「短期記憶」「長期記憶」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、脳の働きを情報処理という観点から解き明かし、知性の働きや性質を理解しようとする研究分野「認知科学」の用語です。本書では、最新の認知科学に基づいて、よりよい職業プログラマーとなるための考え⽅や実践⽅法を解説しています。
本書は、4部に分かれており、13の章から構成されています。
第1部では、認知科学に基づく脳の動きを説明し、それがプログラミングにどのように関連するのかを紹介しています。また、それを踏まえて、職業プログラマーとしてのコードの読み方について考えます。
第2部では、コードを読むことではなく、「コードについて考えること」を解説しています。コードを深く理解するための方法、問題解決のための効果的な手法、さらに勘違いを避け、バグを防ぐにはどうすればよいかに言及します。
第3部では、よいコードを書くことに目を向けます。理解しやすいコードを書き、曖昧な名前や怪しい「コードの臭い」を避けるにはどうしたらよいかを検討します。
第4部では、チーム開発について考えます。コーディングに集中する方法、大規模なコードベースを改善する方法、さらには新しい開発者のオンボーディングにおける効果的な方法を紹介します。
原著者であるFelienne Hermans氏からは、日本語版の刊行に寄せて、次のようなコメントをいただいています。
I am very excited the book is being translated into Japanese and that a larger audience can now read this book about how to become a more effective programmer.
この本が日本語に翻訳され、より多くの人がより効果的なプログラマーになる方法について読めるようになったことに非常に興奮しています。
本書は、脳の働きをより深く理解することで、スキルや習慣を向上させたいと願う、すべてのレベルのプログラマーのために書かれていますが、特に「職業プログラマー」が直面するような状況が取り上げられています。チーム開発、大規模ソフトウェアシステム構築、オンボーディングサポートなどの経験などがあると、本書をより理解し、活用できるでしょう。また、JavaScript、Python、Javaなど(APLやBASICも!)の言語で書かれたコード例が出てきますが、特定の言語の知識や経験は必要ありません。
- 書籍概要
書名:プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ
著者:Felienne Hermans
訳者:水野 貴明
監訳者:水野 いずみ
定価:3,300円(税込)
発売日:2023年2月16日
Amazon.co.jp:https://www.amazon.co.jp/dp/4798068535/
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/17390032/
- 目次
Part 1 コードをよりよく読むために
Chapter 1 コーディング中の混乱を紐解く
Chapter 2 コードを速読する
Chapter 3 プログラミング言語の文法を素早く習得する方法
Chapter 4 複雑なコードの読み方
Part 2 コードについて考える
Chapter 5 コードの深い理解に到達する
Chapter 6 プログラミングに関する問題をよりうまく解決するには
Chapter 7 誤認識:思考に潜むバグ
Part 3 よりよいコードを書くために
Chapter 8 よりよい命名を行う方法
Chapter 9 汚いコードとそれによる認知的負荷を避けるための2つのフレームワーク
Chapter 10 複雑な問題をより上手に解決するために
Part 4 コーディングにおける共同作業
Chapter 11 コードを書くという行為
Chapter 12 より大きなシステムの設計と改善
Chapter 13 新しい開発者のオンボーディング