートカンパニー 代表取締役CEO
– 広瀬大地 / 株式会社SDGインパクトジャパン パートナー(モデレーター)
続くパネルディスカッションでは、日本のフードテック分野の第一人者お二人をお迎えすることができました。外村仁さんは『Smart Kitchen Summit Japan』『Food Tech Studio-Bites!』を立ち上げ、日本のフードテックコミュニティの醸成を積極的に行っており、楠本修二郎さんは「WIRED CAFE」をはじめとした飲食店などの企画・運営をするカフェ・カンパニー、食のコミュニティ型ECサイト「GOOD EAT CLUB」を企画・運営するグッドイートカンパニーの代表を務めています。
当パネルでは、日本が誇る食文化を、テクノロジーをテコにして発信していく重要性などが議論されました。日本の大企業は元祖イノベーターで、新しいことをスピーディーに推進することが大切だと指摘があり、日清食品の完全栄養食プロジェクトの紹介がありました。当プロジェクトがケミカルではなくマニュファクチャリングのテクノロジーを用いたフードテックであり、「日本らしい」フードテックの事例として挙げらました。また、海外の人が日本の技術を学び、それが海外から発信されているという指摘があり、日本に眠っている昔からある食における知恵や技をテクノロジーにつなげて、全体設計を通じて将来の資産価値にするべきだというコメントもありました。
【Part 2: アグリ・フードテック・インパクトピッチ(英語)】
後半はグローバル展開を目指すスタートアップ6社による「アグリ・フードテック・インパクトピッチ」が行われました。代替タンパクやITを活用した効率的な生産、ゲノム編集、陸上養殖、海外のe-Groceryなど様々なスタートアップによる5分間のピッチが行われました。
(当日参加頂いたアグリフードテックのスタートアップ)
南 賢尚 / NU Protein株式会社 代表取締役
http://nuprotein.jp/ja/
石本 俊輔 / リージョナルフィッシュ株式会社 COO
https://regional.fish/
杉山 亜美 / 株式会社SECAI MERCHE Founder/Co-CEO
https://secai-marche.co.jp/
栗原 洋介 / 株式会社ARK 共同創業者
https://www.ark.inc/
神林 隆 / 株式会社Eco-Pork 創業者兼代表取締役
https://eco-pork.com/
野秋 収平 / 株式会社CULTA 代表取締役
https://culta.jp/
イベント終了後も閉場まで積極的な名刺交換が行われ、参加者・登壇者を交えて交流が行われました。