「Dell PowerScale」ストレージ、がん研有明病院が採用 先端がん医療を支えるIT基盤のデジタル トランスフォーメーションが加速化

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2022年10月11日
デル・テクノロジーズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚 俊彦、以下、デル・テクノロジーズ、URL:https://www.dell.com/ja-jp )は、公益財団法人がん研究会 有明病院(所在地:東京都江東区、病院長:佐野 武、以下、がん研有明病院、URL:https://www.jfcr.or.jp/hospital/ )が、デジタル病理画像向けのストレージ基盤を改善するため、「Dell PowerScale 」(以下、PowerScale)ストレージを採用し、医療IT基盤のデジタル トランスフォーメーション(以下、DX)を推進したことを発表しました。
がん研有明病院は「PowerScale」ストレージを採用したことで、デジタル病理画像向けオンライン ストレージの容量を6倍に増強するとともに、アーカイブ済み画像検索・閲覧作業のスピードを数分から数秒に短縮しました。また、今後のデータ容量増加にもスピーディーに対応できる環境を実現し、医療情報システムに欠かせない高信頼・高可用性を確保することができました。

今回の取り組みは、日本の医療機関における「PowerScale」ストレージの初採用事例となります。デル・テクノロジーズは、今後も医療分野におけるICT活用を支援していきます。

業務改革の背景:
公益財団法人がん研究会は、1908年(明治41年)に日本で初めてのがん専門機関として発足し、以来、一世紀以上の長きにわたり、日本のがん医療における主導的な役割を果たし続けてきました。病院部門であるがん研有明病院では、デジタル画像を用いた病理診断も行っていますが、従来の環境ではオンライン ストレージ容量が限られており、テープ装置へ退避したデータの再読み出しに時間を要するなど、運用上の課題を多数かかえていました。そこで同病院では、日々増え続ける大量の病理画像データを効率的に保存・活用できる新たなストレージ システムの導入に取り組むことになりました。

「PowerScale」導入以前の環境では、デジタル病理画像向けストレージ基盤の改善が必要でした。がんの病理診断は、患者から採取した細胞や組織から標本(スライド ガラス)を作成し、顕微鏡で観察する方法で行われています。これに対して、現在では、標本をデジタル化した画像で病理診断(パソロジー)を行うことも可能になっています。しかしながら、病理診断をデジタルで行う「デジタル パソロジー」に取り組んでいたものの、オンライン ストレージがそのボトルネックになっていました。生検であればスライド ガラス1枚分で数GB、手術中の検体では10GB超のデータが十数枚作成される場合もあります。しかも、病理診断の依頼件数は年間で平均約4万件もあるため、毎月約40TBずつデータが増えていくような状況でした。同病院の以前のストレージ環境では、この増え続ける大容量データをすべて受け止めることができませんでした。さらに、ストレージにデータが入り切らないことから、診断が終わったデータは、一定期間が経過した後に毎日テープ ライブラリー装置へ退避させており、過去データを再度参照する必要が生じた場合には、その都度テープからデータを戻さなくてはなりませんでした。

デル・テクノロジーズ ソリューション採用の理由:
「PowerScale」ストレージでは、ノードを追加するだけで性能と容量をリニアにスケールさせられること、大量の大容量データをワンボリュームで管理できること、海外医療機関での導入実績も豊富であることから、検証を行うことになりました。今回の検証では、「PowerScale」ストレージに保存した動画ファイルを再生しながら、アクセス中のディスクを不意に何本か抜いたり、ノードの電源をダウンさせたりした状態でも全く動作が変わることがありませんでした。現実の運用環境でこれと同じようなレベルの障害が同時に発生する事態は考えにくく、通常のストレージ製品とは比較にならないほどの堅牢性を備えていると判断し、採用に至りました。

導入の効果:
「PowerScale」ストレージは、RAIDなどを用いる一般的なストレージと異なり、複数のノード間をまたいだ分散ファイルシステムによってデータを保護します。たとえ、一つのノードが完全に故障したとしても、データ損失やサービス停止は発生しません。さらに構成条件を満たせば最大4ノード同時障害にも対応することが可能です。

これにより、従来の課題は完全に解消することができました。旧オンライン ストレージの容量が100TBだったのに対し、現在では、その6倍となる600TBの実効容量を確保し、約1PBのテープライブラリ装置を撤去する目途をつけることができました。加えて、今後の増設・拡張についても、余裕で対応できる環境を実現し、まさにデジタル トランスフォーメーションを推進することができました。

ノード追加で容易に性能・容量をスケールさせられるのはもちろんのこと、「PowerScale」のクラウド連携機能「CloudPools」を用いることで、パブリック クラウドと組み合わせた自動階層化を実現可能なため、今後はハイブリッドな構成の検討も含めた柔軟な拡張もスムーズに進めることができます。さらに、病理診断業務の効率化にも大きく貢献しました。従来は、過去データの参照に5分程度を要する上に、一度の作業で1つのデータしか読み出せませんでしたが、現在では、何人同時にアクセスしたとしても、数秒で必要な画像を参照することができるため、現場の医師からも、「画像の読み出しが以前より速くなった」と好評を博しています。

がん研有明病院では、将来的にAIによる病理診断を発展させていく上でも、「PowerScale」ストレージに保存された病理画像データが大いに役立ってくれると考えています。さらに、AIが医療をアシストする「AIホスピタル(https://www.nibiohn.go.jp/sip/ )」の実用化に向けて官民学との連携プロジェクトにも取り組んでおり、デル・テクノロジーズの医療分野でのソリューションに期待を寄せています。

システム構成図

がん研有明病院について
がん研有明病院について:公益財団法人がん研究会 有明病院(がん研有明病院)は、東 京都江東区有明にある医療機関。公益財団法人がん研究会が運営する病院で、日本で最初 にできたがん専門病院です。1934 年に日本唯一のがん専門病院として 29 床で発足し、いまや 686 床の充実した内容を誇る近代的病院になりました。これからも、常にがんの診断・治療・予防に貢献すると共に、生命科学の先端を開拓します。

デル・テクノロジーズについて
デル・テクノロジーズ(NYSE:DELL)は、企業や人々がデジタルの未来を築き、仕事や生活の仕方を変革することを支援します。同社は、データ時代に向けて、業界で最も包括的かつ革新的なテクノロジーとサービスのポートフォリオをお客様に提供しています。
 

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