心身の変調を数値化して分析、早期対応への効果を検証 ~IoTデバイスを用いた、市役所職員の健康管理トライアルを実施~

この記事は約4分で読めます。
笠間市※1と東日本電信電話株式会社 茨城支店(以下 NTT東日本)※2は、NTT東日本が開発中の「IoT健康管理システム」を用いて、市役所職員のヘルスケアをサポートするトライアルを行いました。
※1 市長:山口 伸樹(やまぐち しんじゅ) 茨城県笠間市中央三丁目2番1号
※2 支店長:長野 公秀(ながの きみひで) 茨城県水戸市北見町8番8号
1.背景と目的
コロナ禍において、リモートワークなどワークスタイルの多様化が急激に進むなか、職場での心身のケアは一層の課題となっています。
この状況を受け、笠間市とNTT東日本は、NTT東日本が開発中の「IoT健康管理システム」を活用し、職員のバイタルデータや役所内の環境データを一元的に可視化することで、職員の心身の変調の早期発見や職場環境の改善への効果を検証し、市内の中小企業事業者等への展開の可能性を検討するため、トライアルを実施しました。
 

2.検証概要
●期間:2021年12月~2022年3月末
●対象者:笠間市役所職員 約30名(企画政策課、企業誘致・移住推進課、保険年金課)
● 取得データ

3.検証内容及び結果
■検証①:職員の心身の状態を早期に把握することができるか
実施内容  取得したストレス値について職員個別の傾向を可視化
結果    継続的にストレス値が高い傾向の職員や前月と比較してストレス値が向上した職員の特定と業務内容
      の違いによるストレス値の傾向を把握することができた。
      ⇒高ストレス値を計測した回数が多い職員3名について管理職からリフレッシュにつながる声掛け等
      の簡単なアクションを実施。
      ⇒短期間では明確な効果は見られなかったが、継続的に実施することにより、職員のストレス軽減に
      繋がる一つの方法と考えられる。同時に、業務内容の違いを踏まえた個別の効果的なアクションの検
      討が必要と考えられる。

職員別 高ストレス値の計測回数(一部職員抜粋)

■検証②:「ストレスはない」と申告している職員は、本当にストレスを抱えていないのか
実施内容   自己申告による業務や生活面での心理的負荷度合い※4とデバイスで計測したストレス値を比較
結果     自己申告による心理的負荷度合いは平均値より低いが、デバイスで計測した高ストレス平均値より
       高い職員(自己申告とデバイス計測にギャップのある職員)を確認できた。
                   ⇒職員の自己申告 に加え、客観的なデータを元に心理的な負荷や体調変化の確認が必要であると考
      えられる。
※4 職業性ストレス簡易調査票(簡易版 23 項目)を使用し、アンケート回答により負荷度合いを測定

「自己申告による心理的負荷度合い」と「デバイスによる高ストレス値計測回数」

■検証③:ストレス値は曜日や時間帯により異なるか
実施内容   曜日や時間帯毎に高ストレス値が計測された回数を比較
結果     ・  曜日別で比較すると月曜日~木曜日に比べて金曜日は「高ストレス値を計測した回数」が少ない
          傾向であった。
                   ・  午前と比較すると、午後の方が「高いストレス値を計測した回数」が多い傾向であり、特に 15                          時~16 時に多くなる傾向であった。
                   ⇒ストレス値が高くなる曜日・時間帯に休憩をとり、リフレッシュすることでストレス軽減に効果                     的であると考えられる。

           曜日別「高いストレス値を計測した回数」          時間帯別「高いストレス値を計測した回数」

 4.今後の展開
笠間市では、本トライアルで得られた知見から、業務内容に応じた職員毎のストレスケアや職員本人のストレスの感じ方とバイタルデータから得られたストレス度合にギャップが認められる職員へ継続したケアを実施していく等、職員の健康管理に反映していくとともに、デジタルの力を活用した市民生活の質の向上に向け、市民や市内事業者等の健康増進をはじめとした課題解決に向けた取り組みを官民連携により推進していきます。  
                 

 

タイトルとURLをコピーしました