■実証実験の背景・目的
少子高齢化は、現在日本を含む先進国で喫緊の課題であり、深刻な社会医療財政の悪化の要因となっています。また個々人にとっても独居高齢化に伴う健康不安に直面しています。今、「健康でより長く生きる」という健康寿命は、社会課題の重要なテーマとなっており、そのためにDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとしたIT技術による技術革新が、医療の分野でも大変注目されています。
こうした社会課題を解決するために、AI等最新技術を使った予防医学研究、高度な保険商品開発、健康保険組合が推進する数値に裏付けされた実効性ある健康増進活動、健康維持増進と介護予防を中心とするヘルスケアサービス等、今後大きく期待されています。一方、医療データが標準化されておらず、また改ざん不能で確実な信頼性が高い経年データが十分整備されていないことから、医療データの相互運用性、医療データを活用した便益の還元を大きく阻害しています。
ヒューマンズデータは、医療データの利活用に向け、フォーマットの統一はもとより「① 安心確実な手段で標準化された信頼性の高い医療情報のやり取りができる」ことと、「②被験者の主体的な意思のもとで医療情報の利活用を行える 安心・確実な手段で標準化された信頼性が高いデータのやり取りができる(スマートコントラクト)」ことが必要だと考えています。実現するためのテクノロジーとしてブロックチェーンおよびNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)技術を活用して、医療分野に関する高信頼データ取引システムおよび高信頼データ取引法に関する特許を取得いています(平成31年3月29日 特許第6830719号※ 現在海外でも申請中)。こうした技術は予防医学研究(医療・医薬業界)、高度な保険商品開発(保険業界)、数値に裏付けされた健康増進活動(健保組合)にとって福音となると考えています。
※https://www.humansdata.com/news/patent-20210217
経年で取得した医療データを元にした予防医療や各種保険、健康増進分野への展開やPHR(Personal Health Record)としての活用はもちろんのこと、自らの医療データに価値が産まれ、その価値を自ら主体性を持って交換していくことで新たな市場やサービスの創造や各種研究開発に寄与することで、今我々が直面している少子高齢化という重たい社会課題(ペインポイント)の解決を図り、未来の医療の実現をめざしています。
今回、医療データの利活用に向けた実証実験の第1弾として医療福祉クラウド協会とラブロックと連携し、被保険者の医療データをNFT化し、ブロックチェーンに保存する事でNFT化およびポイント換算によるスマートコントラクトに対する実証実験を行いました。
■実証実験の概要
2022年4月、ヒューマンズデータは、取得している特許内容をベースとし、医療福祉クラウド協会とラブロックと連携し、実験に同意を得た被験者10名に対して、開発した専用の実証実験アプリケーションを通じて健康データを入力してもらいました。入力されたデータは医療情報関連の標準規格データベースであるHL7 FHIR(以下FHIR)に格納され、ブロックチェーンに登録されます。ブロックチェーンに登録された被験者の健康データは、開発したNFT化システムにより1日1回NFT化され、ブロックチェーンに登録されたデータのハッシュ値と登録先URLの組をさらに3つ束ねたものを、NFTとしてブロックチェーンに登録しました。
<図1 アプリケーションデータ入力画面>
<図2 NFT化された健診データ>
NFT化された医療データは、Token Taxonomy Framework(TTF)および医療情報NFT定義に準拠したデータ形式でブロックチェーンに格納することで、本質的にブロックチェーンの実装に影響されない形で格納され、改ざんなどの影響を受けた状態では正しくデータの取引を行う事ができない設計となっています。本実証実験ではデモ的に被験者の健康NFT1件あたり1ポイントとして、ポイントを消費して取引が行われる実験を行いました。取引結果はNFTに記録され、正しくデータのやり取りが記録されている事が確認できました。
<図3 NFTポイントを利用したポイント交換手続き>
■実証実験の結果・今後の取り組みについて
今回の実証実験の結果、10名の被験者から合計90件のNFTが生成され、当該健康データについて仮に設定したポイント同等物と取引が確実に行われることを確認しました。また、実証実験の結果、ブロックチェーンにFHIRデータベースに保存された健康データのハッシュ値などを持たせることにより、万が一データが改ざんされても、その検知ができることを証明しました。またNFT化においては、ブロックチェーンの業界プレイヤー等が集うInter Work Allianceが策定するTTFに準拠し、将来異なるブロックチェーン間でもデータを相互運用が可能とし、医療データをNFTとして技術的に取り扱うことができることを証明しました。今後、より大規模な医療データの取り扱いやデモ的なトレードだけではなく実際の医療データのトレードによるスマートコントラクトの実現等、ビジネス化に向けた取り組みを一層進めてまいります。
■ヒューマンズデータについて
少子高齢化は、今後さらに深刻な社会医療財政の悪化の要因となり、大きな社会的課題になっていくとものと認識しています。健康寿命の重要度は、より注目されていくものと考えます。ヒューマンズデータはこうした社会問題を解決するために、長年の医療データに関する知見を礎に、医療分野に特化した最新の医療ブロックチェーン技術を開発しています。標準化によるデータの相互運用性と信頼性、そして経年性を有した健診、検診及び診療等医療データを対象としたNon-Fungible Token(NFT)として、当社独自技術「MerhdsNFT/マーズネフト」を開発し、高信頼取引システムを実現しています。
■会社概要
会社名:ヒューマンズデータ株式会社 (英名:Human’s Data Ltd.)
所在地:〒 100-0004 東京都千代田区大手町一丁目7-2
代表者:代表取締役CEO 長瀬 嘉秀
URL:https://www.humansdata.com/
業務内容:医療NFT「MerhdsNFT/マーズネフト」および「高信頼健診データ確認システム」の開発、提供および各種ブロックチェーンシステムの導入およびコンサルティング等
本リリースに関するお問い合わせはWebサイト(https://www.humansdata.com/)内のお問い合わせまでご連絡ください。