ベトナムは人口が増加(2020年に9,836万人、2030年に1億628万人)し、コロナ禍の2020年もプラス成長(+2.8%)を維持、経済成長率世界5位と社会経済が急成長しています。
一方、医療体制は旧来のままの部分も多く、いわゆるレファラルシステム(診療所→中小・民間病院→大病院と順番に患者を紹介する仕組み)が適正に機能せず、大病院に患者が過剰に集中しているという課題を抱えています。その理由として、診療所の提供する医療は質が低いことが多いとされ、患者が病気の早期発見や予防・管理のために診療所に通院するというカルチャーが育っていません。加えて、ICT化の遅れ(診療所の約9割が未だに紙カルテを使用*)などにより、病診連携を円滑化するための情報共有の手段が限定的となっています。
ベトナム政府保健省も診療所の質向上や病診連携の必要性には強い問題意識を持っており、レファラルシステムの構築に向けて始動しているものの、患者の受療行動を変容させるには至らず、実現までの歩みは遅いのが現状です。特に小児医療については、年間出生数が日本の約1.5倍にあたる140万人を超えているされており、増大する需要に対して供給が足りていない状況となっています。
そこでモルゲンロートとメドリングでは、小児科を中心としたスマートクリニックを開設し、これら課題に対処することを決定いたしました。
*メドリング調べ
【新クリニックの概要】
立地
ベトナム社会主義共和国ハノイ市Từ Liêm区
名称
東京ベイファミリークリニック (Tokyo Bay Family Clinic)
診療科
小児科・内科・耳鼻科・ワクチンセンターおよび薬局を併設予定(順次、拡大を予定)
DXの概要
メドリングが開発・現地クリニック向けに販売しているクラウド型診療支援システム「MEDi」を活用して、予約・受付・診察・検査・会計等のDXを皮切りに、日本医療の知見や日々蓄積される医療データをもとに、診断や治療方針決定についてもデジタル技術を活用した体制としていきます。
【開業予定】
2022年10月
【モルゲンロート代表理事 小暮裕之のコメント】
私どもモルゲンロートは、2010年に1つ目のクリニックを開業以来、「元気な子供と親の笑顔があふれている社会」をビジョンに、複数のクリニック運営を行なってまいりました。日本の小児医療に関する課題も当然尽きることはありませんが、一方で、世界には日本のそれとは比較にならないほどの課題が山積しています。なかでもベトナムの大都市部では、かつての東京湾岸エリアでも発生していた、「子供を含む住民が急速に増えているのに、適切な医療の受け皿がない」という課題が至る所で発生しています。我々が10年間培った経験を、今度はベトナムで発揮し、同地においても「元気な子供と親の笑顔があふれている社会」を作っていきたいと考えています。
モルゲンロートについて
モルゲンロートは、東京湾岸エリア(有明・豊洲・勝どき・田町芝浦の湾岸地域)において5クリニックを展開する医療法人です。まだ同エリアの医療体制が不十分であった2010年に開業し、以来、小児医療の受け皿として機能し、その規模を拡大しています。
https://child-clinic.or.jp
【メドリング取締役COO 長谷部辰雄のコメント】
当社は2020年にベトナム・ハノイの地に自社クリニックを開設し、その運営を通じて、クリニックDXを実現する診療支援システム「MEDi」を開発しました。すでに約20のベトナムのクリニックにおいて使用されています。今回、モルゲンロートが有する日本医療の知見と、当社が有するクリニック運営ノウハウおよびシステムとを統合した「スマートクリニック」を実現することで、多くのベトナム人の方々の健康実現に寄与できるものと確信しております。今後も日本の医療機関の海外進出を支援してまいりたいと考えております。
メドリングについて
メドリングは、東京およびベトナム首都ハノイに拠点を構える日本の医療スタートアップです。東南アジアにおけるクリニックのDX推進を目的としたクラウド型診療支援システム「MEDi」の開発・販売、および、同システムを活用したスマートクリニック「METiC」の展開を行っています。MEDiについては、予約・受付・診察・検査・会計等の支援機能を皮切りに、日本医療の知見や日々蓄積される医療データをもとに、各種診療サポート機能の実装も目指しています。
https://www.medring.co.jp