株式会社NTT ArtTechnology(代表取締役社長:国枝 学、以下「NTT ArtTechnology」)が株式会社アルステクネ(代表取締役社長:久保田 巖、以下「アルステクネ」)と連携して高精細デジタル化を行った、北斎館(長野県・小布施町)の所蔵作品を中心とした北斎晩年の肉筆画の作品を、高精細デジタルデータを活用して、忠実に再現する展示を行います。
高精細デジタル化を通じ、これまでご覧いただけなかった北斎の高度な技法や独自の工夫などの作品細部の情報を明らかにすることにより、北斎の革新性の真髄に迫ります。
1.背景と目的
NTT東日本、NTT ArtTechnology、アルステクネは、これまで「Digital×北斎【序章】」展(2019年11月~2020年2月)、「Digital×北斎【破章】」展(2020年12月~2022年7月)、「Digital×北斎」特別展(2022年6月~7月)を開催し、約3万人の方々にデジタル技術を活用した新たな鑑賞体験を提供すると同時に、これらを通じた地域活性化への貢献を推進してまいりました。
この度新たに開催する、「Digital×北斎【急章】」展では、展覧会のテーマを、葛飾北斎が晩年に力を注いだ肉筆画に求めました。
北斎の肉筆画は、大胆な構図や描写はもとより、多様な題材を描きつつ、異様に細密で計算された構図や意匠、こだわった絵具の選択、繊細な反射や凹凸表現などが用いられています。作品を鑑賞する位置やライティングにより変容して見えることを意識し、様々な技法を取り入れ、応用し発想する革新性が見てとれます。
これまでは作品の保護の観点からそれらを詳細に調査することは困難でしたが、この度、アルステクネが有する特許技術「三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて作品を高精細にデジタル化することで、はじめて明らかにすることが出来ました。
本展覧会は原画を細部まで忠実に再現したマスターレプリカ※1の展示を中心に、動画、パネルなどにより北斎の高度な技法や独自の工夫を詳しくご紹介し、北斎の革新性の真髄に迫ることをめざします。
※1 マスターレプリカ
アルステクネが有する特許技術「高品位三次元質感画像処理技術(DTIP)」を用いて制作された、所蔵元認
定の公式複製作品。
2.展示構成・概要
第一章ビッグバン 冨嶽三十六景
葛飾北斎の浮世絵版画の代表作「冨嶽三十六景」を中心にその表現の細密性から、浮世絵版画が海外に与えた影響までを紹介します。
1-1:冨嶽の実像
・「冨嶽三十六景」全47図(後摺りを含む)のマスターレプリカを展示しています。人気の高い「冨嶽三十六景」を一度に全作品ご鑑賞いただけるほか、これまで浮世絵版画の原画の展示では、作品保護のためケースに入れ照度を落とす必要がありましたが、本展示では明るい環境のもと、直接作品をご鑑賞いただけます。
1-2:冨嶽の中の宇宙
・「冨嶽三十六景」の表現の細密性をデジタル技術を駆使した4つの方法で紹介します。
①裸眼VR:VRゴーグルを着用することなく、鑑賞者の動作で「神奈川沖浪裏」「東海道品川御殿山ノ不二」を自由に操作し、様々な角度から鑑賞いただきます。
②3Dダイブシアター:「神奈川沖浪裏」の世界観を正面、左右、床面への4面マルチプロジェクションにより、強い没入感を感じながら体感いただきます。
③ルーペ鑑賞:「東海道品川御殿山ノ不二」「東海道金谷ノ不二」「身延川裏不二」の3作品をLEDルーペで詳細まで鑑賞いただきます。
④ビッグパネル:超高精細データだからこそ可能な、横1600mmまで作品を拡大したパネルにより、絵師、彫師、摺師が三位一体となった表現を細部まで鑑賞いただきます。
1-3:世界に広がる革新
・「冨嶽三十六景」をはじめとした浮世絵版画が海を渡り、印象派の画家たちに与えた影響について、オルセー美術館所蔵作品のマスターレプリカと、動画、パネルを用いて紹介します。
第二章北斎 肉筆画の宇宙
新たに高精細デジタル化を行った作品を中心とした肉筆画を展示しています。
晩年の北斎が力を注いだ肉筆画の世界を、マスターレプリカの展示を中心に、動画、パネルを交えて紹介します。
高精細デジタル化の過程で明らかになった、北斎の高度な技法や独自の工夫を詳細にご覧いただけます。
2-1:神妙を描く
・岩松院本堂天井絵「鳳凰図」 縮小複製画:岩松院所蔵
・岩松院天井絵原図「鳳凰図」:岩松院所蔵
・フローティングギガビューワー※2(原図、天井絵、推定完成復原版)による細部の鑑賞。
2-2:絵具を工夫し、変容する絵を描く
・「詠歌美人図」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
・「柳下傘持美人」:北斎館所蔵
・「白拍子」:北斎館所蔵
2-3:身近な、小さな自然の生命を描く
・「肉筆画帖」(全10図):北斎館所蔵
2-4:色と形で絵画に生命を宿す
・「花和尚圖」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
・「菊図」(右幅、左幅):北斎館所蔵
2-5:北斎と龍 省略の美、墨一色で命を吹き込む
・「雲龍図」:似鳥美術館(公益財団法人似鳥文化財団)収蔵
・「富士越龍」:北斎館所蔵
・拡大パネル:「富士越龍」、「菊図」(右幅、左幅)
※2 フローティングギガビューワー
空中に投影された操作画面を非接触で操作し、作品を拡大してモニターで鑑賞するシステム。
3.基本情報
・タイトル:「Digital×北斎【急章】その1」展 「生きるが如く描く~北斎肉筆の宇宙~」
・会期:2023年4月29日(土・祝)~10月1日(日)
※休館日:月曜日(月曜日が祝日もしくは振替休日の場合翌日、5月1日は開館)、保守点検日(8月6日)
開催日程詳細 https://www.ntt-east.co.jp/art/hokusai-kyusyo1/
・時間 :11:00~18:00(入場は17:30まで)
・会場 :NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーE
〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
京王新線「初台駅」東口から徒歩2分
・入場料:一般・大学生 1,000円(15名様以上の団体料金は800円)
※障害者手帳をお持ちの方および付添1名、65歳以上の方と高校生以下(当日身分証明書のご提示をお願いいた
します)、ICC年間パスポートをお持ちの方は無料
※オンラインチケット https://www.e-tix.jp/hokusai_kyusyo1/
・お問い合わせ:[e-mail] bunka-ml@east.ntt.co.jp [電話] 0120-114-677
・主催:東日本電信電話株式会社
・企画・運営:株式会社NTT ArtTechnology
・監修:久保田巖(株式会社アルステクネ 代表取締役社長)
・企画協力:市村次夫(北斎館理事長)
・協力:株式会社アルステクネ、北斎館、岩松院、山梨県立博物館、公益財団法人似鳥文化財団、
株式会社Goolight
4.今後の展開
会期中にデジタル技術を用いたインタラクティブな作品などを追加する予定です。また今年度の下半期には「Digital×北斎【急章】その2」展として、北斎が小布施で制作した作品をご紹介する予定です。
これらの取り組みを通して、地域活性化へのさらなる貢献に取り組んでまいります。
(参考)
岩松院本堂天井絵「鳳凰図」展示
①長野県立美術館 「葛飾北斎と3つの信濃」展
縦5.5m、横6.3mの原寸大高精細複原画が展示されます。
[期間]2023年7月1日(土)~8月27日(日)
[場所]長野県立美術館
〒380-0801長野県箱清水1-4-4(善光寺東隣 城山公園内)
②NTT東日本・初台本社ビル1階ロビー
1/2縮小版の高精細複製画を展示しています。空中に投影された操作画面を非接触で操作し、鳳凰図を拡大してモニターで鑑賞する「フローティングギガビューワー」や小布施町の街並みや観光名所などの魅力を伝える映像、小布施町の特産品なども展示しております。
[期間]展示中~2024年3月29日(金) 平日10時〜17時
[場所]NTT東日本・初台本社
〒163-8019東京都新宿区西新宿3-19-2
岩松院本堂天井絵「鳳凰図」
(作品画像)
「白拍子」(北斎館)
「肉筆画帖 塩鮭と白鼠」(北斎館)
【別紙】
https://prtimes.jp/a/?f=d98811-596-1bac7442983fae5dd29953b3a40ebb91.pdf